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【詩集】果てしない扉  作者: につき
重なる透明の色
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かっぱの歌

曲がりくねった川を

かっぱが改修工事した


都の中を流れる川を

まっすぐ改修工事した


わたしが目にする冷たい川岸

描かれている虚しい鹿たち


つめたいみずが流れている

とおくから流れてきた

このつめたいみずだけは

ほんとうを知っている


かっぱは力尽きて川を流れ

海へ着く前にボラになった


ボラたちは群れている

ひたすらに群れて言う


帰りたい

帰りたい

あの暮らしへ帰りたい


叶わないボラの夢に

雪がふる


はらはらふる雪

ちらちらおちる雪

どんどんと尽きぬ雪は


ボラの平たいあたまに積もり

汽水域の水面を埋め尽くす


その上を

ひとりの

おさなごが

ラッパの

歌を

うたい

ながら

歩いて

川を

わたって

いく


とてちてた

とてちてた

ラッパがこんばんわ


おさなごは家へ帰る

暖かな家へ帰る

迎えられる家へ帰る


雪が融けたら

ボラたちは

何処かへ行ってしまったけれど


いつもの川岸の

夕暮れの茜雲の下で

かっぱの歌が聞こえてくる


あかいかっぱが あいうえお

かあさんよんだら かきくけこ

さむいよるだよ さしすせそ

たのみにならない たちつてと

なんでもないのに なにぬねの


優しい空は

だんだんと

冷たくなってしまったけれど


藍色を増す空に

昇って

輝きだした満月は


しろいかおのままで

黙って

歌の続きを聞いてやる


はみだしものの はひふへほ

まどろむあさの まみむめも

やっぱりきょうだ やいゆえよ

らっぱふきたい らりるれろ

わかってほしいな わいうえを

んんとこどっこい んんんんん




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