帝立戦闘員育成専門学校 5 初戦
フール・デュエットは二丁銃の名前だ
どっちかがフールでどっちかがデュエットとか名前が分かれているわけじゃない
二丁合わせて「フール・デュエット」だ
この二丁銃の銃口下には片刃が装着してあって接近戦も可能にしてある
中距離と近距離戦を想定した武器で王立学園の模擬戦の時はこれで負けなしだった
俺の精神年齢で子供に勝ったからって自慢したら恥ずかしいだけだが子供に負けるのは俺のプライドが許さなかった
つまり恥ずかしながら同年代では相当な実力者となっているのだ
しかし、そんな俺が
「ギアアアァアアァァァ」
「っ!?」
三匹のリザルドに決定打を与えられずにいる
「くらえ!!」
ダダン!ダンッダンッ
「ギャウン」
でも良く考えて欲しい
普通に12年しか生きていない子達に戦わせるのは酷過ぎるだろう
やっぱりここは俺が頑張るしかない
今の俺を奮い立たせているのは精神年齢が大人としての責任感とちっぽけなプライドだった
「うおおお!?」
一匹が突然口を大きく開きながらその巨体で跳んでくる
左に避け地面に転がるが、その先には同じく跳んできたであろう二匹目のリザルドが腕を振りかぶっているのが見える
振りかぶっている腕に立ち上がりながら魔力弾を当てていると、横から「ゴオゥ」と恐ろしい音を立てていたので音のしない反対方向へと思いっきりジャンプした
三匹目だ
また向かって来そうになるが一匹は集中的に腕に攻撃されたからか動きが鈍い
素早い二匹に連発して牽制すると何とか距離を置く事ができた
「はぁ、はぁ、うぐ」
吐きそうになるのを我慢する
今のが当たらなかったのは偶然だ…
当たり所が悪ければ死んでいたかもしれない
背筋が凍る思いをしたのは初めてだ
…いや
問題は他にもある、単純だったとは言え連携してきたことだ
それだけの頭があるってことと冷静になってきた証拠だ
このままじゃ、いつ他の生徒をターゲットにするか分からない
その場合、誰かが死ぬかもしれない
駄目だ!それは駄目だ
三匹共に何発も魔力弾を当てて出血させてるとは言え、まだまだ余裕がある
特にあの外皮が厄介だ、硬くてまともに攻撃が通らない
でも体力的に持久戦はできない、すぐに決着を付ける必要がある
恐怖で身体が動かないなんてことは無くなったが、今度は体力が無くなって動けなくなりそうだ
他の子を見てる余裕はないが、三匹とも俺が引き付けてるため怪我人はいないはずだ
と色々考察していると
突然リザイドが周りを見た、一匹は俺のままだが他の二匹はそれぞれ身体の向きを変えやがった
やば!!
「ヒィッ」
狙われた子は悲鳴は上げるが腰が抜けて動けないようだ
くそ!
時間がない、あぁぁもう!戦術を考えときゃよかった
「おい!くそトカゲ共、よそ見してる暇あんのか!」
「「「シャァァァ」」」
叫びながら突撃し、後ろ向きになっていた二匹もこちらを向く
またまた、大口を開けて跳んでくる三匹
予想通りの行動につい笑みが浮かぶ
「そんなに腹減ってるなら…これでも食らいやがれ!」
さっきから撃たずに溜めていた魔力弾を左右二匹の大口に向かって放つ
ドドン!!
ぶっちゃければただのチャージショットだ
だが効果は薄い
ほんの少ししかチャージ出来ていないからだ
しかし二匹の口の中に向かって放てば、かなりのダメージになるだろう
「「………!!!?」」
空中で二匹とも体制を崩し地面に落ちる
かなり効いたようだ
ジタバタともがいている
ザマァ!!!!
迎撃に成功したのも束の間、目の前にはもう逃げれないぐらい近くにあるリザイドの大口があった
(あ…)
迎撃するため銃口を向けようとするが間に合いそうにない
瞬間、目の前の「死」にひどく恐怖する
(ここまでやったのに…俺は死ぬのか?いやだ!!怖い)
その恐怖から逃げるため目をつぶる
シュン
が、いつまで経っても衝撃がこない
その代わり、小さい何かを切るような音が聞こえた
恐る恐る目を開けると、そこには




