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帝立戦闘員育成専門学校 5 継続、そして終了

「トニス!!」



「「「え?」」」



俺は慌てて叫び走り出す



三人は突然の事で反応できていない



リザルドは今まさにトニスに食いつこうとしている


「さ、せるかぁ!!」



まだ起動したままだったフール・デュエットを走りながらリザルドに照準を合わせ撃つ



ドドンッ!



リザルドは銃撃に構わず食いつこうとしている




元々極限まで腹が空いており先ほどの戦闘とようやくありつける食事に興奮し痛みを感じなくなっているのだ




(駄目だ!間に合わない!!)



恐怖から青ざめて絶望した表情をしている涙目のトニスと目が合った



『助けて』



そんなことを俺に言っているように感じた




時間が遅く感じる


アァ…止めろ!止めてくれ!



「やめろおおおおぉ!!」




ドドドドドド!



何度撃ってもリザルドはこちらに意識をむけない



そして、ついに



トニスは頭から胸にかけて噛み付かれる



身体を力強い腕と鋭い爪で押さえられ、リザルドは噛み付いたまま頭を持ち上げようしている



あと数瞬でトニスは身体がちぎれて死ぬ



どうしようもない、頭が混乱しているこんな状況でも分かってしまう



嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだイヤダイヤダ!!!!


まともに話なんかしたことはない、でも少し一緒に戦ったんだ!勝ったと思ってた!

一緒に勝利の余韻を味わいたいと思ったんだ!一番に俺を助けてくれてありがとうって言いたいんだ!!


それをこの魔物は奪うつもりなのか…俺達の初めての勝利に泥を塗るのかこの化け物は!!




ソンナコト…サセルカ






人間族はなぜ魔力を体外に放出できないのか、様々な論文が発表されているが答えは出ていない

魔力を放出する理論は確立されているにも関わらずだ


遥か昔そもそも人間族は魔力放出できていたという意見がある

だが人間族はその力に耐えれる身体と精神ではなかった

使うたびに身体は傷つき精神が磨耗し寿命が短くなる、それでも人間は魔法の利便性から手放すことが出来なかった

年々短くなる人間族の寿命、恐らく平均寿命は30年以下だったのではないかと推測されている

人間族は自ら絶滅への道へと向かっていた

しかし、ここで種としての生存本能が働く事となる

人間族を絶滅させまいと身体そのものが根源である魔力を放出できないように蓋をした

だが、人の意思は強すぎた

どれだけ身体が魔力を出さないように蓋をしても、人間は様々な研究を行い結局は蓋をこじ開け魔力を使えるようになってしまった

更に深層意識が表層意識に働きかけ魔法を使いたいと言う意識を薄め魔法以外の別の何かに関心を持つように働いた

結果、人間族は徐々に「科学」に惹かれていく

自らの寿命を犠牲にしてまでも惹かれていた関心が「科学」に向いたのだ

いや、今でも向き続けている、まさに種としての生存本能の勝利である

それが今の世界のあり方に繋がっている


という説が有力だ



しかし、これが正しかったとするとこの世界にただ一人当てはまらない人間族がいる


レイト・F・クオンだ


科学が発展し魔法に憧れる世界の住人


身体はこの世界のものでも意識は別世界のもの


科学によって人間族でも無理なく魔法が使えるようになった時代だが、中二病よろしくな詠唱を練習したこともあった


結局成功することは無かったが、幸か不幸か、ここでついに成功してしまう



「ギ、ガ、、」


光り輝く三つの魔法陣がリザルドに重なりその身体を拘束する


身体が全体的に麻痺したように動かないことに戸惑うリザルド



それでも久しぶりに口の中に広がる妖族の女の血は美味くさらに肉を食み骨を砕こうと顎に力を込めるが動かない



レイトはもう走っていない、その場に留まっている


ただ、手をリザルドに向けていた


レイトが指をわずかに動かすと一つの魔法陣が顎の部分に移動し収束する


すると、、ブチッ


という


鈍い音と共に顎がちぎれる


本来なら激痛で叫びを上げるはずのリザルドだが、声も出せていない


ここでトニスがようやく開放された


意識はなく出血がひどい、呼吸はしているが何時死んでもおかしくない状態だと誰でも分かるほど血まみれだった



一刻も早く医療者に診てもらう必要がある



レイトはリザルドを睨み



「ツブレロ」


と向けていた掌を握る


すると残り二つの魔法陣が収束しリザルドは潰され息絶える


レイトもその場で倒れてしまう


「早く、トニスを医者に…」


とんでもない疲労感と身体の痛みのせいでそう言っただけで意識を手放してしまう


それでも


どうかトニスが助かりますようにと願わずにはいられなかった

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