帝立戦闘員育成専門学校 7
最初の戦闘訓練から半年経った
俺たちのクラスでは死人を出すこともなく順調に授業は進んでいる
今も戦闘訓練の最中だ
半年も経てば流石に皆慣れて来たのか、ある程度周りを見ながら戦うことができている
「レイト!そっちに1匹行ったよ」
「ごめんレイト、抜けられた」
「分かった!」
今日の相手は一応鳥類に分類されているが非飛翔型の魔物「ムトギナ」三匹だ
と言っても1グループに三匹だ
クラス全員で三匹ではない
1グループは五人で構成されいているため18匹が訓練場にいる
それぞれ割り当てられた魔物を逃がすことなく殲滅する練習だそうだ
チームメンバーは自分を含めてグロウ、ニキ、ユウヤ、トニスだ
俺は初めての戦闘とは違い今では戦闘時に高揚感を感じるようになっていた
ムトギナは前衛のニキとユウヤを抜けて低い鳴き声を上げながらこちらに向かってくる
「グッ!ググッ!」
「一匹で何ができる!調子に乗んな!」
どんなに羽ばたいても飛べない羽(手?)をバタバタさせながら突進してくる姿は中々面白いが、その力は侮れない
前面に魔力を「>」の形で形成しており、更には羽?から30cmほどの鋭い爪を4本形成しながら突進してくるため正面から受けても横に避けようとしても切り裂かれてしまう
しかし上空と後ろからの攻撃には弱いため対処は難しくない
本当はニキとユウヤに攻撃してもらえると一番楽だがあの二人はグロウの援護を受けながら二匹を相手している為、こいつへの攻撃は無理だろう
「トニス、やるぞ!!」
「ん」
俺とトニスの二人で対応することになるが、まぁ楽勝だろう
まず正面から俺が魔力弾を、トニスが伸ばした爪を切り離しながら遠距離攻撃
意識をなるべく後ろに控えているグロウではなく俺たちに向かうように誘導する
「ググググ!!」
避けても爪が当たらないぐらいギリギリにまで近寄らせて二人で左右に分かれる
そうするとムトギナは俺の方に向かって来た
ここまでは作戦通り
さらに魔力弾を打ち込むと俺への敵意が強くなるのを感じる
相手は全くの無傷だが気にしない
しかし後ろに位置するトニスにとっては、ただの的だ
「援護!!」
「ヒートクロウ…ショット」
トニスは熱を持った爪を飛ばしてムトギナの背中に命中させる
「グギャ!」
前面に展開されていた「>」型の魔力が薄くなる
ここが攻め時だ
「魔力弾を火属性へ変換、熱傷の付属を強化!!」
俺は走りながら魔力弾を火属性へと変換させ
「死ねぇぇ」
振り向き様に打つ
ドドン!
「グキャ、、、」
俺の魔力弾は薄くなった魔力を貫通し一発は頭に、もう一発は胸に当たる
「グッウ!グッ!グ…」
頭と胸に残っている俺の魔力が熱で内側から焦がしていくため、苦しいのかジタバタしていたが、すぐに動かなくなり
「これで最後」
と、追いついてきたトニスが爪を振り下ろし止めを刺した
「ザコだったな」
「簡単」
軽く掌でタッチした後にニキとユウヤの様子を見ると、向こうも戦闘が終わり俺たちに手を振っていた
「おい」
ダーウィンが珍しく戦闘訓練後に俺達のグループに声を掛けてきた
俺は最初が最初だったからかこいつを「先生」とは呼んでいない
皆もあまり良い印象はもっていないので誰も返事をしない
しかし、気にした風もなく話し始める
周りには、まだほとんどの生徒が戦っている最中だというのにだ
最低だ
「中々優秀だ、これ以上いくらザコを倒したところで貴様らは強くなれん。次回からは戦争の補給部隊についていけ」
突然転送システムを起動させ
「俺はこの事を申告してくる、もし危ない奴らがいたらお前らが助けてやれ」
それだけ言って消えていった
相変わらず無茶苦茶な奴だな
「生徒のお守りを生徒にやらすのかよ」
グロウのつぶやきに
「それだけ認めたれたってことだよ?」
ユウヤが前向きな事を言っていた
「私達だけ実践?他の子に悪いな~」
ニキはため息をつきながらズレた事を言って
トニスは無表情で俺は顔のニヤつきが止まらなかった
ムトギナは全長150cmぐらいのペンギン型魔物です
一匹だと大したことないですが集団だと恐ろしい敵です
だって、そこそこ長い爪を無茶苦茶に振り回しながら「>」型の魔力で突き刺そうとして突進してくるんですよ?
こいつに比べたらリザイドなんて可愛いもんです




