表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〝最凶〟無頼転生~ポンコツ×獣耳×幼女の使い魔を添えて~  作者: 深川我無@書籍発売中
ダンジョンⅠ〝狂気満つハーレクインの庭〟
27/31

#27 宵闇の焔

 

 佐倉はリルを抱き息を切らして駆けていた。

 

 罠は完全に無視してとにかく全力で駆け抜ける。

 

 発動した罠が背後で轟音を響かせているが、とにかく今は距離をとることが先決だった。

 

「ご主人!」

 

「黙ってろ……! 今は距離を稼がねえと……あんな変態にいいようにされてたまるか……!」

 

「エッチな下着ガン見してたくせによくそんな事が言えますね……リルの機嫌とってるんです? そんな安い手には騙されませんよ?」

 

どぅあまってろ(黙ってろ)‼ ガン見してねえわ‼」

 

 その時だった。目の前の光景を見て佐倉は思わず叫び声をあげる。

 

「ど畜生がぁあああ!」

 

 まただ。

 

 また噴水の所に戻ってきた。

 

 噴水の脇ではハーレクインが懐中時計を揺らして微笑んでいる。

 

「おかえり? 早かったね? ダーリン♡」

 

 鳥肌が全身を駆け抜ける。

 

 リルは片目を閉じて舌を出し、手足を振り回しながら、罵倒の言葉を連呼していた。

 

「アハぁ? 戻って来たってことはそういうことだよね? ボクに会いたかったんだ?」

 

「このクズ男! 恥を知りやがれ⁉ いえ。言い直します。恥を尻ヤがれろ(・・・・・・・)!」

 

「訳のわからん造語を作るな……! どうやら逃げられねえ……リル……! 腹くくってアレやるぞ……⁉」

 

「嫌です。リルはまだオコなのです。ぷんぷん!」

 

 腕を組みへそを曲げるリルに佐倉が苛立っていると、二人の方に青い焔が襲い掛かった。

 

 慌てて避けるも、それは佐倉のズボン――ちょうどその尻のあたりを焼き尽くしてしまう。

 

「ほお……? 準備万端ですね?」

 

「ちげえわ! 丸焼きにされそうになってんだよ‼」

 

「ホントにすごーい! 逃げ足だけは本物だね? ボクの蒼薔薇センチメンタル・ロージアを避けるなんて。虐め甲斐があって興奮しちゃう♡」

 

 唇を舐めながら笑う美顔には残虐さが滲み出ていた。

 

 佐倉は覚悟を決めてリルの両肩を掴んで頭を下げる。

 

「頼む……! 機嫌を直してくれ! ガン見して悪かった! でもあいつに(なぶ)られるのも(ねぶ)られるのもマジで勘弁なんだ……! 協力してくれ! お前が頼りだ……!」

 

 リルは薄目をあけて頬を染めながら口を開く。

 

「ご主人は、り、リルが良いんです?」

 

「ああ! あのオカマなんかより100万倍お前がいい!」

 

「しょ、証拠を見せられますか?」

 

「努力する!」

 

「じゃ、じゃあ、ぎゅうしてよしよしして『リルがだーい好きだお♡』ってアイツの前でやってください」

 

 佐倉の脳裏にそのイメージが浮かび、パチンと弾けた。

 

「出来るかぁああああ!」

 

「やっぱり騙す気だったのねええええ(´;ω;`)」

 

 そんな二人を蒼薔薇が襲う。

 

 やがて、地響きを轟かせながらゴーレムたちも集まってきた。

 

「くそがぁああああ! 俺が前世で積み上げてきたあらゆるものが崩れていくぅううううう! がぁああああああああ!」

 

 佐倉は頭を掻きむしって叫ぶとリルを抱きしめて頭を撫でた。

 

 リルは頬を染めて目を閉じ、震えながら待っている。

 

「さあ! 言ってください!」

 

「り、リルがだーい好きだお♡」

 

「よっしゃきたぁあああああ!」

 

 リルはそう言ってガッツポーズを決めると、佐倉から飛び降り並び立った。

 

 プルプルと感情の濁流で震えていた佐倉も、同じくハーレクインを見据えて腕を組む。

 

寄生獣(パラパラ)の極北を見せてやります!」

 

「ああ。健太郎すらも凌駕した俺たちの最高打点〝宵闇の焔ナイト・オブ・ファイア〟ワン・ツー・スリー・フォー!」

 

 佐倉がカウントし、リルがリズムに合わせて歌い始めた。

 

 それに同調するように、佐倉の左手がどくんどくんと脈を打ち、パラパラたちが皮膚を食い破って姿を現す。

 

 佐倉は両手の人差し指でバツをつくり、リルも同様のポーズをとった。

 

 ちょこちょことしたステップで左右に揺れながら、二人は裏声で歌い踊る。

 

 腕から伸びたパラパラたちは赤紫に変色し、歌に合わせて激しく踊り狂い、紅蓮の焔を吐き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