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下校時の発覚

「お疲れ様でした。これで終了となります」


私のその一言で室内の緊張した空気は消えた。

それと同時に電車の時間が近くなった部員が私物を片付け帰っていく。インタビューをおこなった部室の片付けは自転車や徒歩通学の部員4人でおこなう。その際、山橋部長や大和副部長・間崎太陽が手伝いを買って出てくれたので遠慮無く使わせていただいた。



「部長、さよーならー」

「まったねぇ、棗ー」


自転車を取りに行く2人の別れの挨拶に言葉を返し、同じ方向に帰るバスケ部3人と私・吉岡の5人は校門に向かって歩き出す。

バスケの話で盛り上がるバスケ部に本や音楽で盛り上がる私と吉岡、それぞれ楽しく過ごしていたが校門に差し掛かったと同時にかけられた声に私は小さく「げっ」と言ってしまい吉岡にたしなめられた。


「天城さん、部活お疲れ様。いま帰り?」


目の前に駆けてきた人物に私は笑みを作る。


「ええ。佐藤くんもお疲れ様です」

「ありがとう。それにしても今日は珍しく大人数だね、いつもは吉岡くんだけなのに」

「今日は男子バスケ部の間崎さんにお話をお聞きしていたので。帰る方向も同じということで私たちもご一緒させていただいてるの」


うふふ、と若干照れている感じを装って話を続ける。間崎さんからは疑わしい視線を向けられ、他の3人は私の急なキャラチェンジに笑いをこらえていた。


「そうなんだ。あっそうだ、間崎くん俺は同じクラスの佐藤嵐、よろしくな」


いやー、前から話し掛けよう、話し掛けよう。って思ってたんだけど、周りの。


うるせーですよ、佐藤。いま私を引き止めているならさっさと解放して、後日間崎さんとお話ししてください。

そんなことを顔に出さずに思っていれば。


「ちょっと、嵐ぃ、なんで勝手に先に行くのよ」

「嵐さん、早いです」etc...


早速5人の美少女たちがやって来ました、はぁ、面倒臭い。



さて、ここで紹介しておきましょうか、面倒ですけど。


まず1人目


「嵐、なんでまた天城さんたち引き止めてんのよ」


佐藤嵐の幼なじみである日原茜ひばら・あかねさん。

ツインテールに少し釣り目な美少女。俗に言う強気系幼なじみであり、聞いた話ではその片思い歴は二桁越したとか。彼女はツンデレ要員でもある。


2人目


「ふわぁ、皆さんおっきいですねぇ」


佐藤嵐の所属するサッカー部のマネージャー、雲井晴くもい・はるさん。

彼女はこの学校1の天然少女と呼ばれるゆるふわ系美少女だ。垂れ目が可愛いらしい、よくわからないが。


3人目


「嵐、他人に迷惑かけんなよなぁ」


佐藤嵐のオカンと呼ばれる不良少女、神山涼香かみやま・すずか先輩。

1学年上の先輩でここいらの不良を全員シメたとかなんとかと噂の美人さん。




4人目


「嵐さんはどうしていつもこうなのでしょう」


佐藤嵐のクラスメートの林野エミカさん。

林野ホールディングの社長令嬢で佐藤嵐のファンクラブを取り仕切る。ハーフらしく金髪碧眼のフランス人形のような容姿の美少女で、よく日原さんと衝突してる。



5人目


「まあまあ、嵐くんも悪気があったわけじゃないし」


佐藤嵐とどこで接点を持ったかはわからないけどよく一緒にいる立花乙女たちばな・おとめ先輩。

1学年上の先輩で私の所属する図書委員会の図書委員長。清楚系美人で茶道部部長でもある。


こんなものかな?

さてさて、そんな5人を前にしても佐藤は私に声をかける。

正直言わせて下さい。



私は貴方に一っ欠けらも興味はないんです!!



