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俺の学園生活は何かが間違っている  作者: いんぱらす
変則的な日々
17/21

アクシデントと言う名の戦場

 前みたいにマクゴナルドではなく、立派なイタリアン系の飲食店へと俺と麗香は向かった。

別に川●シェフとか、●越スマイルとか、そういうの期待してないから。

「何にしよっかなー」目の前のメニューを見て唸る麗香、カロリーを気にしているようだ。

「俺は適当に・・・」一番安いパスタにしておいた、そんなに空腹でもないから。

「んじゃ~・・・これにしよ」麗香が選んだのはスパゲティとイタリアンジェラートとかいうやつ。

「・・・俺持ちですか」「えっ!あっ・・、ジェラートは持つから」「ゲティは俺持ちっすか」俺は泣く泣く財布の中を覗く、心なしか俺の財布の中の野口さんと樋口さんが泣いている気がする。

「・・・」俺も心の中で号泣しつつ、財布を閉じる、麗香は不思議そうに首を傾げていた。

それから注文をして、10分程で料理が到着した、その時だった。

「心結さんっ、バレちゃいますよぉ」「大丈夫ぅ、メタ●アでスニーキングミッションはメッチャやり込んだから」「スネ●クの装備がないじゃないですかっ」聞きなれた声、ってか片方は絶対に分かった。

「どうしたの?」依然として気づかない麗香、安堵すべきか、落胆すべきか。

「あ~・・・なんでもねぇよ」俺はパスタをバババーっと食べる。

「あ、ちょっと・・早すぎるよぉ」麗香も負けじとスパゲティを食べるが、上品に食べる麗香とガツガツと下品に食い散らかす俺ではやはりスピードに差が出る。

「うっぷ・・・ちょっとトイレ」俺はパスタを胃袋に収め、トイレへと向かう、否、心結と涼花の元へ。

「え~、待ってよぉ」なおも頑張ってスパゲティを食べる麗香、だが一向に減らない&まだイタリアンジェラートなるものが残っている。

「さてと・・・」俺は意味もなく拳をコキコキ言わせて、店内奥へと向かう。


 その時涼花は困っていた。

目の前では飲んでもないのに酔っ払った雰囲気の心結がにへらっとしている。

「(くっ・・心結さんがここまでダメな人だったとは、ってかなんでこの人酔っ払ってるの!?)」涼花は意味の分からない状態に陥りながら、目の前の状態に頭を抱える。

「(というか、多分秋良さんにバレましたね・・・ここは素直に撤退です)」そそくさと店の入口へと涼花は向かった、右脇に心結を抱えて。


 「涼花ぁー」返事がない。 「心結ぅー」返事がない。

「屍になったか」俺は広くない店内をグルっと見回して麗香の元へと戻ってくる。

「ほうひはほ?(どうしたの?)」ジェラートを口に頬張りながら麗香はこちらを見上げる。

「あー・・いや、なんでもねぇ、ただの気のせいってか・・・まぁ、なんでもねぇよ」とことん誤魔化すのが苦手な俺は、無意味に言葉を並べる。

あの道化師みたいな母親から生まれたはずの俺が何故こんなに正直なのか、考えつかないが。

「ふぅーーん」意味深な瞳で見つめる麗香、少し怒気を孕んだ瞳だ。

「えーっと・・食べ終わりましたか?」「もう少し」それから10分程かけて、丁寧に麗香はゲティとジェラートを完食した、ジェラート抜きで会計は1500円だった、さらば野口英世。


 それから1時間程で海水浴地へ俺と麗香は着いた。

目の前に広がる青い海、眩しい太陽、イチャつくカップルとか学生さん達。(秋良も学生です)

「絶好の海水浴日和ね~」「そうだな」俺と麗香はさっきまでの格好と同じく、海の家へ。

「あの~」「誰だ、誰だ、誰だぁ~」「誰も科学忍法使う人じゃないです」俺はツッコミつつ店員らしき男の人に声をかける。

「ご用件をお申し付けください」「誰も留守電使ってないですから」「アンタ、結構おもしれぇ奴だな」途端に口調を変える店員、ってか馴れ馴れしいわ。

「えーっと、そろそろ用件いいですか」「へいへい、どうぞぉ」「ここで水着って貸してもらえますか?」「あ~、借りれるぜ? 海パンとビキニだけだがな」カカカっと笑う男。

「麗香は持ってきてるんだよな?」「一応・・・」頬を赤らめてモジモジしつつ麗香はコクンと頷いた。

「んじゃ、海パン貸してもらえますか?」「あいよ」そう言ってカウンター越しに脱ぎ始める男。

「何してんだコラぁあああああ!!」「あり? 海パン貸して欲しいんじゃねぇのかい?」「誰も店員穿いてる海パンなんざ穿きたくねぇよ!!」麗香は脱ぎ始めた瞬間に後ろを向いた為、見えてないはずだ。

