前へ目次 次へ 33/100 五月の夜 むせ返る五月の夜の風に 甘いよりも冒険的な匂いが満ちる 木々の葉は糸を引くようなまだ新しい緑 枝も幹も艶やかに光る 命が充てんされた銃のように 打ち出されるのを待っている 騒めく道路のオレンジ色 唆す濃く色めいた夜の空 冷め始めた夜風が熱い頬を撫でる 頭と胸は繋がってしまって 湿り気を帯びた甘美な憂鬱に負けそうだ ウヰスキーならゆっくり酔える 薫りはぐっと華やかに現れそしてすっと消え コクは柔らかに残るような 盗賊たちの胸躍る夜だ