そろそろ笑顔で対応するのも疲れてきました、もう帰らせてください。


「佐藤、もういいだろうか。俺達は疲れている、さっさと家に帰りたいのだが」

「あ、はい。引き止めてしまってすみません。・・・あ、天城さんは本が好きなんだよね?俺、今度丸林デパートでやる作家展のチケット貰ったから一緒にどう、かな?」


山橋部長にそう言われた後も私に話かける佐藤。・・・・・・気付いてくれ、山橋部長の機嫌が悪くなっていることに。

隣にいる大和先輩も顔を青くしているぞ、幼なじみで慣れているはずの大和先輩が、だ。


「あ、返事はい「おい、俺は疲れていると言ったはずだ、それは貴様も納得したはずだ。なのに何故、いまだに棗に話し掛ける。」え?」

「ぶ、部長?」


山橋部長の冷たく恐ろしい声は私に返事の期限を告げようとした佐藤の声を遮った。

急な変わりように呆然とする佐藤に、いつもとは違う雰囲気に戸惑う間崎さん、そして目を点にした女子4人。


「ちっ、面倒な奴らだ。零一、乙女、棗、昇、間崎、帰るぞ」


そうして踵を返し校門へ歩いていく山橋部長。


「ちょ、待ちなさいよ!嵐はまだ天城さんに用事が」

「黙れ。貴様は先輩にたいして敬語も使えないのか?」


日原さんが引き止めるものの機嫌の悪い山橋部長はすぐさま返す。

・・・そろそろ本格的にまずいわ。仕方がないですね、逝きますか。


「あの、佐藤くん」

「天城さん」

「お誘いは嬉しいんですが、その作家展は、その、か、彼氏と行くので、すみません」

「え・・・、か、彼氏?」

「はい。ですから、佐藤くんとご一緒は無理です」


ごめんなさい、と頭を下げて山橋部長たちと学校を出る。

佐藤、そしてその取り巻きの4人が固まるなか、私・吉岡・山橋部長・大和先輩・間崎さん・立花先輩は彼らを放置して歩く。間崎さんは歩いているというよりは大和先輩に引きずられているだけなんですが。









「そういやら彼氏と行くって言ってたが嘘はダメだぜ、棗」

「そうだぞ、あまなっちゃん。嘘をついてこれから困るのはあまなっちゃんだぞ」



途中、放心状態の間崎さんと別れ家へと歩く私は、吉岡と大和先輩にお説教されていた。山橋部長や立花先輩はそんな私たちを見て苦笑しているものの黙ってみているだけだ。

実をいうと、と言うまではいきませんが家が隣同士、向かい同士な私たちは世間一般に言う幼馴染であります。そのため私が交際している人がいないと思っているのですが。


「は?彼氏なら、本当にいますよ」


いるんです、きちんと。



・・・・・・・・・


『なんだって/なんですって!!』


「なっちゃん、俺、聞いてないよ!!満ぅ、本当に俺たちのなっちゃんに反抗期が来た」

「お、落ち着け零一。これはきっと、な、なにかの間違いだ」

「零一も満も落ち着きなさい。棗ちゃん、私によく教えて頂戴。どこの人?年齢は?学生?社会人?どこで知り合ったの?」

「・・・・・・うん、零くんも満くんも乙女ちゃんも落ち着こうぜ。とりあえず、夕食食べたら満くんの家の道場に集合、緊急幼なじみ会議を開こう、うん、そうしよう」



吉岡、もとい昇の言葉で詰め寄って来ていた、一つ上の幼なじみたちは一旦落ち着き、自分の家へと入っていった。

昇は3人の慌てる姿を見て落ち着いていたようだが、やはり少し混乱しているようだ。少しふらつきながら私の家の右隣にある昇の家の扉を開けた。



「棗、ちゃんと、来いよ」


昇がそういって家の扉を閉めれば、一人取り残される私。



「もしかして私、尋問されるのでしょうか・・・」

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