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Held Flugel  作者: アクア=イスタロス
第1章―闘技大会編
15/16

第十四話

今回は主人公がほとんど出てきません。

まぁ、マスコットですし(ぁ


戦闘シーンな筈なのに会話が主という残念クオリティですが、どうぞ。

時は流れ、早くも闘技大会の予選日。

……え、早すぎるって?

作者が面倒だからって僕達の日常をすっ飛ばしたのが原因だよ。

えっと……前回から変わった事と言えば、僕は火の魔法が少しだけ使えるようになった(手の上に小さな火の玉ができた)ぐらいかな?

他にあったのは、ザール君は時折講義にいないことやエリンを介してリセルと少しだけ話せるようになったこと、リュラン君がレクスさん(名前で呼んで欲しいって言われた)に相変わらず追いかけ回されているぐらい。


そして、今日は闘技大会の予選が開催される日だ。

出場者の中にはリュラン君とレクスさん、そしていつの間にかザール君の姿がある。

グラルさんの話では1年生が代表入りしたのはここ10年ぐらいはなかったことらしい。

観客席はどこもかしこも人だらけで、空いてる席は探すのが難しい。

僕は聖グランベリア学園の応援席だから楽に座れた。

隣にはエリンがいて、その隣にはリセルがいる。


『まず、ルールを説明しましょう!各学園から選抜された50名の代表の皆さま――今年は合計で300名に達しましたが、事前に4ブロックに分けられております!この中から各8名……すなわち、全体で32名の方だけが本選へと進めるのです!』


つまり、各ブロックには75名もいるのか……。

えっと……確率的には0.1%……か。

10人に1人しか通れない狭い門を賭けてこれから激戦が繰り広げられるわけだ。

何だか、ドキドキしてきた。


『戦闘方法はバトルロワイヤル!どんな手段でも問いませんが、条約で禁止されている薬物、及び魔法を使用した時点でその人物は失格となり、所属学園には厳重注意の上ペナルティが適用されますのでお気を付けください!』


『なお、審判にはクラベリア帝国騎士団の方々がついていただけるので安心して戦ってください!それでは、大会責任者であるダイグラムさんより開会の挨拶をお願いします!』


解説の人から責任者と呼ばれた人物が前へと現れる。

恰幅の良い年配の人だ。

でも、目の鋭さが少し怖く感じる。


『先に自己紹介をしよう。闘技大会責任者であるゴトー・ダイグラムである。最近は開く度に選手の質が上がっているように感じ、見ているこちらも大いに楽しませてもらっている。また、選手の戦いに対する姿勢も良く、反則行為で失格になった者もほとんどいないので、今後も徹底して欲しいと願うばかりだ。――それではこれより!第59回闘技大会予選を始める!!』


