帝立戦闘員育成専門学校 ５ 初戦終了
地面に打ち込まれたリザイドはそれでも這いながらグロウに向かって直進していく
「ヤバ！」
ニキはさっきの技は連発できないのか空中にいるため支援は出来ない
「うぅ…な、舐めるな！俺だって…黒き炎よ地を焦がせ」
グロウは怖がりながらも短い詠唱を完成させる
ゴウ！と言う音と共に黒い炎が地面に現れる
「アギャ！アギャ！」
リザイドがあまりの熱さで小さいジャンプを繰り返している
だが炎の猛りがもう弱まってきていた
恐らく精神が不安定だったせいだろう
すぐに効果が切れて怒りのままグロウに向かおうとするが
いつの間にか戦線に加わっていたユウヤが槍で真横から牽制する
まさに横槍を入れていた！！！
えっと…ごめん
「ガアァァ！」
ニキが着地し気合の発声でリザイドに向かっていく
ニキの声に気をとられたリザイドはユウヤに攻撃され、グロウは精神を落ち着かせ詠唱を始めた
二人の連携は即興なだけあってお互い邪魔することもあったが徐々に良くなっていった
ニキは拳に魔力を纏わせて筋力を強化しているのかドガァやバキィといかにも痛そうな音をたてて外皮を凹ませている
ユウヤは槍が微かに光っており硬い外皮を徐々に切り裂いていく
あれは切れ味向上の効果が出ているんだろう
「「はあぁぁぁ！」」
危なくなれば援護しようかと思っていたけど必要なさそうだ
更にリザイドの動きが見るからに鈍くなっていく
止めとばかりにグロウの詠唱が終わり導式が発動する
「地より湧く黒き炎、すぎた渇きを汝に与えん」
二人が離れた瞬間、リザイドの足元から黒い炎が現れ絡みつく
「アギャアアァァ」
必死にもがいているがどんどん包みこまれていく
すぐにリザイドの姿が見えなくなり
黒炎が消えると干からびた、と言う言葉がぴったりな変わり果てた姿のリザイドが現れた
確認するまでもなく死んでいる
静まりかえった訓練場
しかし、すぐに
「よっしゃー！」
「勝ったんだ」
「助かった！」
「死ぬかと思った」
「もう駄目かと思った」
「もう帰るーー」
と、周りが騒ぎ出した
「ふう、何とかなった」
俺は生き残れたこと、誰も犠牲が出ていないことにホッとして、地面に座り込んだ
そこに
「「「レイトー」」」
と
グロウ、ニキ、ユウヤが集まってきた
「皆ありがとな、助かった」
一人でやっていたら勝てなかっただろう
だから、お礼を言うと
「あぁん？礼を言うのはこっちだぜ？」
「うんうん！それに格好良かったよ！」
「そうだよ、お礼を言うのはこっちだよ、最初に僕達を守ろうとあいつらの気を引いて戦ってくれてありがとう、おかげで心の準備をした後に戦うことが出来たよ」
驚いた
こんな言葉達をもらえるなんて思ってなかった
とても嬉しい
自然と笑顔になる
やっぱり戦って良かった
「ありがとう」
「「「また言った」」」
「あ」
はははは！
皆で笑い会えるって良いことだな
そうだ、もう一人お礼を言わなきゃならない人がいるんだった
そう思いさっきまでトニスのいた方を向くと腹から血を流しているリザイドがトニスに覆い被さっていた
