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Held Flugel  作者: アクア=イスタロス
第1章―闘技大会編
14/16

第十三話

いつもどおり、勢い更新。

最後は第2章への伏線だったりする。

……まだ、第1章の序盤だというのに(笑

今日はいつも通り、実戦を意識した型の練習を講義で行ってる。

この前の試合では、焦ったせいで無茶苦茶な攻撃をして負けちゃったから、今度は落ち着いて戦えるように練習練習。

側にはいつものようにザール君とリュラン君、そして何故かクラベリアさん。

最も、クラベリアさんのターゲットはリュラン君であり、僕へのアドバイスは「ついで」の意味合いが強いと思うけど。


「バスターソードは間合いが広い分、懐に入られた時の対処が必須だ。一番良いのは入らせないことだが、それは騎士団クラスでもなかなか難しい。故に、現状は懐に入られる前に魔法で牽制するか、スキルで隙を埋めるかするべきだろう」


「え、えっと。僕はまだ魔法もスキルも使えないんだけど…」


「ならば地道に剣を振り、魔法を覚えるしかない。最初は辛いが、次に繋げるためにも努力するしかない」


「う、うん」


「もし訓練に詰まったのであれば私の伝手で騎士団の新入生を紹介しよう。色々と教わる事も多いだろう」


「そ、そこまでしてくれなくても大丈夫だよ!僕も色々と頑張るから!」


「そうか?だが、必要となれば言って欲しい。――リュラン。逃げないで欲しいのだが」


「お前が来たら碌な事にならないのはこの前の試合で身に染みた。だから逃げる」


「逃がさない」


「だが断る!」


「待て!!」


「だれが待つか!!」


リュラン君に話しかけようとしたら既にリュラン君は逃走体制。

待ったをかけるクラベリアさんに対し、王家の人に対するとは思えない態度で逃げだしたリュラン君。

その後、2人で鬼ごっこが始まったけど、どこまで行くのだろうか……?

一応、自由とはいえ講義中なんだけど……。





「――で、あれからずっと逃げてたの?」


「ああ。全く、途中から本気で止めにきやがった。学園内で普通に魔法を使ってくるなっての…」


「あ、あははははは……」


なんだか、想像してた王家のイメージとどんどんかけ離れていくなぁ。

もっと冷静沈着、どんな物事にも瞬時に対応するハイパーな人たちだと思ってたけど……。

もしかしたら、お城の中じゃあんな風にはっちゃけて生活してるのかな?


「すまないな。型の練習を見るといいながらこの様だ」


「ううん。気にしないで。あの後、先生が来て教えてくれたし」


「…そうか」


そういえば、結局、ザール君の姿は見えないけど、どうしたのかなぁ?

ベッドにはいなかったし、食堂や図書館にもいなかった。

何かあったのだろうか……?


「ふぃ~ようやく来れたぜ~」


「あ、ザール君!どこに言ってたの!?心配したんだからね!」


「いや~ホンマすまん!実家から急に帰ってこいって言われてな。朝一番で向かってん」


「へ~。それで、その用事は終わったの?」


「ああ。ちょちょいのちょいやった」


どうやら大丈夫みたいだ。

よかったよかった。


「そんで?今日の講義はどやった?」


「前回と同じ、型の練習だよ。リュラン君はクラベリアさんから逃げてたけど」


「な、お前、王女様に何したんや!?」


「知らん」


「知らんわけあるかー!大方、王女様の着替えを覗いたとか、王女様の物を無断で借りてったとか……」


「お前じゃあるまいし…」


「そうだよ。リュラン君はそんなことする人じゃないよ」


「オレの味方はここにはおらへんかった……ッ!」


そもそも、リュラン君よりザール君の方がやりそうだよね、そういったこと。


「ところで、そのクラベリアさんはどこに?」


「……学園内で魔法をバンバン使ったから教師に説教を喰らってる…筈だ」


「「あー……」」


この前も同じ風に怒られてたよね…。

本当に、王女様っていうイメージが壊れてきたよ。





――――――――――

――――――――――

――――――――――





「では、今日の講義では『クエスト』について話したいと思います。ジコーリア君。クエストとは何か話してもらっても良いですか?」


「はい。クエストとは――」


1.ギルドに舞い込む様々な依頼である。

2.ギルドに入る事で受けられるようになる。

3.依頼の難易度によってランクがあり、多くの依頼をこなす事で上のランクの依頼を受ける事が出来る。

4.内容は採取から護衛、はたまた魔物の討伐など様々である。

5.最上級のランクであるSを成功させたものは国から表彰されるほどである。


「――というわけです」


「はい。ありがとうございます。このように、クエストとは街の皆さんのお願いでもあり、これらを達成していくことで、街をより良く出来るのです。本来、ギルドに加入するためには一定の年齢と、厳格な身分調査、さらには実力の有無を確かめた上で入れるのですが、此処聖グランベリア学園は古くからギルドと提携を結んでいまして、学園が認めた人物であれば、多少の融通をきかせていただけます。学園では、早い人では今年から、遅い方でも3年生にはギルドに加入して様々な依頼を受けられるようになるでしょう」


クラス内がざわめく。

それもその筈だ。

ギルドに加入するためには年齢だけでも18歳なければならなかったはずだ。

それを僕たち1年生――最低年齢は15歳――で入れるなんて!


