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その婚約破棄、喜んでお受けします

その婚約破棄、喜んでお受けします 〜婚約破棄の裏側〜

掲載日:2026/10/04

婚約破棄騒動の裏側です。

こちらは、笑えるノリで書いています。

説明少なめで、会話メインで書いています。


(アストレア国王)

エドワルド・フォン・アストレア

3人の間の呼び名は、エド

アルフォンスとルシウスの父親

会話は、「」(鉤括弧です)


(ルーヴェリア皇国皇帝)

アレクシウス・ヴァレリオン・フォン・ルーヴェリア

3人の間での呼び名は、アレク

ヴィオレッタの父親

会話は『』(ダブル鉤括弧です)


(ヴァルディア・グランフェルト帝国皇帝)

レオニダス・アウグスト・フォン・ヴァルディア・グランフェルト

3人の間での呼び名は、レオ

セレスティアの父親

会話は《》(二重山括弧です)

アストレア王国、王宮。


エドワルド・フォン・アストレア国王――通称エドは、自室の机に頬杖をついていた。


机の上に置かれているのは、一台の魔道電話。魔力を流せば、遠く離れた特定の相手とも会話ができる便利な魔道具だ。


エドは受話器を取った。


「……さて……出るかな?」


しばらくすると『はいはい、誰?』と眠そうな声が返ってきた。電話に出た相手は、隣国の皇国アレクシウス・ヴァレリオン・フォン・ルーヴェリア皇帝、通称アレクだった。


「アレク?」


『ああ、エドか。どうした?』


「お前、寝てた?」


『寝てないよ』


「声が完全に寝起きなんだけど」


『気のせい』


「……絶対寝てただろ」


『皇帝だって昼寝くらいするよ』


「開き直るな」


『というか、エドから電話してくるなんて珍しいじゃん』


「そうか?」


『お前、昔から一人で抱え込むタイプだったじゃん。学園のときもそうだったよね』


「なんで今その話をするんだよ」


『懐かしいから』


「俺は懐かしくない」


『あのときなんて、試験前日に――』


「やめろ」


『三人で――』


「やめろって!」


『先生の研究室に忍び込んで――』


「それ以上言うな!」


 アレクが小さく笑った。


『まだ覚えてるんだ』


「忘れられるか!」


『僕はもう忘れたよ』


「嘘つけ」


『本当に』


「じゃあ、今なにを言おうとしたんだよ!」


『まあまあ』


「まあまあじゃない」


しばらくして、アレクが尋ねた。


『それで?』


「え?」


『相談があるんでしょ』


「ああ、そうだった」


エドは椅子に深く座り直した。


「実はさ、昨日うちのルシウスと、そっちのヴィオレッタ嬢が婚約したいって、執務室に訪ねて来たんだよね。まあ、ルシウスは無理やり引きずられて来た感はあったけど…。だから、アルフォンスからルシウスに変えてもいい?」


