#22 長老、現る!
手練れ数名による拘束魔法であっけなく捕まった三人は、仲良く縛られ地下牢に放り込まれた。
冷たい石の感触を臀部に感じながら、三人は互いの背中で暖を取り合い今後について考える。
「駄目だ……おしまいだ……チ〇コが爆発するんだ……」
「モウ……モウモウ……」
しょんぼりと肩を落とす二人をよそに、リルは適当な励ましの言葉を送った。
「どんまい!」
「貴様にこの悲しみが分かってたまるかぁあああああ!」
その時までの残り時間はあとわずか……
次の朝には30年余りを共に過ごした最愛の息子との別れの瞬間がやってくる。
佐倉と健太郎っすは長ーい目で慈しむように息子のいるあたりを見つめて喪に服することにした。
「世話になったな……」
「モウモウ……」
「湿っぽいですぅ……そうだご主人! しりとりでもしません? しりとり→りんご→ゴーレム!」
「むすこ……」
「コックローチ!」
「チ〇コ……」
「重症ですぅ……」
湿気て寒い地下牢の扉が開いた。
そこにはどこかで見たことがあるような焦げ茶色のローブを纏った老婆が立っている。
「ふぇふぇふぇ。貴様らの処遇が決まったぞい? さあ長老。どうぞ」
お前長老ちゃうんかーい!
など言う元気はない。
項垂れたまま、佐倉はちらりと視線を上げた。
長老は老婆の手のひらの上にいた。
豆粒ほどの大きさで、何を言っているのかさっぱり聞こえない。
老婆はそれにうんうん頷いてから言った。
「コイツ……じゃなかった、長老は貴様らに村を恐怖に陥れた罪で罰金刑に処すと仰っておられる。金額は一億ババンガ!」
さらに一億増えた借金に、佐倉はもう動じない。
そんな事よりも今は、息子に精一杯の愛の眼差しを……
反応が無い佐倉に腹を立てたらしく、老婆は舌打ちしてから小声で言った。
「さらに一億でパラパラを駆除する方法を教えてやってもええぞい?」
その瞬間、佐倉の目に強い光が宿った。
老婆を見据えてごくりと唾を呑んで言う。
「分かった。その条件、呑もう」
「ふぇふぇふぇ。アンタ漢だね。看守! 拘束魔法を解いてやりな!」
自由になった佐倉達に、老婆は押収していた所持品を投げて寄越しながら言う。
「呪いの〇ボロを吸いな。それで蟲を使役するんだよ」
佐倉は長ーい目を丸くして口を開けた。
どうして気がつかなかった?
いや。よそう。
あの酩酊状態、そして目覚めてからのパニックでは不可能なことだ。
佐倉はタバコに火をつけて大きく息を吸い込んだ。
「美味い……」
しみじみと、そんな言葉がこぼれ出て、涙が溢れてくる。
俺は……現世で幸せだと思ったことは無かった……
だが、幸せだったんだな……
そんな気持ちと煙で肺を満たしていると、身体の中でパラパラが蠢くのを感じる。
リルと健太郎っすに寄生していたパラパラも、連動するように蠢きだした。
長ーい目が縮んでいき、血管を走り、パラパラは佐倉の左手に収束した。
「助かった……」
そうつぶやいてへたり込む佐倉の肩をリルと健太郎っすが叩く。
振り返ると、口からグロテスクな触手を生やした二人が口をそろえて何か喋った。
言葉はもごもご言って聞きとれない。
だが意味は解る。
「こいつを受け取ってください」
そういうことらしい……
佐倉はそれを拒んだが、二匹の触手が尻の穴から侵入しようとし始めたあたりで心が折れて、口から二匹の触手を受け入れた。




