詩の発現
15.1.25 推敲(1連 微細)
かつて古人はいった
持つ者の元へ人は集い
持たざる者から人は去ると
独白のように綴る詩には
集うものはない
吹き付ける風は冷たく
つまりは日陰であり
あたりに何もない
飛びなれた場所のように口々に鳴きながら
累々とした屍の整然とした区画を
墓石の並ぶ上をカラスたちは飛んでいく
時折手向けられる花と香だけが
墓所の慰めであっても
生前の彼らの憤りや
悔恨や痛哭は
決して語られることなく忘れられていく
彼らの夢は火葬され
骨となって埋められたけれど
わたしの血の中に流れ残る
どうしようもない詩情だけは
彼らの血眼の止むおえない思いを
時折蘇らせてくる
なにがどうとか
そういうことではなく
ワイヤーを噛み千切りたくなるような口惜しさなのだ
我が身が天地になったかのような喜びなのだ
みんなが一緒に爆発してバラバラの一つ一つが笑い合っているような嬉しさなのだ
脚の先から髪の先まで業火に焼け尽くし真っ黒の中に目玉だけが炯々と睨むような怒りなのだ
強烈な思いたちが
わたしにどうしても
詩を書けというのだ
わたしはこの詩を
己の血の中の読者に送るのだ
そうだ
わたしは持つものでも
持たざるものでもなく
待つものでもなく
待たれる者でもなく
書かされる者でもなく
書かざるを得ないものなのだ




