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【詩集】果てしない扉  作者: につき
深緋 (こきひ)の裏側
73/100

「苦汁」「風花」「曖昧な闇」

「苦汁」


それは結局愛の告白にも似て

吐露する思いの難しさに悩み

交渉の面倒な手続きに嫌気がさして

ただじっとしていると


降りかかって来る火の粉の熱さ

一つの矢印でわたしを差し

こちらからの矢印は聞こうとしない


胸に溜まる苦汁に

また眠れぬ夜が過ぎ

猫がすりよってくる





「風花」


風花散り

天気良し

空気清明に

空の流れる


待たず待つ

収まらなさに

耐えず動く

愚かさを見る


留まり聴く

時の声に

諦観定まらぬ

鳥が鳴き渡る





「曖昧な闇」


目の前の画面は明るく白く輝き

部屋の隅は見えない

それを暗闇と呼ぶなら

そこにあるはずの服やら

本やらはどうなってしまった


表層のこころは分かり易く見えて

こころの奥の隅は見えない

それを闇と呼ぶなら

そこにあるはずの記憶やら

誇りはどうなってしまった


高く昇る満月は白く輝き

影すらも淡く見える

それを影と呼ぶなら

失われるはずの口惜しさやら

後悔はどうなってしまった


在りとして無し

無しとして在り

命のこだわりやら

確執やらは

月にかかる雲ほどの

曖昧な形をしている


その曖昧さを

夜明け前の闇に沈め

静寂の痛恨に変異させて

新しい朝の光の中で

痛みと清々しさに

拡散する粒子となればいい




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