『わあああああ!』


『それじゃあ試合の方に移りましょう!Aブロックの選手の方以外は控え室にお戻りください!今から10分後に第一試合を開催するぜ!!』





――外から大きな歓声が聞こえる。

どうやら白熱しているらしい。

それに対し、選手控え室の空気はピリピリと緊張が走っており、どことなく冷たい。


「リュラン。そなたはどこのブロックだった?」


「……Cだ」


「そうか。ならば本選までは当たらぬな」


「……そういうお前はどこなんだ?」


「Dだ。おそらく、最後のトリを飾れという意味なのだろう」


「……今回だけは頑張れと言ってやる」


「ふっ、いつもそのように素直ならばいいものを」


「なれるか……ッ」


その中でも比較的空気が柔らかいのは聖グランベリア学園の一角である。

最も、周りからすれば空気の凍る光景に違いはないが。

なぜなら正真正銘の姫君殿下に対し、同等の態度で話しをする者がいるからだ。

普通ならば不敬罪で処刑されるかもしれぬ場面だが、その本人が微笑んでいるところを見ると許されているのだろう。

もしかすれば、実力を認められてそうなったのかもしれない。

――と、事情を知らぬ者からすればこういった考えが浮かぶだろうが、実際は違う。

実力を認めたのに違いはないが、どちらが上なのかと聞けば姫であるレクスではなく、隣の青年、リュランであると答えが返ってくるだろう。

そして、隣の青年はレクスが関わってくる事を面倒だと思っているのだとも。


「1年生は気楽でいいねぇ。こっちは勝つ算段を考えていて疲れているってのに」


「まぁ、そんなもんだろう。それに、あいつらの強さは半端じゃない。クラベリアに至ってはあの魔法もあるしな」


「あー、そういえば禁止されてませんからね。あの魔法」


「そういうことだ。もし、開始早々放って見ろ。ほとんどが対処できずに壊滅状態だ」


「あはははは……」


そんな1年生を持つ先輩たちは心労が絶えないようだ。

主に、対処やら後始末やらで。


『決まったー!これでAブロックの勝者8人が決定したァ!続きまして、Bブロックの試合を始めるぜ!!』


外からの放送に続けて闘技場への入り口から8名の勝者が戻ってきた。

誰もがボロボロであり、接戦の末の勝利である事を窺わせた。


――因みに、グランベリア学園所属の者は8人中6人。

このことから、グランベリア学園の質の高さが良く分かり、そんな者達に勝ち、代表の座を奪った1年生の実力の高さに他の学園の者達は恐々とした表情を浮かべた。





ちなみに、ザールは全く会話に入れず、隅でいじけていた。





――――――――――

――――――――――

――――――――――





『――続きまして、Cブロックの試合を始めます!選手の皆さんは会場へお越しください!!』


「いよいよだな」


「はい」


入口付近にて。

正面を見つめるのは部長であるグラル。

そして、隣には同じブロックであるリュラン。

同じクラブであるが、試合では別だ。

最高学年と新入生の違いはあるが、共に強者である事に違いはない。

グラルは部長として、リュランは(嫌々ではあるが)王女レクスを破った1年生として、共に戦場へ赴く。


「互いに戦わない事を祈る」


「もちろんです。極力そちらにはお邪魔しません」


あまり話さない筈のリュランも試合への高揚感からか、丁寧な口調でグラルと話す。

その姿にニヤリとしたグラルは戦場へと歩き出す。

今、試合への幕は開かれる。





『それでは、Cブロックの主な選手を紹介しましょう!グランベリア学園からは前回優勝者、グラル・シードを始め、ニコラス、ライデン、フラル、カリン、ディロンなど、多くの実力者が揃っているぞ!次はブライゼル学園!ダリル、ケーン、タリスを筆頭にこちらも実力者がいるぞ!そしてシューン学園!残念ながら有名なのは部長であるガーランぐらいだが、無名の強者が現れる事を期待しようぜ!さらに、トルタゴ学園!グリス、グリア、グロウ三兄弟の強さは毎年有名だが、今年は何処まで行けるのか!?ヤマト学園!サライ、ミカヅキ、トウサカの連携は類を見ない程素晴らしいが個人戦はどうなる!?最後は新鋭、カミカゼ学園!昨年できたばかりの学園だが期待の新星がいるとの情報もあり、侮れない!』


一気に各学園の紹介をしたせいで聞いているのかいないのか分からない状況の観客席だが、テンションだけは全く変わっていない。

この紹介も毎回のことだからか、上の学年になればなるほど当たり前と言った顔をしている。


闘技場内に合計75名の選手が入り終える。

既に武器や防具の準備は終わっており、全員臨戦態勢だ。

残すは開始の合図のみ……。


『全員、準備はいいか!?……よさそうだから始めるぜ!それでは、第59回闘技大会Cブロック、始め!!』


開始と同時に一斉に突撃する選手たち。

得物を振り上げ、振り下ろし、敵の足を斬り、胴体を砕き、首を折り、頭を潰す。

この闘技場内も特殊な仕掛けをしており、『システムが致命傷と判定した怪我を受けた場合、闘技場内より退場させされる』ようになっている。

なので、先に敵の心臓や首、頭にダメージを与えた方が勝ちなのだが……。


「……これって、不意打ちですよね。いいんですか?」


「ふっ、俺らが勝ちやすくなるから利用させてもらってるだけだ。見れば分かるが、他の学園は俺らの学園と比べるとどこも見劣りするレベルだ。ならば無駄に消費したくないってのが心情だな」


「…なるほど」


味方はスルーし、他の学園の選手を後ろから一撃で仕留める。

所謂不意打ちなのだが、グラルの言う通り、場内を見渡すと、チャンバラごっこかと言いたくなるようなレベルの低い選手がたくさんいる。

おそらく、数合わせというやつだろう。

もちろん、それなりの実力はあるのだろうが、ただ武器を打ち合っているだけであり、レクスやリュランのように魔法やスキルを使っている者はほとんどいない。

そんな雑魚に構う暇があったらさっさと終わらしたいと考えるグラルの考えに心底同意するリュラン。

学園内では2度しか戦っていないが、どちらもレベルの高い試合だったため、他の学園も同じぐらいかと勝手に考えてしまっていたが故の弊害である。

もちろん、楽ではあるが、物足りないと考えてしまう。


「本選はこんなもんじゃない。個人戦だしな」


「…とりあえず、今は目の前の敵を潰せばいいですね」


一撃一殺。

正面だろうが、背後からだろうが、一撃で相手の首を斬り、戦闘不能に追い込んでいく。

その動きを見て再びニヤリと笑うグラルはその間にも敵の頭を捻り潰す。

2人の戦鬼は闘技場を蹂躙していった。





『――さあ!残すはあと15名ほど!本選に出場できるまで残り半分だ!残っている選手は10人がグランベリア学園であり、2人がブライゼル学園、2人がシューン学園。残す1人がヤマト学園でトルタゴ学園とカミカゼ学園は全滅だ!』