「もちろん。初めの方は簡単な物しか受けられませんが、多くこなす事で昇格試験を受けられるようになります。それに合格し、初めて1つ上のランクのクエストを受けられるようになるのです。――例えば、クラベリアさんはどこまで受けられるのですか?」


「私ですか?私でしたら単独ではAランクまでですね。ギルドランクと同じです」


「あー、はい。ありがとうございます。えっと、クエストを受ける条件としてランクの問題がありますが、基本的に自分のランクと同じ物しか受けられません。注意してくださいね」


『はい!』


元気よく返事をする僕たち。

思うのはギルドに加入してクエストをこなす未来の自分。

どんなクエストがあるのかは分からないけど、やっぱり楽しいのかな…。


「先生!」


「はい、何ですか?」


「ギルドの加入について質問何ですが『早ければ今年から』っていうのはどういう意味なんでしょうか?全員が全員一緒に入れないのですか?」


「あ、はい。その答えですが、所属しているクラブによって差があるからです。例えば、魔法闘技部や魔法部、騎士道部などの本格的な戦闘を行うクラブでは、見込みのある生徒は早い段階で経験を積むためにギルドへの加入をしています。逆に文科系と呼ばれるクラブはそういったことがないので普通に行けば来年。のんびりしていても再来年にはギルドへの加入をしてもらうことになります。これでいいですか?」


「はい、ありがとうございます」


つまり、僕達は頑張れば今年中にギルドでクエストを受けられるかもしれないのか……。

よし、ザール君やリュラン君と一緒にがんばろっと!


「他に質問はありませんか?それでは次の問題に移りますね。次は――」





「ザール君とリュラン君はクエストに興味ある?」


「オレはあるで!クエストこなして金稼いで新しいことに挑戦したいんや!」


「俺は……微妙だな」


ザール君は拳を上に突き挙げ、気合十分なのに対し、リュラン君はホントに微妙な顔をしていた。

興味は……ないみたいだけど、受ける事は構わないって感じ。

いつもながら対称的な2人だよね。


「アランくんもクエストに興味があるんですか?」


「まあね。なんかこう…未知の世界を見れるんじゃないかってワクワクするんだ」


「ふふっ、昔から変わりませんね。…お姉ちゃんも仲直りすればいいのに(ボソッ)」


最後の方は良く聞こえなかったけど、気にしないでと言われたから気にしない事にする。

とりあえず、今は講義でしっかりと動きを覚えてクラブで発揮してギルドに加入できるように努力しようと思う。

……魔法も頑張らないと!





――――――――――

――――――――――

――――――――――





――とある建物。

そこには豪勢な椅子に座りながら1枚の書類を眺める男がいた。

側には大量の紙の山があるが、完全に無視している。


「…陛下。またその書類ですか?何度見れば済むのですか?」


「何度見ても気が済まぬからだ。我が娘が他人に興味を持つのも珍しいからな」


その紙にはある人物の詳細な情報が書き込まれていた。

容姿に始まり年齢や体格、使用する武器から得意な魔法属性、果ては家族構成や友人関係などまである。

まさに、個人情報の塊であるが、陛下と呼ばれた彼には関係のない話だ。

陛下――つまり、このクラベリア帝国の王であり、レクス・ディ・クラベリアの実の父であるこの男には。


「あの事件以来、娘は他人に興味を持たなくなってしまった。……既に10年も経つのか」


「はい。…当時、閉じ籠り気味であった姫様を外へと連れ出し、世界に興味を持たす事に成功した許嫁の少年が行方不明となり、姫様は世界への興味こそ失いませんでしたが、家族や私ども使用人以外の人物への興味が消えてしまいました。行方不明と聞かされた時の姫様の取り乱しようは今思い出しても痛々しく思います」


「私も手を尽くしたが、結局見つからず仕舞いであったな。公爵家も5年前に諦めたようだしな」


「たしか、神童と呼ばれた少年でしたか?」


「ああ。アルタメシア公爵家は古くから優秀な人材を輩出してきた家系であるが、彼はその中でも稀に見る天才だった。生まれて間もなく魔力を扱い、2歳の頃には得意属性を使いこなし、5歳で全ての属性魔法を扱うことが出来たと聞いている。……だからこそ、同い年のレクスの許嫁にしたのだが、な」


「……その姫様が再び興味を持ったのが、この人物であると?」


「ああ。……これを書いたのは我が諜報部門一番の手だれだ。にも関わらず、性は分からず仕舞いらしい」


「…珍しいですね。彼に調べられぬ事があるとは」


「そして、この前。娘は聖グランベリア学園魔闘部の伝統行事である順位争奪戦でこの者と戦ったそうだ。……結果は【ダイヤモンドダスト】を耐えられて負けを認めたそうだ」


「!!!まさか、姫様の精霊魔法を耐えたのですか!?」


「ああ。多数の承認もいることだし、事実だろう。闘技場内は特殊な仕掛けで致命傷となればダメージを打ち消して外に強制退場させる機能があるらしいが、最後まで立っていたそうだからな」


「……信じられませぬ。【ダイヤモンドダスト】といえば、姫様がニルトラームを討伐した際に使用した最強の魔法。それを一学生が耐えられるなど……」


「……故に、私もこの者に興味を持った。……近々、学園に向かうぞ」


「陛下の御心のままに」





∽to be continue∽

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