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寂しさの悪寒
寂しさがぞくぞくとしてきて
どうにも寒くなってくる
共感のない寂しさが発熱しそうだ
こころの底から熱い腕が伸びてきて
孤独の中を潜り
誰かへとたどり着こうとしている
厚い布団を頭からかぶっても
身体の芯から来る震えは止まらない
やがて発熱の眩暈の中で
わたしは孤独を彷徨う
渇きはもっともありふれた冷たい水をもとめ
飢えは高みから飛び込むような先人の言葉をもとめる
孤独の熱が去り
汗にまみれた身体を清めても
地下鉄の風はまだひややかに乾いている
顔をはぎ取られた列車を待つ人たち
しかしなぜだか
暗闇から迫る列車の明かりは暖かい
ドアが開き乗客が吐き出されて
乗り込めば
車内は人いきれでむせ返る暑さ
人々はみな寂しい背中を向け合い
手に孤独を持ち
目で孤独を追い
指で孤独を辿り
耳で孤独を聞く