司会者の声が闘技場を木霊する。

グランベリア学園は共闘して敵を潰していたため、犠牲は僅か2人。

それに対し、個人個人で戦っていた他の学園は生存数が少ない。

闘技大会という存在から考えれば集団戦法は意に反している気もするが、それは本選で行えばいいと考える。

元々、グランベリア学園の目的は迷宮最深部の探索権であり、技を競うのは学園内でも行えるのが現状であり、無理に他学園と戦う必要もないと考えるのが大多数だ。

現に、本選出場者の8割はグランベリア学園所属の者である。


「くっ、【炎弾】!」


いつ仕掛けるか、と腹の探り合いが行われる中、痺れを切らしたヤマト学園の選手――トウサカと呼ばれた人物――が魔法で火蓋を切った。

その魔法はグランベリア学園の選手へと向かい、当たる寸前に回避され、後ろに存在した障壁に激突し消滅した。


「【地裂】」


「【風切り】」


「【雷弾】」


「なっ、ぐあっ!?」


そして、それを皮切りに周囲にいた選手から次々に魔法やスキルによる攻撃を受け、呆気なく消滅した。

もちろん、攻撃した選手は皆グランベリア学園の選手だ。


「卑怯だ!個人に対し集団で挑むとは、戦士としての誇りはないのか!!」


「これはバトルロワイヤル。司会が言ってただろう?何をやっても構わないと、な!」


「ぐっ、くそがあああああ!!!!」


残るシューン学園の選手が現状に対し、叫ぶが意味は成さない。

バトルロワイヤルという形式上、誰と組み、誰を蹴落とそうとするかは本人次第。

そして、それが学園単位で行われただけの話だ。


「やれやれ、今更の話なんだがな……」


「今年入ったばかりの選手なんだろ。ここの会話は外に聞こえないしな」


「たしかに」


悠長に会話する暇があるのは場内にいるのが全て身内になったから。

つまり、グランベリア学園以外の選手は全員退場したというわけだ。


「よし、Cブロックは我々グランベリア学園が制圧したわけだが……勝負は別だ」


「もちろんしょ、部長!!」


グラルが話し終わると同時に仕掛ける者。

話す前から友人と普段の鍛錬の延長線で戦う者。

戦闘は終わりだとばかりに端の方で見学する者……はすぐに巻き込まれて戦っているが。

結局、いつもの練習風景となり、傍から見ればガチンコの内戦状態だが、身内から見れば楽しそうに戦っているなーぐらいの感想でしかない。

そして、順当に勝つ者、土壇場で逆転する者が生き残り、Cブロックの本選出場者が決定した。


――因みに、リュランは適当に戦って適当に逃げて適当に生き残っている。





「何故逃げる。普通に戦えばいいものを」


「…力を見せるつもりはない。本選があるなら尚更な」


「出し惜しみをするのだな…」


「模擬戦だからな。戦場ともなれば別だ」


呆れるレクスと全く相手にしないリュラン。

頭脳良し、技能良し、容姿良しと完璧なお姫様と少し影のある少し細い(ように見える)青年は傍から見ても似合っていないが、本人達は気にしないだろう。

彼等は戦友であり、恋仲ではないのだから。


「次は私の番だ。見ていろ、一瞬で終わらせて来てやろう」


「……アレを使うのか」


「いや。アレは強力だが、精霊に力を借りているとはいえ、私の魔力を大量に持っていくからな。今回は使わないさ」


「……まぁ、期待して見てやる」


「ああ。期待して待っていろ」


コツン、と拳をぶつけ闘技場へと向かうレクスを見送るリュラン。

彼の雰囲気が一瞬だけ変わったが、気づく者はいない。

彼の目に映るのは今か、昔か――――――――――





∽to be continue∽……?









「ちょっと待て!私の活躍は次回なのか!?」


そうですよー文量的に。


「いや、少しぐらい長くしても構わないだろう!私は先に延ばされるのが一番嫌いd」


封印封印っと……。

あー、はい、お目を汚しました(笑)





∽to be continue∽

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