『まあ、いいんじゃない?』


驚くほどあっさりした返事だった。


「軽いなお前。え、いいの?」


『どうせ政略結婚だし』


「まあ……そうだけど」


『だったら本人たちが望む相手と一緒になったほうがいいじゃん』


「それもそうだけど」


『それにさ、うちのヴィオレッタ、言っちゃあなんだけど、メチャクチャわがままで手に負えないと思うんだよね』


「……」


『そんな子と相思相愛になってくれるなんて、奇特な相手がいたんだねぇ。はっはっは』


「お前、自分の娘だろ」


『いやあ、親だからこそ分かるんだよ』


「分かるんだ……」


エドは頭を抱えてしまう。

そんな様子をよそに、アレクが続ける。


『あの子、昔から欲しいものは欲しい、嫌なものは嫌、気に入らないことがあったらすぐ文句』


「知ってる」


『アルフォンス君、大丈夫?』


「何が?」


『あの子と結婚しなくて』


エドは少し黙ってから返事をした。


「…………まあ」


『まあ?』


「正直、最近ヴィオレッタ嬢の対応が大変そうで、ちょっと心配だった」


『だよねぇ』


「お前が言うなよ!」


『あはは』


そのとき、別の魔道具が鳴った。

エドは「あ」と声を漏らす。


「レオからだ」


『あ、俺も繋ぐ?』


「お前もいるの?」


『今ちょうど暇だった』


「皇帝が暇って言うなよ」


『いいじゃん』


「じゃあ三人で話すか」


エドが魔道具を操作すると、通信が三人に繋がった。


《おーい!エド!》


やたらと元気な声が響く。


「うるさい」


《第一声がそれ!?》


「お前は昔から声が大きいんだよ」


《だって久しぶりなんだから仕方ないじゃん!》


『いや、昨日も話したよね』


アレクが淡々と突っ込む。


《あれ?アレクもいたの?》


電話の相手は、ヴァルディア・グランフェルト帝国皇帝レオニダス・アウグスト・フォン・ヴァルディア・グランフェルト。


通称、レオ。

大陸最大の帝国を治める皇帝である。

ただし、この三人が揃うと、皇帝二人と国王一人という肩書きは、ほとんど意味を持たなかった。


エドとアレクの二人は、十三歳から十八歳までの五年間、ヴァルディア・グランフェルト帝国へ留学していた。そこで同じ学園に通った同級生。

つまり、ただの悪友だった。


「なんか、この三人で集まると急に学生時代に戻るよな」


《だって楽しいじゃん》


『分かる』


「分かるな」


《エドは相変わらず真面目だなぁ》


「お前らが不真面目すぎるんだよ」


『昔からだろ?』


「そこを自慢するな」


《でもエドも一緒に悪ふざけしてたじゃん》


「……」


《してたよね?》


「……少しだけ」


『少しだけ?』


《学園の池に先生の靴を浮かべたの、誰だったっけ?

》


「…………」


『エド』


「違う」


《エドだったよな》


「レオ、お前が言い出したんだろ!」


《そうだっけ?》


「そうだよ!」


『じゃあ実行犯は?』


「……俺」


《ほら》


「お前が逃げたからだろ!」


《だって捕まったら怒られるじゃん》


「俺も怒られたよ!」


《でもお前、反省文めちゃくちゃ綺麗に書いてたよね》


『ああ』


 アレクまで思い出したように笑う。


『「二度とこのようなことをしません」って』


「……」


《次の日またやったけど》


「レオ!」


『はははは!』


「アレクも笑うな!」


『ごめん』


「絶対ごめんと思ってないだろ」


《『うん』》


「おい!」


二人の笑い声が響く。

国王と皇帝。本来なら、気軽に冗談を言い合えるような関係ではない。だが、この三人にとっては関係なかった。


ヴァルディア・グランフェルト帝国に留学したとき、五年間、三人は同じ学園で同じ寮に入り、同じ授業を受け、同じ食堂で飯を食べた。同じ王子という身分で、気を使う必要もなかったことも大きかった。


