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ぬくい思い
まっすぐなみちが眩しい
目がくらむから
下を向けば
もっと眩しい
かつて上を向いたら
轟音を立てて飛行機が
雲を曳いて
山を越えていった
こんな寒い空をしているのに
何故雲はあんなに柔らかいのだろう
みちに冬にも枯れない草がある
踏まれても黙っている
石だって虫だって黙っている
暗い部屋に蝋燭と線香の灯だけが揺れる
座敷は冷たいのに
諦めきれない思いだけがまだぬくい
足りない思いと言葉があった
つまらないことで埋め続けている
届くなんて信じてはいないくせに
ある瞬間にあの日の匂いを実感してしまっている




