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「酔い」「夜中のこんにちわ」
「酔い」
日本酒ではもう一つ酔えない
決して嫌いではないのだけれど
やはりある程度の
上質さを備えた
ウヰスキーでないといけない
琥珀は煙に薫り
華は広がり消えていく
酔いに纏わりつく
優美な旋律
この夜の時間を
わたしは生きていたい
「夜中のこんにちわ」
停滞の夜に挨拶をしよう
静まりかえった哀しみに
そっと毛布をかけて
見えずとも分かる
星の吐息の冷たさと
押しのけられた闇のうずくまっている隅の寒さ
全てが凍えている
この夜は
どうしようもなく
暖かな灯が恋しくて
明るい窓辺の下
闇に隠れて
暗い目をした昼間が
覗いている