三人でいつもつるんで、たまには喧嘩もした。

悪ふざけもした。

試験前には一緒に勉強し、誰かが落ち込めば、残りの二人が騒いで無理やり笑わせた。


だから今でも、三人だけで話すときだけは、国境も身分も関係なくなる。


《で、何の話してたの?》


「ヴィオレッタ嬢の婚約者を、ルシウスに変更する話」


《じゃあアルフォンス君、フリー?》


レオは嬉しそうに返してきた。


「まだこれから手続きするけどな…というか、アルフォンスの婚約が白紙になるのに、嬉しそうにするな!」


『だってさ』


それでも、まだレオの声が妙に嬉しそうになる。


《この間、うちの末姫のセレスティアに聞いたんだよ》


「何を?」


《どんな人と婚約したい?って》


『それで?』


アレクが聞く。


《君のとこのアルフォンス君みたいな人ができれば良いです、って》


「…………」


『…………』


《…………》


三人の間に、微妙な沈黙が流れた。

最初に口を開いたのはアレクだった。


『エド』


「何?」


『お前の息子、モテモテだね』


「なんで俺に言うんだよ」


『親だから』


「お前も親だろ」


『俺の娘は、ルシウス君と婚約し直すんだろ?』


「そうだけど」


『じゃあ、問題ない』


「問題大ありだよ」


レオが割り込んだ。


《それでさ、アルフォンス君がフリーになるなら―》


「嫌な予感がする」


《うちのセレスティアと婚約でもいいよね?》


「早い早い!」


《え?でも婚約者いなくなるんでしょ?》


「いやだからって、白紙にした直後にまた別の相手を政略であてがうのは……」


エドは少し困った顔をする。


「アルフォンスが、流石に可哀想じゃないか」


《え?》


「え?」


《でも君さ》


レオの声が、妙に楽しそうになった。


《昔、うちの国の公爵令嬢が婚約破棄された直後に、婚約を申し込んだよね?》


「…………」


《政略でいいからって、めちゃくちゃ迫ったよね》


「…………」


《断られてたけど》


「………………」


《しかも、その公爵令嬢》


レオが笑いを堪えている。


《今の俺の嫁だけど》


『懐かしいな』


アレクも笑う。


「思い出させるな!」


《だって面白いんだもん》


「黒歴史なんだよ!」


『エド、あの頃は若かったね』


「アレク! お前は慰めろ!」


『無理』


「即答するな!」


『ちなみに僕は全部覚えてる』


「お前まで!」


『お前、花束を三回渡して、三回断られてたよね』


「言うな!」


『四回目に裏庭に呼び出して――』


「アレク!」


『「政略で構わない」って』


「やめろぉぉぉ!」


《『ぷっ』》


「……」


《『ははっ』》


「……」


《『あははははは!』》


「うわぁぁあああ!!」


 エドが頭を抱えた。


「思い出させないでくれ!」


《いやー、懐かしいなぁ》


『四回目の時は、土下座までしてたよね?』


「してない!」


『してた』


アレクが淡々と答える。


「アレクまで!」


『俺、見てたから』


「お前もいたのかよ!」


『いたよ』


「忘れろ!」


『無理』


「頼むから忘れてくれ!」


レオが腹を抱えて笑っている。


《いやあ、まさかあのエドがねぇ》


「昔の話だろ!」


《その公爵令嬢が今の俺の妻っていうのが、また面白い》


「それ以上言うな!」


《じゃあ黙っとく》


「本当か?」


《うん》


「絶対だぞ?振りじゃないぞ?間違ってもうちの嫁に言うなよ?俺殺されるぞ?」


《その代わり――》


レオの声が急に真面目になる。


《うちの末姫とアルフォンス君、婚約ってことで》


「……」


《よろしくね☆》


「お前……」


《だって、セレスティアもアルフォンス君がいいって言ってるし》


「……本人同士が望むなら」


《じゃあ決まり!》


「ただ、今度の舞踏会でいきなり婚約発表とかは――」


《大丈夫大丈夫》


「本当か?」


《うちから正式な書状を持たせる》


「書状?」


《皇帝である俺が、正式に婚姻を認めるっていうやつ》


「そこまで話が進むのかよ」


《うん》


「早くない?」


『レオ、昔から思いついたら即行動じゃん』


《娘の婚活は親の仕事だから♪》


「お前、さっきまで俺の黒歴史で笑ってただろ」


《それとこれとは別》


アレクが口を挟んだ。


『じゃあ、こっちも変更了承の書状を送るよ』


「ヴィオレッタ嬢とルシウスの?」


『そう』


『正式に、アルフォンス君からルシウス君へ婚約相手を変更することを、皇国として了承したって書状』


「助かる」


『これで三方丸く収まる』


「……まあ、そうだな」


 エドは少し考えた。


「じゃあ、貴族院にも説明して――」


そこで、レオが言った。


《あ》


