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「巷の噂」「挨拶の意味」「明日の音」
「巷の噂」
死は冷たい希望の水だという
最後を早めていなくなりたいという
自分では一歩先にいけないこと
知らぬ間に進められている事情
どうにもならない眠り
留めることの出来ない季節
いきさつや思いは知らず
飢えは人を狂わす
透明な自分なんて何処にもいなかっただろう?
「挨拶の意味」
昇りもせず
下りもせず
こころの表も見ないで
裏も知らないふりをして
挨拶だけを繰り返し
その表情の意味することを見ない
それでどうして詩が書けようか
「明日の音」
喜ばれるためでなく
悲しませるためでなく
気付いてもらうために
あるいは
気付くために
言葉は一日で入れ替わる
昨日の白は
今日の黒
明日の言葉の灰色は
誰かの見ている夜の音
朝日と夕陽は行ったり来たり
隙間の夜におやすみなさい




