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月は雲を嫌いになれなかった
光は
迷わず直進する
屈曲を経て
辿り着くのは私の目
刺し貫いていく
戸惑わぬ光景
胸は痛む
冷たい降り止まぬ雨に
冬空は灰と白に紛れ
黒は哀しみの色
雪だろうと聞こえる
それでも戻らない昨日
大急ぎでPCを起動して
どうするのだ
いくら綺麗であっても
哀しみは温めない
鈍足の幸せよ
ひっくり返っている場合ではない
連弾のピアノの演奏
繰り返されるテーマ
雲間の光は邪推に満ちて
光線を露わにする
例えられない人々の声
こんなにこんなに叶わないことが
いま潮は満ちているのか
明るい目には見えぬもの
星と月と仄かな光よ
迷わず導け
喪われたはずの光の
辿り着いた私の目
差し込んでくる
感動のない波
苦しさは一時の迷い
雨は降ることがない
地を這うものは
床下に潜り
雪になった水の記憶
そのままだった過去
大好きだった論理値
どうなったのか
美しさはどこか悲しい
突き抜けてしまえばもっと
確実な死神よ
思うままに実行せよ
連綿と続かない日々
更新され続ける明日
月は雲を嫌いになれなかった
どうしてもそうだった
堪らないといえばそうだろうけれど
毎日のようにありふれている
いまは静まりかえる明かり
揺らめく蝋燭の灯