「何?」


《そういえば、セレスティアの書状なんだけど》


「うん」


《今度のそっちでする舞踏会で、アルフォンス君に渡すように言っとくから》


「うん?」


《本人から直接渡して、求婚するように言っとく》


「……」


《よろしくな⭐︎》


「……本当にそれでいいのか?」


《いいよ》


『俺もいいと思う』


「お前ら、軽すぎない?」


《だって昔からこういうノリじゃん》


『そうそう』


「皇帝二人がそれでいいのか……」


《いいんだよ》


『いいじゃん』


エドは大きくため息をついた。


「じゃあ、二人の婚約を了承する方向で進めるよ」


《よろしくー》


『エド』


「何?」


『セレスティア嬢は、うちのヴィオレッタと違って良い子だから、アルフォンス君、きっと大丈夫だよ』


「うん」


《だから》


アレクとレオが同時に、明るい声で続ける。


《『あとは親父三人で見守ろう』》


「親父三人って言い方やめろ」


『じゃあ、おっさん三人』


「もっと嫌だ」


《国王一人、皇帝二人》


『肩書きだけなら偉そう』


「お前らな……」


三人の笑い声が重なり、通信を切った。

王の自室、静寂の中にエド一人が残された。

エドはしばらく天井を見つめた。


「はぁ……なんか」


嫌な予感がする。


「ものすご〜く嫌な予感がするんだが」


しかしこの時点では、まだ何も知らなかった。

まさかヴィオレッタが、大勢の貴族が集まる舞踏会で、堂々と婚約破棄を宣言するなど。


このときのエドワルドには、想像もできなかった。


  ◇


そして数日後、王宮で舞踏会が開かれた。


予定通り、ルーヴェリア皇国からは、変更了承の正式書状が届いていた。


ヴァルディア・グランフェルト帝国からも、セレスティア嬢が、婚姻に関する正式な書状を持参しているはずだった。


すべては順調だった。

少なくともエドワルドがそう思っていた、その瞬間までは。


大広間の中央階段、そこにヴィオレッタとルシウスがに現れる。そして


「アルフォンス様!」


大声が響いた。

会場中の視線が集まる。

遠くで見ていたエドは、嫌な予感を覚えた。


「……おい」


エドは隣の重臣に声をかけた。


「何ですか、陛下?」


重臣が尋ねる。


「……あの二人、何してんの?」


「いえ……」


「普通に書面で変更手続きするって言ったよな?」


「……はい」


「……だよな」


次の瞬間。


「アルフォンス様との婚約を破棄します!」


会場が静まり返った。

エドはゆっくりと目を閉じた。

そして「はぁ……」深いため息をつき天を仰ぐ。


「ほんと……何してるんだ、あの二人」


     ◇


その頃会場の角では、セレスティアがその様子を見ていた。


「姫様、行かれるのですか?」


「お父様から、大々的に求婚しておいでって言われましたもの」


セレスティアは手元の書状を見つめた。

そこには、父レオニダス皇帝の正式な印章が押されている。大陸最大の帝国皇帝が、正式に認めた婚姻の申し入れである。


セレスティアとアルフォンスの婚姻を、帝国として承認し、全面的に支持するという書状だった。

しかも、アストレア陛下も了承済みだという。


「お父様は、最初から分かっていたのですね」


「何をでしょう?」


「今日の婚約破棄のことをですわ」


「そう……でしょうか?」


もちろん知るわけがない。

悪ふざけが好きな父レオニダス皇帝は、面白がって要らぬことを吹き込んでいただけだった。


「ただ……」


セレスティアは少しだけ困ったように笑った。


「まさか、こんなに派手に婚約破棄をなさるとは思いませんでした」


「ですよね……」


侍女も苦笑する。


「私もう少し静かなものだと思っておりました」


「私もです」


セレスティアは小さくため息をついた。


「……ですが」


彼女の紫色の瞳が、まっすぐ前を向いた。


「今度は私の番です」


     ◇


一方、舞踏会場。

婚約破棄を告げられたアルフォンスは――。


「承知しました」


驚くほどあっさりと答えた。


「……え?」


ヴィオレッタが固まる。


「よろしいのですか?」


「はい」


アルフォンスは微笑んだ。


「これで、お互いに望む人生を歩めますから」


その表情には、長年背負っていた重荷が、すっと消えたような安堵があった。


そして、そこへセレスティアが現れる。


「アルフォンス殿下」


「セレスティア姫?」


彼女は一礼すると、紫水晶の封蝋が施された書状を差し出した。


「こちらを」


「これは……?」


「私の父、レオニダス・アウグスト・フォン・ヴァルディア・グランフェルト帝国皇帝からの正式な書状です」


「……皇帝陛下から?」


「はい」


アルフォンスが封を確認する。

帝国の正式な印章に間違いない。


「内容は――」


