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いなくなってしまった猫たち
現れていたものが消える
鳴き声を上げてすり寄って来たものが
いなくなってしまった
何処へ行ったかもしれず
何時からか分からず
待つ気持ちも薄れ
諦めばかりが強くなり
時折胸を刺す面影
どこかで生きていてくれたらと思う
どうして帰らないのかは分からないけれど
時折蘇る柔らかな暖かな手触り
まだ弱弱しい手足の柔毛
叶わない思いがまた積もってしまった
言葉にしても叶うわけもないが
名を呼ぶことも出来ず
姿を見ることも出来ないままで
随分寒くなり
暖かい気配さえ漂う
宙に浮いた哀しみとも呼べない氷塊
還らない声と足音




