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〝最凶〟無頼転生~ポンコツ×獣耳×幼女の使い魔を添えて~  作者: 深川我無@書籍発売中
ダンジョンⅠ〝狂気満つハーレクインの庭〟
31/31

#31 メスガキ(♂)とケモミミ幼女をわからせる

 

 幼児から聞こえてはならないような言葉が飛び交っている。

 

 互いの着衣を奪おうとしつつも、双方が狙っているのは自分のポロリである。

 

 その証拠に「いやーん」だとか「あ~ん」だとか言いながらチラチラと自分の方に視線を飛ばしていることを佐倉は知っていた。

 

 ヌルヌルまみれでキャットファイト……いやプロレス……もとはといえば相撲だったか……? を繰り広げる二匹の幼女モドキは、知らず知らずのうちに佐倉の中で眠る狼を呼び覚ましつつあった。いや! 断じてそう言う趣味に目覚めた的な意味ではない‼ ほんとだからな⁉

 

 心を殺すのには慣れている。

 

 完全な悪人は思うより少ない。

 

 ターゲットを調べ上げれば、必ず愛する人がいて、そいつの前では善人だったりするものだ。

 

 そういう時、俺はその事実を無視する。無視するために心を殺す。

 

 戦いで痛みに耐えるのも、窮地を乗り切るのにも胆力がいる。

 

 繰り返す殺伐とした日々はそうやって色覚も味覚も触覚も奪い去っていく。

 

 やがて俺は殺すことに慣れてしまったが、それは心が壊れたことと同意だと思っている。

 

 そして不思議なことに壊れていく自分を眺める分には胆力も精神力も必要ないのだ。

 

 あの時俺はきっと、自分の心を殺さない選択をするために胆力を使わなきゃならなかったんだな……

 

 あるいは「生きるためだ」とか「この世界はクソだ」とか、言い訳っばかり並べ立てて殺しを正当化する弱い心を殺すべきだったんだ。

 

 佐倉は固く握った拳を睨みつけた。

 

 この世界に来て、俺は自分を殺してばかりだ。

 

 やりたくもねえ馬鹿をやらされ、背負いたくもねえ借金に甘んじ、みっともなく逃げ回って、ガキをぶら下げて……

 

 だけど……

 

 俺はまだ……

 

 |この世界で人を殺してねえ《・・・・・・・・・・・・》……!

 

 ゆらりと立ち上がった佐倉は、スタスタとリル達の方に向かっていった。

 

「待っててね? お兄ちゃん♡ 僕がこの✕✕✕をピーピーピーして……お兄ちゃんをほわわわわ~ん♡ してあげるから!」

 

「ご主人、待っててくださいです! このメスガキを怨怨怨怨して、そこの木に磔磔磔磔して、ぶっぎゃるばっカーン! した後でナデナデタイム凸入ですから!」

 

 佐倉は目を瞑り、鼻から大きく息を吸い込むと、腹の底から叫んで言った。

 

「ガキが汚ねえ言葉を吐くんじゃねえ!!!!!!!!」

 

 そう言って両の拳をリルとハーレクインの頭頂部に振り下ろす。

 

 この世界に初めて、正論が舞い降りた瞬間だった。

 

 幼女二人の頭にたんこぶが膨らみ、二人は目に涙をウルウルさせながら佐倉を見上げる。

 

 そんな佐倉の頭頂部にも大きなたんこぶが膨らんでいった。

 

 死ぬほど痛てえ……

 

 佐倉の脳裏に『いつまでも俺はおめえのお守りばかりできんぞ?』いつかそう言ったジジイの顔が浮かぶ。

 

 アイツもきっと……俺を殴る時、痛かったんだな……

 

 ふとそんな事が過った佐倉の両足に幼女が二匹しがみついて泣きじゃくった。

 

「ご主人(´;ω;`) ごめんなさいですぅ……リルが悪かったですぅぅうう……獄門打ち首だけはご勘弁をぉおおおお!!!!!!!!」

 

「うぇ~ん( ノД`) お兄ちゃんごめんなさいぃぃいい……ちゃんと謝るからぁああ? 嫌いになんないでぇええええ( ノД`)」

 

「お、おい⁉ 泣くな‼ 俺でさりげなく鼻水を拭くんじゃねえ‼ っておい⁉」

 

 健太郎っすが佐倉の右手を掴んでそっと天に掲げた。

 

 こうして初のダンジョン攻略は幼女二匹のギャン泣き声で幕を閉じるのだった。

 

 ーーーーーーーーーーーーーー

 

 ダンジョンクエスト結果

 

 勝者:佐倉

 獲得スキル:紺碧浪漫

 報酬:メスガキ(♂)

 

 ーーーーーーーーーーーーーー

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