セレスティアは少し照れながら言った。


「私とアルフォンス殿下との婚姻を、帝国として正式に承認するというものです」


アルフォンスが固まった。


「つまり……」


「はい」


セレスティアは微笑んだ。


「私との婚約を、父が正式に認めております。もちろん」

セレスティアは続ける。


「アルフォンス殿下のお気持ちを無視して、政略だけで決めるつもりはありません。私は、殿下に国より私を優先してほしいとは思いません」


アルフォンスの目が少し見開かれる。


「私は、殿下が国を大切にするなら、私も一緒に大切にしたいのです」


セレスティアは、まっすぐ彼を見る。


「……姫」


「ですから」


少しだけ頬を赤くしながら。


「もし、殿下がよろしければ――」


「はい」


返事は早かった。


「喜んで」


アルフォンスが微笑む。

その瞬間、遠くからエドが見ていた。

そして、頭を抱えた。


「話が早すぎるんだよ……」


だが、少しだけ笑った。


「まあ……」


息子の表情を見れば、答えは明らかだった。


「これでいいか」


     ◇


そして数か月後。


「ルシウス様!」


「はい!」


「どうして私のドレスがまだ届いていないのですか!」


「えっと……昨日注文したばかりだからです!」


「遅すぎますわ!」


「いや、昨日だよ!?」


ルーヴェリア皇国から聞こえてくるのは、今日もヴィオレッタの声。


「私は今すぐ欲しいのです!」


「無理だよ!」


「では婚約を破棄します!」


「またそれ!?」


ルシウスの悲鳴が響く。


その頃、別の部屋で、エド、アレク、レオの三人が魔道電話を囲んでいた。


『……どう?』


「大変そうだよ」


『そっかぁ』


《まあ、本人たちが選んだ道だからな》


「お前ら、他人事だな」


『俺はちゃんと変更了承したよ?』


《俺も婚約書状まで持たせたよ?》


「そうだけど」


『じゃあ問題ない』


エドはため息をついた。


「ところでレオ」


《ん?》


「お前、昔の黒歴史の件、王妃には言ってないだろうな?」


《言ってないよ》


「本当か?」


《もちろん》


「ならいいけど」


《ただ――》


「何?」


《この前、王妃に聞かれた》


「…………何を?」


《若い頃、何か面白いことしなかった?って》


「…………」


《危なかったから、黙ってた》


「絶対に言うなよ!」


《分かってるって》


『エド、昔から心配性だな』


「誰のせいだ!」


三人の笑い声が、魔道電話越しに響いた。

かつて学園で馬鹿騒ぎをしていた三人。

今ではそれぞれ、国を背負う立場になった。

それでも、昔と変わらない関係だけは、続いている。


そしてエドワルドは思う。


「……まあ、結果オーライか」


ヴィオレッタは自分の望む相手を選んだ。

ルシウスもまた、自分の望む未来を選んだ。


そしてアルフォンスには、自分を理解し、共に歩んでくれる女性が現れた。


「……うん」


エドは満足そうに頷いた。


「これでよし……でもな」


ふと、舞踏会の光景を思い出す。


「大勢の貴族の前で婚約破棄はないだろ……」


エドは深々とため息をついた。


「はぁ……あいつら、何考えてるんだ」


一方、ルーヴェリア皇国との関係も悪化することはなかった。

なぜなら。


「ルシウス様!」


「はい!」


「どうして私のドレスがまだ届いていないのですか!」


「えっと……昨日注文したばかりだからです!」


「遅すぎますわ!」


「いや、昨日だよ!?」


ルーヴェリア皇国から聞こえてくるのは、今日もヴィオレッタの声。


「私は今すぐ欲しいのです!」


「無理だよ!」


「では婚約を破棄します!」


「またそれ!?」


ルシウスの悲鳴が響く。


「分かった! 急がせるから!」


「本当ですか?」


「本当!」


「では許します」


ルシウスは深いため息をついた。


「……本当に疲れる」


「何か言いました?」


「何も言ってません!」


「なら、よろしいですわ」


ヴィオレッタは満足そうに笑う。

ルシウスはそんな彼女を見て、またため息をついた。

けれどその表情には、どこか楽しそうな色があった。


「……まあ」


小さく呟く。


「こういうのも、悪くないか」


「ルシウス様?」


「何でもないよ」


「なら、次はーー」


「まだあるの!?」


「もちろんですわ!」


「……やっぱり大変だ」


それでも二人は、なんだかんだ言いながら一緒に歩いていく。国王の自室に、今日も深いため息が響いた。

国王と、皇帝二人の学生時代と今の人物紹介です。

挿絵(By みてみん)

chat GPTに作成してもらいました。

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