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それのこと
滅び去る人類の末裔として
ひたひたと迫る暗い水は足もとを浸す
彷徨える花びらが頬をかすめた
近づいているその気配に
ただ夜の中で名残を惜しめば
漂う香の華やかな薫り
それをいうならば
とりとめもない来し方と
ゆく当てのない往き方の
刹那で途切れること
どうしても離れない自分と
どうしても成れなかった自分の間で
尽きていくこと
叶わないくだらなさに
優しげなさりげなさに
傷を負いすぎたこと
止まらない時間に晒されて
誤魔化される日常に離されて
こぼれてしまうこと
私が追いつけない背中に
私を追う何かが私の背中に
追いついてしまうこと
届かない透明に
届くような一瞬の
つもりのこと