「ったくよ、んじゃどうすりゃいいんだい」「知らねぇよ!! あるっていったろーが!!」「あるさ」ホラ、といった感じで脱ぎたてホカホカの店員海パンを差し出す。

「テメェのかよっ!!」俺は手を叩いて海パンを叩き落とす。

「ってか羞恥心持てや!」「いらんわ、そんなもん」「なんでっ!? モラルに従って行動する際に必要な心を何故アンタはいらないのっ!? そういう風潮なのっ!?」この店員、マジで意味分からねぇ。

「あー、やっぱウケるわ、お前」店員は自分の海パンを拾い、穿く。

「これでいいだろ」「ん・・・」渡されたのは青い生地に赤い何か模様が描かれた海パン。

「あるなら渡せよ!!」「いや~、やっぱ・・・ねぇ?」「麗香に同意求めるなよっ!!」店員はおどけた雰囲気で俺と麗香、交互に話を振ってくる。

「さーってと、これでいいんだろ若いの」「アンタも若いけどなっ!」男は見た目25歳位の細マッチョ体型なイケメン風の男だ。

「そうかね、俺は結構老け顔だと思うんだが」ふぅむ? とまんざらでもなさそうな顔でペタペタと顔を触る男。

「はぁ・・・まぁいい、どうもありがとう」「いやいや、礼には及ばねぇよ」「社交辞令だ、バカっ!」誰がいきなり自身の穿きかけ海パン投げつけてくる変態に礼なんざするか!!

「俺の名前は坂上宏太っつーんだけどよ、まぁ・・記憶の片隅にでも残しておいてくれや」「多分一生脳内から消えることはねぇだろうなぁ!!」人生で初めて穿きかけ海パンを投げた男として記憶されるだろう。

「ま、楽しくな~」俺は坂上の居る海の家から出て、更衣室へ。

「着替え終わったら入口で待っててくれ」「うん」お互いに男女違う更衣室へと入る。


 丁度麗香と秋良が更衣室に入ると、さっと、タイミングを見計らったかのようなタイミングで少女が現れる。

「ふぅ~、海水浴ってのもいいものかも」その少女はそう呟いた。

金髪・青い瞳・日本人離れしたスタイル・少し派手な水着、その混じり合いにより周囲の視線は彼女ひとりに向けられていた。

「こんなほぼ全裸状態で泳ぐのに抵抗はありますけど、この際気にしません」彼女は走る、すると揺れる。

「おおおお」周囲からそんなどよめきが漏れる、カップルで来ていた二人組は、彼女に彼氏が頭を叩かれていた。

それは、まさに偶然だろう、まさか秋良の元許嫁である、マリアヌ=アリスが土曜日に海水浴を計画していたなんて。

そして更に偶然は続く。


 「心結さん、大丈夫ですか?」「うん、ごめんね、私バジルの匂いにすっごく弱くて・・・」つまりそれはイタリアンを食せないのと同義だろう。

こちらは涼花・心結ペア、二人もまた海水浴場へと来ていた。

「(作戦パート2『水着姿でバッタリ! 秋良さんもバッタリ!作戦』です!)」些か秋良にとっては不名誉な作戦だが、涼花は瞳に炎を燃やす。

「心結さん! 我々も水着を借りて・・・!」「いいねぇ~、久々に泳ぐぞぉ」心結は完全に趣旨を勘違いしている、秋良を追うという趣旨から、麗香の移動先に合わせて遊ぶ、に行動が変更されている。

「(だが・・しかし、ここで秋良さんに悶絶っちゅーもんを教えてあげますよ・・・!)」不敵に涼花は笑う。

だが、更に偶然は続く。


 「海水浴ぅ?」不満げに声を上げるのは秋良の妹、愛華だ。

「そうよー、海水浴♡」隣で媚声をあげるいい年の女性は秋良の母、美奈だ。

「っていうかお母さん仕事は?」「何かねぇ~、お休みもらっちゃって、どうせ暇だし、それに暑いから海水浴でもどーかなぁーってねぇ」美奈はニコリと微笑む、その裏には実際何もない。

「ふーん・・・」「水着なら前買ったのあるでしょ?」「うー・・む」愛華としては去年と同じサイズの水着を着る事に少し抵抗(去年から身長とスリーサイズがほぼ同じな為)があるのだが、この暑さには根負けしていた部分が多くある。

故に。

「気晴らしに行ってみるかなぁ・・」「んじゃ、早速向かいましょ」母親は既に準備を整えていた。

「早っ・・・」「今ここで着替えちゃいなさーい」「はーい」けどこの異常なまでの手際のよさには慣れっこである、愛華は常に母親から優遇されているから。

「・・・やっぱりピッタリだ」淡い願望を抱きながら水着を着る愛華、だがサイズは恐ろしいまでにピッタリ。

「・・・」少し意気消沈しつつも、愛華は上に薄いジャンパーを羽織り、水着にジャンパーという妙な出で立ちで海水浴場へと向かう、無論、そこに麗香・涼花・アリス・心結・秋良が居るなんて想像もせずに。


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