戦争実習 5+
「一匹だけなら俺が空から攻撃した方が良いな」
そう言ってグロウは翼を羽ばたかせ空へ舞い上がっていく
翼を持っているのに今まで空から攻撃しなかったのには訳がある
今までの魔物は人と似たような大きさだった
空から導式を発動しても味方が接近戦を主としているため魔物だけを狙うのが難しかったのだ
その場合は後ろから援護と言う形の方がフレンドリーファイアをする確立が低くなるため飛んでいなかった
しかしダイグロスは今までの魔物と比べて大型の部類に入り地に潜っているため接近戦がしにくい
だったら空からの攻撃の方で怯んだ隙に接近戦に持ち込み距離が離れたら導式を放つほうが効率が良いと判断したのだ
「魔力弾を貫通弾へ変換」
俺もこれからは貫通弾だけを使うことにする
放射系魔力弾よりも少ないとはいえ普通の魔力弾より消費魔力が多いため、あまり使わなかったが地中に潜っているなら貫通弾でなければダメージを与えられない
今までの戦闘とさっきの法式で相当魔力を消費したため、しっかりと狙って無駄を無くさないとバテてしまうため気をつけなければいけない
「貫け雷牙!」
グロウがダイグロスに向かって導式を発動する、やはり空から見たら波紋で居場所が分かりやすいみたいだな
「キュロロロロ」
変な鳴き声を上げながらバシャバシャと慌てて避けているため地上にいる俺たちにも場所が丸分かりになる
「逃がさない」
「逃がすか!」
トニスが爪を飛ばし、俺は二発貫通弾を打ち追い討ちをかける
ダイグロスはそれを素早い動きで避けるが
「丸見え!!」
ニキとユウヤが接近戦を仕掛ける
ポチャン
即座に地に潜り身を隠すがニキが地面に向かって発声する
「カァ!」
ドガァ!!
「ギュ!!?」
大声に魔力を乗せ物理的に攻撃が可能なこの技だがこの場合はダイグロスが地上にいる獲物を見つけるために発達した良すぎる聴覚にダメージを与えた
「そこだ!」
たまらず地上へ跳ね出てきた所へユウヤが渾身の突きを食らわせる
ボゴォ!!
槍の周りには螺旋を描くように魔力が流れている
削岩機のような効果を出しているみたいでダイグロスの身体は抉れて大量に出血する
「ギョゴ…」
「黒き炎よ地を焦がせ」
グロウはダイグロスが地に戻る前に真下に地を這う黒炎を発動させる
「ギロロ」
そのせいで地中に戻れず跳ねているところ俺、ユウヤ、トニスで一斉に攻撃を仕掛ける
「食らえ!」
「フッ!!!」
「たあァァ!!」
俺は貫通弾、トニスは爪を飛ばし、ユウヤは槍を投擲
「ギュ…ガ、ア」
それぞれが直撃するが攻撃の反動でダイグロスが黒炎の範囲から出てしまう
ここでニキが急接近し渾身の蹴りを繰り出していた
「昇脚!!」
ダイグロスの真下へ入り込んだニキの蹴りは身体を2m程浮き上がらせる
なんつー蹴りしてんだ、あいつは!!!
「貫け雷牙!」
そして避けようもない空中でグロウの導式に貫かれた
「終わったな」
グロウがゆっくりと降りてくる
「また来るかもしれないが少し休憩しよう、流石に疲れた」
「「だね」」
ダイグロスを倒したのは良いが俺たちはかなり疲労していた
初めての戦場で聞いたことがあるだけの魔物と戦ったのだ
無理もない
全員が生きてるのは奇跡だな
「もう来ないで欲しいね」
ユウヤが弱気な事を言っているが皆同意見のようだ
俺も法式使えたし、満足だ
「それより」
ニキが目を輝かせながら迫ってくる
「ンだよ?」
アレのことだろうな…
「いつの間に二人はあんな関係になっていたのかな~?」
「僕も気になってた!」
「俺も」
ユウヤとグロウが便乗してきやがった
コイツら、あんな戦闘の後だって言うのに元気だな
「いつからって…」
突然やっちまった事だから返答に困る
つーか、いきなりキスしちまったせいでトニスに嫌われたかもしれん
が
「助けてもらったときから」
「「「「え?」」」」
トニスが爆弾を落とした
マジで!?俺たちそんな関係になってたのか?知らねぇ~
「私はレイトの事好きだった」
あ、そういうことね…焦ったし!!
にしてもヤバイ!!顔を真っ赤にしながらうつむいているトニスが可愛くなってきた
三人は呆然としている
ここは男を見せる所だな
「俺もお前の事好きだぜ?」
「「「えぇぇ!?」」」
三人は更に大声を出している
うるせぇな~
まぁ気にしないでおこう
「本当に?」
トニスが上目使いで聞いてくる
「あぁ」
「そう」
その先を待ってるのか?任せろ!
「俺と付き合え」
「うん」
良い笑顔だ!
ポカーンとしている三人を無視して俺とトニスは手を繋ぐ、、ちなみに恋人繋ぎではない
キスは…したかったけど自重した!!
しかし俺ってロリコンだったのか…知らなかった…
いや、この身体は12歳だから大丈夫なはず…はず…はずだーーー!!
まさかの戦場でカップル成立
主人公(実年齢37歳)はロリコンか…
せめて精神異常が進んだせいだと思いたい!!!




