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「春雨」「痛み」「甘い嘘」
15.2.20 春雨 推敲
「春雨」
野と満ちる春の気配にただ一人
立ち尽くしているきらきら雨降る
「痛み」
我がままを我がままのまま置いといて
胸の卵の割れる音を聞く
「甘い嘘」
甘い甘い蜜の香り
蕩ける嘘を与える者は
苦くて辛い本当を知りすぎて
他者の密に溺れてしまう
溺れない卑怯者は
少しの虹のような薫りがして
上手く調味された本当で
人を喜ばす
わたしの嘘など鼻紙のようなもので
捨てられてしまうまでのこと
そんなつまらなさこそが
丁度いいのかもしれなくて
からっぽの闇の軽さに
安心していいのだとも思う




