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Held Flugel  作者: アクア=イスタロス
第1章―闘技大会編
5/16

第四話

3/15

第三話の改訂により、第四話及び第五話を削除させて頂きました。

改訂版はすぐに投稿できると思います。

その後…僕達は色々なクラブを巡り、半月過ぎた頃より始まった単独見学では結果的にザール君が勧めた魔闘部と最初から行きたかった魔法部の二つを中心にいくつか周ってみた。

その結果、どっちも良さがあり、捨てがたかったのでリュラン君に相談してみた。


「――という訳なんだけど……僕、どうしたらいいのかなぁ…?」


「…相談する相手の選択肢に俺が入っていることに驚いたよ」


「でも、前の時はすごく納得したし。も、もちろん担任のエミリア先生にも相談するつもりだけど……やっぱり、リュラン君に意見を聞きたくて」


「…後悔しない道を選べ」


「後悔しない…道?」


「ああ」


後悔しない、か。

難しいけど…まさにその通りだよね。


「…うん。やっぱりリュラン君に相談できて良かった!ありがとう!」


「…そうか」


リュラン君はそのままベッドに寝転がって寝入り始めちゃった。

…いつも部屋では寝てる気がするけど…気のせいだよね。

もう一人の住人であるザール君は今日も懲りずに先生に怒られて居残り掃除を命じられていた。

原因はいろいろあるけど……自業自得だよね。



話は変わり、明日はいよいよ仮入部の申し込み期限だ。

この仮入部では、明後日からの一週間、申し込んだクラブで先輩に交じってクラブ活動に参加することが可能になる。

見学しかできなかった今までとは違い、活動を体験することでそのクラブの空気や中身を実際に身体で感じる事が出来るのは大きい。

話と実際では違うこともあるみたいだし、ちゃんと見極めないといけない。

…とまぁ、心構えを作ってみたのはいいけど、実際僕に出来る事は少ないのが現実で…。

ガクッと落ち込むと聞き覚えのある声が耳に届く。


「アランく~ん」


「あ、エミリア先生。何かありましたか?」


「いえいえ、アラン君が落ち込んでいる姿を見かけたのでどうしたのかと思いまして」


「そ、そんなに落ち込んで見えましたか!?」


「えぇ、それはもう」


どうやら知らず知らずのうちに心配をかけてしまったようだ。

――丁度良い。

エミリア先生にも聞いてもらおう。


「あの、エミリア先生。いまからお時間はありますか?」


「?少しぐらいならありますけど、どうかしましたか?」


「あの――」





「……なるほど。つまり、一つに絞るか二つとも頑張ってみるか悩んでいるわけですね」


「はい…」


「私から率直に言えば、二つとも参加してみてはどうでしょうか?今の段階で無理に絞る必要はないですし、あくまで仮入部です。本入部ではないのですからそこまで深刻に考えずともいいと思うですよ」


エミリア先生に相談して良かった。

そう、思えるような意見を教えてもらえた。

さすが先生だね!


「ありがとうございます!とりあえず、先生の御言葉通り二つに仮入部してみます。それでは、失礼しました」


「いえいえ、頑張ってくださいね~」


まずは紙を貰いに行かないとね。

エミリア先生と別れた僕は生徒支援室へと向かう。

そして、その場で魔闘部と魔法部の二つに仮入部するための申請書を書いて提出した。

担当した人は少しだけ驚いてたけど何も言わずに受理してくれた。

よし、あとは明後日から頑張るだけだ!





―――――――――――――――

―――――――――――――――

―――――――――――――――





例えばの話だ。

仮に、君達が六人でパーティを組んでいるとしよう。

迷宮の探索中に君達の内の誰かが怪我をして動けなくなってしまった。

傷薬は一つしかなく、街までの距離は遠い。

もしここで最後の一つを使ってしまえば、この先怪我をしてしまえば助からないかもしれない。

だが、ここで怪我をしている者を見捨て、そのまま街へ向かうのはどうだろうか?

