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「うわぁ!これが森の外に外か!」
辺りは草原で森からは川がずっと続いてる。遠くには大きい山が見える。
「まずは人の居るところまで行かないとだね。風の精霊に聞いてみよ!」
優斗は周りにいた、風の精霊にどっちに行ったらいいのか聞いてみた。
…川に沿って行ったらシェスタの町があるよ…
「フムフム、こっちかありがとう!え、歩いて3日位?結構かかるなぁ、まぁいいや」
優斗は川に沿って歩きだすと更に風の精霊が話しかけてきた。
…運んであげよっか?…
「お願いしていい?」
…いいよ♪じゃーいくよー…
優斗の足は地面から離れて空に舞い上がった。
「わぁ♪気持ちいいね♪これならすぐに着きそうだね」
そして優斗は後ろを振り返って森を見つめて。
「父さん、母さん行ってきます!」
「きゃぁぁー」
しばらく空を飛んでたら誰かの叫び声が聞こえてきた。
「なんだろ?風の精霊さん、あっちに行ってもらえないかな?」
「誰か助けてぇ!きゃぁぁ」
女の人が、何かに追いかけられてるのが見えた。
「ん?あの人の傍におろして」
…うん。了解…
「ねぇねぇ、お姉さん追いかけっこしてるの?」
「は?いやいや、ゴブリンに追いかけられてるの。というかあなたどこから出てきたのよ!」
「え?空からだよ。ゴブリン?」
「話が合わない、何でこんな所に子どもがいるのよ!」
「叫び声が聞こえてきたから来たんだけど」
「あぁ、もうあなたは逃げなさい!それくらいの時間は私が稼ぐから!」
そういうとお姉さんは立ち止まり後ろを振り返った。
「ファイヤーボール!」
お姉さんの手から火の玉が出て一体のゴブリンを焼き払った。
「ギャー!」
残り9体、お姉さん強いし、逃げる必要なかったんじゃないかな?
…あの人魔術師みたいね。一人しかいないし、助けてあげたら?…
「あいつらは倒していいの?」
…魔物だから、全然いいよ。手助けはするよー…
「うん、分かった!」
「ギャー!」
話してるうちにもう一体火に包まれていた。残り8体もうすぐそこまで来ていた。
「はぁはぁ、私はこんな所で終わりたくない!」
「ギャギャ!」
「シャー」
「ギギ」
「お姉さん、僕も戦うよ!」
「まだ居たの!勝てる訳ないじゃ……!」
チン
あの子、いつの間に、ゴブリンの後ろに!それに今の音は?
ドス!ドス!ドス!
ゴブリンの頭が8個地面に落ちた。
「ぇ!なにが?…あの子がしたの?」
呆然とする私にあの子が話しかけてきた
「終わったよー♪」
「あなた、なに…?」
私はその子をゆっくりと見た。長い黒髪をポニーテールにして、大きな黒目でこちらを見上げるその体はどう見ても10歳位の女の子だった。
「だから終わったって、大丈夫?」
「え…あぁ大丈夫?助けてくれてありがとう。私はアンネ、あなたは?」
「僕は、優斗」
「ユート?僕って男の子?」
「うん。男だよ、何で?」
「だってどう見ても女の子だよ。それにこんな所で何してるの?」
「旅してるの。シェスタの町に向かってたんだけど」
「え!でも旅する格好じゃないよ」
優斗の格好はブーツに黒い動きやすそうなズボン。上は青いシャツに黒いジャケットだった。腰から下げた剣と二つの袋位しか持ってない。
「そうなの?今日初めて出たから分からないけど?お姉さんは?」
「私は依頼で薬草採取に来てた…っていけない!
」
アンネは今走ってきた方に戻って行ったのでついて行った。
「良かった~、ちゃんと残ってた!」
アンネは大きなリュックを抱いていた。お姉さんは少し濃いめの金髪を肩にかかる長さにして、大きな目は青色。茶色のローブを腰のベルトで絞めてて丈が短いのか膝上までしかない。動きやすそうなブーツは履いてるけど、依頼ってなんだろ?
