出立
アレから12年経ちました。
経ち過ぎだって?仕方ないじゃん、オムツ換えられてる描写とかほしいか?むしろ俺が嫌だ
そういや、前回俺が魔法使いって呼んでた人は正確には魔族で導式っていう能力を使っていたらしいです
人間以外の種族も結構いるみたいでご近所さんは妖族以外の方々がおられます。最初は見た目のせいで竜族とか怖かったけど基本的には自分たちと変わらないので、今は良いご近所付き合いさせてもらってます。
他にも色々あったんだけど、今日までの説明を簡単にします
①あの2年後に妹のカナミが産まれました。超可愛いです!!
②妹が産まれた年に徴兵制度ができました
③父親が徴兵されました。時々帰ってきてます、帰って来るたびホッとしてます。心臓に悪い
④その4年後に弟のトウガが産まれました
⑤さらに1年後に魔王の復活が報道されました
⑥住んでいる王都には図書館があったのでほぼ毎日通って勉強を頑張りました
⑦王立戦闘員育成専門学校付属学園に連れてかれて、そこそこの成績で卒業しました。施設のイメージとしては小学校かな?
こんな感じ
んで、次は中学みたいな所に行くのかと思うでしょ?ちょっと違うんだよね…この年から前線で戦う戦闘員となるべく専門の育成機関に入学することになりました
「はぁ…ついに帝専(帝立戦闘員育成専門学校の略)か」
今日は帝専の入学式だ
帝専からは実際に戦争に行くことになる。物資の補給や弱い魔物の討伐をする4年制の学校だが、毎年誰かが死ぬ死亡率は約5%という恐ろしい場所だ、ため息がでるのは仕方ない。
「レイト兄さん」
「にいちゃ!」
と後ろから声をかけられた
「カナミにトウガ?どうしたのさ」
「レイト兄さん」と言ったのがカナミで「にいちゃ」と呼んだのはトウガだ
「帝専で頑張ってね!!!」
「がんばーーー」
「おう」
徴兵義務教育機関とは言え「帝専」は選ばれた人しか入れないエリート学校だ。一番施設や教育が充実していて強くなれると言われている。今日まで色々頑張ってきたんだ。入れて当然だ、今後のことを考えたらここを卒業したほうが死ぬ確率は低くなる
どうせ前線に出されるなら強くならないと生き残れないからな
意外とテストは難しかった。入学試験の結果は5位、上には上がいるんだと思い知らされたね
「レイト、忘れ物はない?」
「大丈夫だよ、母さん」
「もう!ママって呼んでっていつも言ってるのに!」
「むり」
「反抗期なの!?」
精神年齢37歳で母をママと呼ぶのは恥ずかしすぎるだろ…このやりとりも数え切れない程やった
「もう!しばらくは会えないのに、つれないわね」
この台詞で分かると思うが帝専は全寮制だ。大型連休が無ければ家には帰れない
「もう行くね」
「もうそんな時間?えぇ、いってらっしゃい身体には気をつけてね。絶対に無理はしないでね、頑張り屋さんなのは知ってるけど、無事に帰ってくることが私たちにとって一番嬉しい事なんだから」
「辛くなったらいつでも帰ってきなさい」
「父さん」
今日は所属している部隊に無理を言って家に帰ってきた父親
そのせいで次に帰ってこれる日はいつもより遅くなってしまうみたいだ
心から俺のことを想ってくれる両親に可愛い妹と弟を守る為だ。嫌でも気合いが入る
「わかったよ、ありがとう。行ってきます、父さん絶対にまた会おうね」
「あぁ約束だ」
涙が出そうになるのを必死に抑えつつ帝専へ向かうために家を出た
実家から帝専は遠いので帝専生徒専用の乗機「リフター」が迎えに来ていた
それに乗り学校に送ってもらう
可愛い妹と弟が戦わなくても良い世界にする為に、もっと強くならなきゃな
…
それと同時に少しワクワクしている自分がいた
こんなときに不謹慎だと自己嫌悪するが、どうしようもない
今まで訓練ばかりで実践は一度もなかった
生で魔物を見たこともない
でも正直、自分の力は同年代と比べたら高い方だ
帝専付属学園では一番だった
それだけの努力はしてきたんだ
そして魔物にどれだけ自分の力が通じるのか早く実戦で試したい気持ちが強くなっていった
いくら精神年齢と実力が高くとも初めて実際の戦争を目の当たりにした時、人は必ず恐怖する
そんな当たり前の事も分からず期待を胸に帝専へ向かうのだった