元気な者達だけであればすぐに街につくかもしれない。

そうすれば、一人減ってしまうかもしれないが、他の五人は生き延びることが出来る。


一人のために五人を危険に晒すか。

五人のために一人を犠牲にするか。


さて、ここで君達が取るべき正しい行動とはどちらであろうか?





―――――――――――――――

―――――――――――――――

―――――――――――――――





「そんなの、傷薬を怪我した奴に使ってやって迅速に街へ向かうべきっしょ!」


「ほぅ。どうしてそう思うのかね?」


「そりゃもちろん……アラン、パス!」


「えっ、僕!?ザール君が最後まで答えなよ!」


「いやあー、オレには思いつかねぇ!」


「自信を持って言うなー!」


「二人とも、落ち着きたまえ……」





先生の言葉に笑いを堪えていた生徒が噴き出し始める。

別にコントとかをしてるつもりはないんだけどなぁ……。


新入生は、半月の一斉クラブ見学を終えた後、単独見学が解禁されるのと同時に一ヵ月間だけ通常の講義とは別に、特別講義というものを行う決まりになってます。

行う内容は、主に初心者が経験しやすい緊急事態を想定した対処です。

そして今回、僕達が受けているのは“生存学”という怪我とアイテム不足から成り易いパニックを想定した時の主な対処を学ぶ講義です。


学園の講義には、教室で行なう座学や闘技場で行なう実技の他に、ギルドの依頼や迷宮探索のような実地訓練があります。

その中でも、やはりギルドや迷宮では戦闘が少なからず発生します。

その時、無傷で生き残れれば問題ないけど、現実では少なからず傷を負うでしょう。

その状況で、どういった行動を取るべきか、またどのような処置をするべきか。

さらに言えば、戦闘が起こることによって死亡の恐れがある際の対処なども学んでいます。

考えたくはないですけど、可能性もあることですし、しっかりと覚えたいです。





――と、決意した30分後には隣のザール君によって半壊したけど。





「全く。フィール君。意見を言えることは素晴らしいことだが、考え無しの意見では当てにされないかもしれない。それが例え正しくても、世の中には間違いがまかり通る時もあるぐらいだからね」


「あはは、問題ないですよ~。もちろん、例え話だからって事もありますけど、本当にそんな事態に遭遇したら、もっと違った選択肢があると思っただけですよ。今は魔法もありますし、周りに傷薬の元となる薬草もあるかもですし」


「……まあいいでしょう。では、続けて――」


真面目なのか不真面目なのか。

ザール君の楽観的な発言にクラスの皆は失笑したかのように口を押さえていた。

でも…もし、僕が先生の言ったような場面に遭遇したらどうするのだろうか。

五人を守るために一人を見捨てるのか?

いや、そんなこと、僕には出来ないだろう。

皆そろって街へと戻るために頑張る筈だ。

だからこそ、どんな時にでも対処できるように、常日頃から学ぶべきなんだ。


「……アランって、めっちゃ真面目だよなー」


「ザール君が不真面目すぎるだけだと思うよ」


「やははー」


普段から軽い発言を繰り返しているザール君はクラスの皆から「不真面目だけど面白い奴」と言われているのを耳にした。

もちろん、言ってるのは男の子だけで、女の子からは「最低」って聞く。

僕は日頃一緒にいるから分かるけど、言葉が不真面目なだけで、授業態度は結構真面目だし、実技は一度だけしか見てないけどスゴイと思う。

つまり、普段から真面目になれば……あれ、真面目なザール君を想像できない…。


「…ごめん、ザール君」


「き、急にどないしたん?オレ、アランに謝られるような事したか?」


「ううん、気にしないで。ザール君が急に可哀想に思えてきただけだから」


「ホ、ホンマにオレ、何かしたー!?」


今度からもう少しだけザール君に対して優しくしようと思う。

そんな他愛のない決意をした。


「……必要ないと思うが、な」


リュラン君は相変わらずだった。





∽to be continue∽

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