「ずいぶん遅くなったけど今から帰れば夜には着くかな?ねぇ優斗、今からシェスタに帰るけど一緒に行く?」
「うん。いいよー」
「じゃあ行こっか」
アンネは歩き出したので横を歩いて色々話をする。
「お姉さん、依頼ってなに?」
「私は冒険者で薬草を採取する仕事を受けてここまで来たってわけ」
「へー冒険者なんだ?僕も冒険者になりにきたんだよ」
「その歳で?大丈夫なの?ってあれだけ強かったら大丈夫みたいだけど」
「強いのかな?僕、父さんと母さん以外と初めて話したんだけど」
「えっと、お父さんとおかあさんは?」
「しばらく会えないって、だから人の町にに行って冒険者になりなさいって言われたの」
「ふーん?どこに住んでたの?」
「この川をずっと行った森だよ」
「精霊の森?あんな所に人が住めたかな?」
「うん。住んでたんだもん。あ!あれが町?」
「そう。あれがシェスタの町。結構大きいでしょ?」
「うん。大きい。どれくらい人がいるの?」
「一万人位かな?そういえば身分証明出来る?」
「身分証明ってなに?」
「出来ないな、これは…私に付いてきてね」
「うん。」
町の入り口に近づくと男の人が二人門に立っていた。
「お疲れ様です。私、依頼で今戻ってきたんだけど、この子も通してもらえません?」
「お疲れ様です。ではこちらの詰所で手続きしてください」
「手続き?」
「そお、通門書が要るのよ。字は書ける?」
「字ってなに?」
「書けないよね。私が代わりに書いてあげる」
「名前はユート。歳は?」
「10歳」
「目的は冒険者ギルドに所属っとこんなものかな?はい門番さんに渡して来てね」
「はーい、門番さんこれ!」
「お!これが通門書だよ。無くさないようにね。ギルドでカード作ったらそれが身分証明になるから通門書はギルドに渡して下さい」
「はーい、分かりました」
「じゃ、行こっか、ギルドはこっちだよ」
アンネについていくと大きな建物が見えてきた門の所に剣と杖を十字にした紋章が見える。
「あれが冒険者ギルドの看板でここがギルドだよ」
中は酒場みたいだけど、奥の方にカウンターが見える、あっちで色々手続きするみたい、アンネが手で招いている。
「ここで登録の手続きするのよ。私はあっちで報告してくるから。じゃミーナさんお願いしますね」
カウンターには長い銀髪が腰の辺りまである翠の目と長い耳が特徴的な美人が手で振っていた。
「お願いします。凄い美人ですね」
「ありがと♪あなたも可愛いわよ。私はミーナ。ギルドの受付よ。ヨロシクね♪」
「はーい。登録したいんですけどいいですか?」
「はい。まずは…字は書ける?」
「書けないです…」
「じゃ、私が代筆するから質問に答えてね」
「はい」
「名前と年齢。種族と性別は?」
「優斗、10歳。人間で男です」
「はい。て男の子?女の子かと思ってたわ。次は特技ね」
「刀の扱いと精霊と話せる事?」
「はい。刀?珍しいね。精霊と話せる人間はもっと珍しいけど」
「他には何か聞くの?」
「後はこのカードに一滴血を垂らして終わりですよ」
一枚の金属で出来たカードと小さなナイフを差し出してきた。
僕は指にナイフを当てて血を垂らしながら
「どうなるの?」
「これは特殊なアイテムでその人の強さやスキル、ギルドランクが表示されるのよ」
「へー、そんなのがあるんだ?」
「完成したわよ。読んであげましょうか?」
「うん。お願い」
名前 ユート
種族 人間
年齢 10歳
性別 男性
ギルドランク E
加護 精霊の寵愛
「…デタラメな加護ね?本当に10歳の子ども?あまり他の人には見せない方がいいわよ」
「そうなの?分かった」
「ギルドランクは依頼を達成していったらあがるわよ。ステータスは経験を積んでいけば上がるから。後はアンネにパーティー登録されてるからアンネに聞いてね」
「はい。ミーナさんありがと♪」
「終わったようね、じゃ宿に行こっか?ってお金持ってる?」
「お金ってなに?」
「持ってないなこりゃ…換金出来るアイテムとかは?」
「ちょっと待って、この袋の中に一杯入ってるから」
優斗は腰にある袋の一つから薬草や宝石の原石を取りだし始めた。
「ちょっと待って、待って。それだけあれば大丈夫だから止めて」
私は慌てて止めた、なに?この袋?ミーナさんも驚いてないで止めてよ!
「あはは …ミーナさんこれ換金してもらっていい?」
「はい。ちょっと待って下さいね。……とどこから持ってきたんだろこんな上位素材。っと全部で10000Gです。はい。こちら」
ミーナさんは十枚の銀貨を差し出してきた。
「ありがとー」
優斗はもうひとつの袋にお金を入れてる。
「さぁ、宿に行くわよ。私の泊まってる宿でいいよね?」
「うん。いいよ、いこー」
そして私達は宿に移動した。今日は疲れたな。