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【詩集】果てしない扉  作者: につき
重なる透明の色
8/100

涯の都

遠くて近い哀しみの木かげ

せせらぎが流れる冷たさ

突き抜けていく寒さという旋律


小道は凍るように冷たく

つま先まで沁みる貧しさ


指先はかじかんで赤く

澄み渡る空を飛ぶカラスは一声も鳴かない


何もない明日と

何も持たない今日と

何も残せなかった昨日に


美しい音楽が今聞こえているのだ

旋律は華やかにあるいは激しく流れ

リズムは時に止まり急に始まる


一面に広がる鮮明なリアル


細部まで完璧な世界に触れれば

そこには我が身まで呑みこむ深淵がある


彩りはあるいは埋められあるいは花咲き

薫りはあるいは留まりあるいは辺りを覆う


この完全なる芸術に満ちた世界のなかで

わたしたちはさまよう


行く末に迷い

なすすべを手からこぼし

導きの星は雲に隠れてしまった


透明な影を追い

面影の囁きを聴き

記憶の香を嗅げば


自ずから往きつく彼方への入り口

永遠と空白の住む都への道


皆が夢見て

天才たちが幾人か行き着いた場所


天空に通じる橋

水晶の宮殿へと続く道


完全と完全に形作られた

叡智と情熱の世界


果てしない希望の

行き着く涯


断崖を超えた

磨崖仏の微笑む先


茫洋とした砂煙の晴れた後に現れる

緑豊かな楽園


哀しみの涯に

あきらめの涯に

追憶の涯に


胸の奥で結ばれる像たちが

その宮殿で憩う


涯の都

終焉を待ちわびる地で

かれらがわたしたちを

待っているのだ




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