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「風と木の葉」「わたしのつくりかた」
「風と木の葉」
風に木の葉が震える
風はそうしたいわけではないのに
木の葉もそうなりたいわけではないのに
それでも
冷たすぎる北風が往くときに
落ちずに堪えている木の葉を震わしてしまう
こんなにも細かく強く連続して
ぶ るるるる…… と
まるで断続的な球体へ戻ってしまった雫のように
ぴり りりり…… と
留まる蜜蜂の透き通った静脈の震える羽のように
ぱらら らら…… と
哀しさなどそこにないはずなのに
どんな侘しさもそこにないはずなのに
風に木の葉が震えるのだ
「わたしのつくりかた」
とろける蜂蜜のように
饒舌でありたく
杉の木で出来た障子の桟のように
簡素でありたく
困ってしまうほどの重たさを瀬に沈めた庭石のように
静かでありたい




