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「定型(椎名林檎について)」「蝙蝠のこころ」
「定型(椎名林檎について)」
己だけの定型を探して
見つけたら「歌詞」を流し込んで
「風俗」に成り下がっても構わずに
表現者としての歌を
彼女は続けている
きっちりぴったりとでもなく
余韻と余裕と余白の美を
押さえながらも
作品としての完成度を
求めている
しかしながら
「歌詞」の意味を疑問視しているから
もっと総合的な「音」として
叩きこもうとしている
潮流なのかも知れない
それでも一つの形を作り出している
「蝙蝠のこころ」
華やかで明るくてうるさくない
曲は目覚めた朝に希望をくれる
そろそろ雀も鳴くころ
昼には雲雀も飛んでいる
こころを少し持ち上げて
冷えきらない風にあてて
蝙蝠の眠りの浅いうちに
夜は寝るものって
決めてしまいましょう




