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緊急幼なじみ会議

「では、これから緊急幼なじみ会議を始めたいと思う。副議長、出席をとってくれ」

「わかった。満、乙女、俺、棗、昇。議長5人全員出席しています」

「ありがとう。今回緊急会議を開いたのはほかでもない、われらが幼なじみの棗に恋人ができていたことだ。棗、今日は正直に答えてもらうぞ」


副議長である零一先輩こと零くんが出席をとると議長である大和部長こと満くんが鋭いまなざしで私のことを見てきた。

訂正、ほかの3人の幼なじみも同じように私のことを見てきていた。


「それじゃあ棗、相手はどんな人なの?名前・職業・性別・年齢・どこで出会ったのか・どこに住んでいるのか・デートに誘われた経緯。どんな性格なのか、詳しく話しなさい」


普段は優しくお姉さんな乙女ちゃんがとっても怖い顔をしながら詰め寄ってくるためほかの3人に助けを求めるが、全員いい笑顔である。本当に終わった、ごめんなさい、サンくん。


「な、名前はサンくんで、私と同じ高校生。性別は男って性別はいらなくない?」

「無駄なことは言うなよ、棗。じゃないと俺の権限でお前に恋人がいることを校内新聞で掲載してやる」

「すみません、昇様。同い年でオンラインゲームの「クロニクルファンティション」で知り合って、意気投合して付き合うことになった」

「ネットで知り合った相手と付き合っているのか!!」

「おいおい、それ危なくねぇか?」


私がサンくんについて話すたびにいろいろと言ってくる男の幼なじみたち。私に話させたいのかな、この人たち。


「うるさいわよ、この朴念仁たち。さぁ、続きを話して、棗」


乙女ちゃんが一括して話を促してくれる。ありがたいけれど話を中断するという選択肢はないんですかね?ない、デスヨネー。


「前までは関西のほうに住んでたんだけど、今回お父さんの仕事の都合でこっちに引っ越してきたのよ。それで私の好きな作家さんが丸林デパートで開かられる作家展に出品するみたいだから今度一緒に見に行こう。とデートに誘われたの。性格は・・・・・・なんだろう、厳しいし何か失敗するといろいろ言われるけど、とても優しいよ。普段はメールやチャットで話しているけど、文面から優しさが伝わってくるし。会ったことはないけどとっても好きなの」


私がそういうと幼なじみたちは一瞬顔をしかめた。どうかしたのかと聞いても確かな返事は得られなく、乙女ちゃんが私を除く全員を連れて部屋を出て行ってしまった。

やっぱり、ネットで知り合った人と付き合って、会うのは危ないし、反対だよね。

自分でもわかってはいるのだ、相手がどんなに優しかろうが、それが演技だった場合、私の身に何が起こるかわからない。最近の事件ではそういうネットで知り合った人と立って行方不明になったり殴られたりすることが多いとニュースなどでもやっていた。

でも、それでも今この時点では私はサンくんが好きなのだ。


スッパーン!!


「棗!!よく聞きなさい」

「俺たちは、お前が相手を好きならば何も言わない」

「恋愛は当事者の問題だ、俺たちには口を出す権利はない」

「だから、俺たちはお前の交際に反対しない」

「でも、それで棗に何かあったら私たちはいやよ。だから!」

『今度のデートには私・俺たちもついていくから』


木戸を勢い良く開けて入ってきたのは先ほど出て行った乙女ちゃん・満くん、零くん、昇の4人で、笑ってそういうと満くんがニヒルな表情で今回の緊急幼なじみ会議の終了を告げた。


「反対されると思ってた」


驚きで呆けていた私は急いで正気に戻りそう言うと、4人はもう一度先ほどの言葉を言って私のことを抱きしめた。


「棗が好きになった人が悪い人だとは思えない」

「会ったことのないやつを勝手に俺たちが評価するのはだめだしな」

「だから今度のデートの時にちゃんと相手のことを観察するのよ」

「そうすれば多少は悪いやつかどうかわかるしな?」


優しくいってくれる幼なじみたち。


「うん、ありがとう。みんなみたいな幼なじみがいて私は幸せ者だね」


それから私たちはお茶を飲んだりふざけたりしながら帰るまでの時間を過ごすのだった。

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