#17 スキルについて
目の前からレベルアップのウインドウが消えると同時に、二人は顔を見合わせた。
「良く分からんがレベルが上がった⁉」
「ご主人‼ ここはもう一度ステータスを確認です! レッツおーーーぷんっ☆」
「よし……ステータス、おーーーぷんっ☆」
ばちこーん☆
佐倉は知らず知らずのうちに自分が汚染されていることに気付いていない。
当然のようにポーズを決めてステータス画面を開くと、そこには確かにレベルアップの痕跡が残っていた。
「ぷっ……魔力センス無し……」
「やかましい! てめえも攻撃と防御はゼロじゃねえか⁉」
「ふふん! ここをご覧になってください。ス・キ・ル・で・す・よ?」
「うわ腹立つ……なんじゃその雌ゴブリンみたいな顔!」
「ほほほほほ! 負け犬の遠吠えにしか聞こえませんわ☆」
盛大に見下すリルを睨みながら、佐倉はスキルのアイコンを開いた。
スキル:絶対領域
説明 :絶対的な領域を展開する
なんか凄そうなスキルでムカつくな……
「ふふふ、これでもうご主人はリルの足元にも及びませんよ? 泣いてわたしの爪先に頬ずりするんだなぁああああ! スキル発動!」
「しまった……こいつまださっきの喧嘩を覚えて……⁉」
リルが鮮烈な蛍光ピンクの光に包まれスキルが発動する。
佐倉にも理解できる。
これはまるで……戦隊ものの変身……!
光が収まると、そこにはニーハイとミニスカートに変わったポンコツ×ケモ耳×幼女が胸を張って立っていた。
それ以外にはなんら変化は感じられない。
徐々にリルの顔が赤くなっていき、しまいには短すぎるスカートの裾を手で押さえながらグルグル目で吠える。
「み、見たか……! 絶対領域やぞ⁉ こういうのがええんやろ⁉ そうやろ⁉」
ステータス画面を見るとリルの魔力残量を示すと思しき数値がゼロになっていた。
どうやらスキルの発動にも魔力が必要らしい。
「アホらし……悔しがって損したぜ……」
「やめろぉおおお! 憐れみの眼差しを向けてくれるなぁああああ!」
結局二人はそれ以上争うのをやめにして、健太郎が狩って来た何の肉かも分からない得物で夕食を作ることにした。




