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灰色の雪
不可避だという
泳ぎ出す感覚をとどめたいという思い
あるいは
逃避かも知れない
確かに固まりすぎているコンクリートからの
いずれにせよ
拍手や賞賛のない営みは
倦むことのない波のように
それそのものが
現象のように
言葉を紡いでいく
内から発するのか
遠くから届くのか
光か闇かも分かりはしないことを
体内で響き渡る予測の気配として
あるいは
橋桁の震えを現わす波紋のように
出来ることしか出来ないままに
止む負えない衝動の発露として
静まりかえった散らかされた庭の真ん中で
雪の気配をまだ残している空を見上げて
遠ざかっていたざわめきが
また肉薄するのを感じている
下世話な慄きに身体の底から怯え
愚かな誇りだけをぎりぎりと噛みしめながら
見渡す限りを覆い尽くすために
灰色の雪が激しく降り出すのを待っている




