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一度っきりの繰り返し
一度っきりの繰り返し
それっきりの蒸し返し
玄関扉は大きかったから
開き切ったまま壊れてしまった
田舎な風が一気に吹き込んできて
新しい家族が増えた
命の粗末さがあちこちで鳴いて
何時の間にかいなくなっちゃった
耕した土には揮発薬品の匂いがして
その土に植えた芋を焼いて食べた
狭さは温かさであって
窮屈さは貧しさであった
好い人たちがいた
可愛い犬や困った犬がいた
夕焼けは目の前の道に伸びて
朝日は白い部屋に反射した
わたしの困惑が忘れられている家に
今誰かが住んでいる
緑豊かで暖かな装いの庭と
改修された建物を見るに
きっと幸せに暮らされているにちがいない




