#21 怪奇! 珍沈堕螺《ちん〇んだら》
「おい。聞いたか? 化け物が出たらしい」
「ああ。顔面から目玉をニョキニョキ伸ばしてちーん……ちーん……って不気味な声で鳴くってやつだろ?」
「ああ。それだけじゃない。どうやら化け物にはガキがいて、その上、巨こ……巨漢の眷属まで連れてるらしいぞ⁉」
そんな事を話していると、木こりの男たちは不気味な声を耳にする。
「ちーん……ちーん……」
「りるはせぇえええふ」
「ぶもう……ぶもう……」
森の奥から聞こえる声に男たちは震え上がって逃げ去った。
それを村長に報告すると、長老は直ちに厳戒態勢を命じる。
見張り櫓にはトナカイの頭に鹿の頭の尻が生えた双頭獣〝トナシカ〟が繋がれ、櫓に登っていた若者と老人が小声で言葉を話す。
「なんだろう……」
「わからん。人ではない……!」
若者が弓を構えると、森の中から例の声が聞こえてきて、あたりが暗くなった。
「チ〇コ爆発するぅううううう(´;ω;`)」
そう言って現れたのは神でもなんでもない。
眼孔から生えた三メートルもの長さの触手の先に元あった目玉つけて解決策を模索する佐倉達だった。
「イカン! 珍沈堕螺だ! 撃て! とにかく撃ってしまえ! 呪いをもらっても撃て! ワシを守れ! もしいい人達だったらあとで謝れば赦してくれる!」
「ほい来た!」
そう言って若者は目にも止まらぬ速さで矢を撃ちまくった。
「やめろぉおおおお! この目玉、すげえええ見えにくいんだぞ⁉ クソほど酔うんだぞ⁉ やめろぉおおお! 俺たちは人間だぁああああ!」
長い目玉に苦戦しながら佐倉はリルを抱えて必死で逃げ回る。
健太郎っすも最初は一緒に逃げ回っていたが、矢の一本が尻に刺さると、我に戻ったのか怒りの咆哮をあげて櫓を粉微塵にしてしまった。
「見ろ! やはり物の怪の類だぁあああああ! 長老の婆様に早馬を出せえええ!」
若者は老人を抱きかかえて藪に飛び込みながら口笛でトナシカに命を出す。
「ナックル! 伝令を頼む!」
双頭の獣はどちらが頭の位置になるかでしばらく揉めたあと、目にも止まらぬ速さで消えてしまった。
こうして化け物の話は瞬く間に村へ共有され、討伐隊が編成されるに至るのだった。




