許嫁、登場!?
「「「きゃあああああああああああああ!!」」」「うおおおおおお!?」3人の女子と1人の男子の悲鳴と絶叫が合唱する。
3人共、下着を穿きかけの状態で悲鳴を上げている、麗香はしゃがみこんで。
麗香は水色、涼花はピンク、愛華はライトグリーンと多種多様な下着を穿きかけている彼女ら。
「す・・すまん!すぐでるから!」俺は背後を向いてダッシュで脱衣所から抜け出す、生涯この記憶は鮮明に脳内に残り続けるだろう。
「秋良のバカッ!」「兄ちゃん、後で通報するから」「秋良さんは溜まってるんですか?」「違うっ!俺は変態じゃない!」あれは偶然なんだ、全ては運命が悪い。
っていうか、愛華の奴今通報するって言わなかった?え・・何、同年代の女子を誑かしたってことで逮捕?シャレんなんねぇよ・・・。
俺はリビングで正座して彼女らが出てくるのを待つ。
それから数分後、さっきまで着ていた服を着て彼女らは現れた、だが顔がリアル般若だ。
「あ~き~らぁ~!!」「すんません・・」麗香に平手ビンタをパシパシと10発位受けたあとにアイアンクローを食らわされる俺。
「秋良さん?溜まってるなら私が相手しますよ?」このフレーズだけ聞けば優しい人だ、けど実際には俺の体を四の字固めしているのだから全くもって優しくない。
「兄ちゃんの変態バカアホマヌケエッチ死ね!」「はうっ!」金的、喰らいました。
愛華のストレートキックが俺の金的にクリティカルヒット、ド●クエならザラキーマレベルの痛み。
「まったく、泊まると何されるか分からないから帰るわねっ」怒り気味に麗香は部屋を出ていった。
「秋良さんに貞操の危機を感じますね」涼花は確実に俺の心を抉りつつ、無表情のまま帰っていった。
「私も帰ろうかな」「お前は家ここだろぉーがぁ!?」愛華にすら拒絶された、もう本格的に終わりかも。
「はぁ・・・、てかお前二階の殺人装置外せよ」「あ、忘れてた」テトテトと階段を上って、上から豪快な機械音やガンガンと殴打音が聞こえ、数分後にはあの装置を解体して持って来た。
「・・・聞くけどコレお前の自作?」「違うよ、お母さんの知り合いの『田中』っていう機械作る人に譲ってもらったんだよ」「殺人装置作ってる時点で捕まれよっ!!」法律どうかしてんだろ。
「はい、外したからさっさと部屋入って」「あ、はい」俺は愛華に指示されるまま自室へ入室。
ガチャガチャと金属音がする中、5分ほどすると愛華が声をかけてきた。
「はい、南京錠しといたから、明日の朝まで部屋出れないから」「ええええええ!?」酷い、心の距離がそんなに開いちゃったの?兄妹仲とかそういった情はないのっ!?
「おやすみ」「おいっ!?」遠くでバタンと音がする、どうやら愛華は部屋に閉じこもったらしい。
「はぁ・・・」俺はベッドに倒れこむ、疲れた、異様に疲れた。
俺はその日、ぐっすりと眠った、出来れば目覚めたくないと思った。
翌日。
「あっくん、どういうことか説明してくれるよね」修羅が一人、増えていた。
名は姫岸心結、関係は幼馴染、状態は般若。
その後俺のせっかくの言い訳や話術をまとめてぶった切って心結は俺を殴った。
「ぐす・・・」泣きそうになりながら俺は外を眺めた、あー・・雲っていいなぁ。
「Hello~」「・・・・」相変わらず奇妙なノリで入ってきた先生、だが顔色がいつもより少し明るい。
「おーいみんな、今日は新たな転入生が加わるぞぉ」「「おおおー」」クラスがどよめく。
「なぁぁぁぁんと!帰国子女だぁぁ!!」「「「「おおおおおおおお!!」」」」男子がどよめく。
「それも、超美人だぁああああああ!」「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」」」
男子が雄叫びと絶叫と咆哮を繰り出す、女子が全員引く、俺はテンション低いから外を眺めている。
「さー、入ってくれ」ガラガラ、先生の声を合図にその女の子は入ってきた。
身長は遠巻きからなので詳しくは分からないが、大体160ちょい位、スリーサイズは別にスカウターとか無いから分からないけど、くびれが制服姿からも見えて、胸が涼花より少し大きい位なのでトップレベルだろう。
顔は外国系と日本系の混じり顔、クォーターとか言う奴だ。
髪は金髪、瞳は深いサファイア色、肌は雪のように白く、唇の可憐なピンクが肌の白さを引き立てる。
彼女は動じない態度で黒板に流麗な動作で名前をサラサラと書いていく。
マ・・・リ・・・ア・・・ヌ・・・あれ?何か聞いた事ある名前だ。
ア・・・リ・・ス?・・あれ?どこかで聞いたことがある名前だな、てか聞いたなどっかで。
「マリアヌ=アリスです、アリスって呼んでください、それと、桜田秋良の許嫁です」マリアヌ=アリス、前の電話の女である事が判明。
「「「「「「「「「「「「「「はああああああああああああああ!???」」」」」」」」」」」」」」クラス中から驚きの声が響く、窓がビリビリと揺れている。
「・・・・俺?俺なの?俺ですか?」全員の視線を受けて俺はすっとぼけた顔で自分を指差す。
麗香は唇を軽く噛みながらこちらを上目遣いに見つめ、心結もそこはかとなく寂しげな表情をする。
「さ・・桜田、お前許嫁なんてスペシャルボーナスがあったのか?」先生も驚いている、否、喜んでいる。
「秋良・・そりゃビックリだぜ、お前スーパーたらしだな」「るっせ!」緊張感のない大樹の言葉に一瞬安堵するが内容をよく聞くと全然安堵出来ない事に気づく。
「まー・・何だ、ともかく座ってくれ、席は桜田の前だ」「はい」無感情な声で返事をすると、彼女は俺の目の前の席に着席した。
「じゃ、HR終わる」先生は颯爽と去った、何となくココに居たくないみたいな感じがした。
「「「「「「「「「許嫁ぇぇぇぇぇぇぇ!!??」」」」」」」」」やっぱり合唱していた。
それはHR終了直後だ、麗香と心結は動いていない、どちらかというとコチラを見ていない。
「アリスさんだっけ?俺の許嫁を勝手に名乗るの止めてもらえるかな?」俺は静かにそう告げた。
「もう覚えてないのね、昔はアリスってちゃんと呼んでくれたのに」「知らねぇよ」俺は不貞腐れ気味に呟いた。
「いきなり出てきて許嫁?サッパリ意味わからねぇ、俺の親が勝手に決めたってのか?」「ええ、昔は近隣の家でしたし、仲良く遊んでいましたよ?まぁ、それも10年程前ですが」アリスは淡々と語る。
「意味わかんねぇよ・・・」俺のテンションにクラスの連中はハっと我に返る、そう秋良は一応ヤンキーなのだ、今までは何もなしに生活してきたが、感情任せになればどうなるか知れたことではない。
クラスの連中は危機には敏感な生徒だ、全員が全員着席する。
「・・・・」唯ひとり、俺はその異様な雰囲気に飲まれながら空を見つめる。
・・・・雲って、いいな。