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【詩集】果てしない扉  作者: につき
重なる透明の色
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月の光の文字

15.1.16 推敲(最終連)

薄くなった夕暮れが

すっかり無くなってしまって


やっとのことで光り出した

夕星たちの間に


ようやく大きな月が出た

一月の月はまだまだ冴えている


月の光には音はない

気が付こうが付くまいが照らしている


黒い石が原野に一つ照らされた

どうやらぼんやりと何か書いてある


夜の動物にはその文字列は読めないから

その石は誰かがくるのを待っている


何が書かれているのかは

読んでみないと分からない


誰が書いていたのかは

もう今ではどうでもいいことになった


いつからそこに書かれていたのかも

誰も知らないことなのだし


そもそもそんな石のことを

誰も知らない


黒い石にはこころがないのに

なぜ信じているのだろう


幾万幾億の時を経た

黒い石には名前もないけれど


月の光の文字には

もしかしたら

名前があるのかも知れない


何処までも透明で

白いほどの蒼さで浮かびあがり

ぼんやりと光っている


その文字列には

何が書かれているのだろう


その黒い石は

なぜ耐えているのだろう


そして……

遠く遠くで

誰かの足音がした


月からは見えるだろうに

ここだとは教えてやらない


ひたすら偶然に任せて

辿り着くのかどうか

しんしんと見つめている




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