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俺の学園生活は何かが間違っている  作者: いんぱらす
始まりは残念系・・・
2/21

放課後の約束

 授業はスムーズに進んで行き、時は放課後。

「ねぇ、ホントに行くの?」何かすっごいトゲのある言い方をするのは心結だ。

「仕方ねぇだろ、約束したんだから ってどっか行くわけじゃねぇよ」「そうだけどさ・・・」拗ねたように唇を尖らせる心結、突き出た唇に一瞬ドキっとするが 別に大したことじゃない。

「ともかく、複数には話しづらいことなんだろ さ、帰った帰った」「えぇ~・・・」見るからに嫌そうな表情をする心結。

「お前が柏木の立場だったら嫌だろ?」感情で分かっていても理屈で動けない心結を諭す俺。

「むぅ・・・分かったよ」顔を軽く赤らめながら彼女は去っていった。

「ふぅ・・・」俺はそこでため息をついて誰も居ない教室から外を眺める。

外では活発に動き回る運動部のやつら、ははは・・・今アイツこけやがったよ。

俺は感傷に浸りながら外を眺める、こんな時期もあったなぁ・・・。

『私、絶対戻ってくるから! だから戻ってきた時にもちゃんと私と沢山お話してね』脳裏に蘇る小さな頃の記憶。

「そういやぁ・・・アイツは今何してんだろーなぁ・・・」日本人離れした容姿で有名だった彼女、名前はなんだっただろうか。

「んーっと・・俺はなんて呼んでたっけなぁ」俺はその女の子を確かあだ名みたいな感じで呼んで・・・。

「レーちゃん・・・だっけ?」「桜田くん・・・覚えてて・・」「うわぉ!?びっくりした!」背後には何故か柏木が立っていた、それよりも今何か重要なこといった気が?

「覚えてて?なんのことだ?」「え・・・あ・・・」彼女は言葉に詰まる。

「あ・・それより俺を呼んだ理由を教えて欲しいんだが」かれこれ20分程待っている。

「へ・・・あ、ごめん 待たせちゃったよね」「あぁ・・まぁいいんだけど」「その、話したいことっていうのは」「ああ」「・・・」それ以降金魚みたいに口をパクパクさせて言葉を紡げない柏木。

「どした?」「お・・・お・・おぼ・・おぼ・・・」どうしたんだろう、ヨボヨボなおばあちゃんみたいな声あげて。

「おぼ?」「・・・」今度は顔を真っ赤にしてあうあうと言葉を吐き出している柏木。

「・・・?」「・・・ごめん、やっぱり今は言えない」「・・まぁよくわかんねぇけど、お前がそうならいいんじゃないか」俺はそういって立ち上がる。

「ま、人に言いづらいことってのはあるもんな それじゃ また明日な」「あ・・またね」さみしげな微笑みを浮かべてこっちへ手を振る麗香は誰かに似ていた気がした。

「レーちゃん・・だったかなぁ・・・今頃何してるんだか」俺は教室から出るとき、そう呟いて出ていった。


翌日。

「あっくん!」「はい?」俺は目の前にいる制服姿の心結を見上げている。

今日も黒髪のポニーテールで、相変わらず貧相な胸、黙ってりゃ可愛い顔も今は般若のような顔だから台無しだ。

胸以外はスタイル抜群なんだけどなぁ・・・すっごく残念な逸材だ。

「で・・・なんでしょう?」「昨日の件!」「あぁ・・」昨日の結局なにもいえねぇ状態だったあれね。

「告られたの!?」「ブッ!」隣で大きくむせる柏木、そりゃ本人背後に控えて本人の話題出せばそうなるよな。

「こ・・ここ・・こく・・!」「柏木さんは黙っといてっ!」「ひゃ・・ひひゃ・・」ろれつが回らない口で必死に抵抗の言葉を紡ごうとするも失敗に終わっている。

「別に告られてなんざいねぇよ」「・・そうなの?」「あったりまえだろ」「・・」ホっと胸を撫で下ろす心結、何だよ、俺の彼女がいないことがそんな安心することかよ?

「相変わらずだにぃ」「うっせ」背後ではまた妙な語尾で話してくるうざい男、大樹がいた。

「そ・・そうなんだ・・あはは、ならいいやー」心結は虚ろな笑いを浮かべて席へ戻っていった、何アイツ。

「おうおうモテ男やぁい」「黙れ」「だが断る」「意味わかんねぇし」「秋良ぁ、いい情報があんぜ」「情報?」大樹の言葉にピクリと反応する俺、コイツのいいことってのは大体良くないことだから警戒しているのだ。

「今は6月30日、7月2日から甲羅川の土手で花火大会が行われるらしいじゃん」「花火大会ねぇ」「結構な観客数らしいぜ、誰か誘っていけよな」「誘うやつなんざいねぇ「「その話、詳しく聞かせて(もらうわ)」」いました。

俺の背後にはいつの間にか柏木と心結がいた、何コイツら、何で反応してんの?

「うっひゃー、ご両人、どんな情報が欲しいんだい?」「「甲羅川の花火大会っ!」」「簡単でさぁ!」ポスターらしきものを取り出して長々と説明し始める大樹、俺にはそんな丁寧に説明しなかったくせに。

「どうですかい?お一つ・・!」「「乗ったぁ!」」「何!?何が起きた!?」俺の背後で闇取引的ことを行っている二人、どうしてだろう 瞳が妙に輝いている。

「毎度ありい」自分の財布にお金をしまいこみ、紙っきれを渡す大樹。

「なんだそれ」「甲羅川の花火大会の割引クーポンだよっ!」「割引クーポンねぇ」これを屋台の人に見せると幾らかお金を負けてくれるってやつだが、今千円払ったんじゃ意味なくねぇか?

「あっくん!行こうよお祭り!」「花火大会な」「桜田くん・・・私も一緒に行きたいんだけど・・・」「柏木も?まぁ構わないけど」「「(ジィィィ)」」柏木と心結はお互いに睨み合う、喧嘩モードじゃないっすか。

「そうだ、どうせなら人が多い方がいいだろ、大樹お前もこいよ」「んあ?いいのかー?」「情報提供のお礼も兼ねてな」「まっじかよー、んじゃ拝ませてもらおっかなぁ修羅場♫」「修羅場?」「おっと、口が滑っちまった」「??」大樹は時々意味不明なことを言い出す、何だ・・修羅場って。

花火大会が行われるのは3日後、今のところ計4名での屋台周りとなった。

「んー・・まぁいっか たまには」気晴らしに、と思った俺が甘かったことにまだ俺は気づかない。

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