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#13 呪いの〇ボロ

 

 

 この世界の名はエヴェンティアラン。

 

 これはリルも言っていた。

 

 巨大な大陸で海の彼方には神々の楽園(あるいは地獄)が存在すると言われていて、実際にある領域から外に出たものは二度と帰ってこないらしい。

 

 巨大な大陸には八つの大国が存在し、覇権を争っている。

 

 ここは北西の国〝ミスト・ギルド〟

 

 治安は中の下で、比較的マシな国だと言う。

 

 最悪なのは北の奴隷国家〝オズワルド〟と南東の呪術国家〝デス・フォア・パリピ〟

 

 後者に至っては名前からして強い怨念を感じる。

 

 それぞれの国は王族とお抱えの騎士団などが統治していて、貿易などは全て闇ルートというからどんだけだよマジで。

 

 全ての自然環境にはモンスターが無数に存在し、モンスターは最低でも3000ポルンガの戦闘力らしい。

 

 ちなみに俺の戦闘力は250ポルンガあるかないかだとか……

 

 モンスターを狩って素材を売るか、ダンジョンや森の奥に潜って希少なアイテムを取ってくるのが一攫千金を狙うハンター達の稼ぎ方で、他にも地道な生活手段はいくらでもあるという。

 

 

 そこまで聞いて佐倉は頭を抱えた。

 

 どう考えても魔人クラスに挑むには無理がある……

 

 そんな佐倉を見て、アイテム婆は不気味な笑みを浮かべながらレジ袋から何かを取り出した。

 

 その手の中には佐倉の曰く付きの〇ボロが握られている。

 

「ほれ。コレ返してやる。サービスだよ」

 

「呪いの〇ボロ……いざとなったらコレ吸って自決しろってか?」

 

「馬鹿たれ! そんなもったいない使い方するもんじゃないよ⁉ こいつの呪いの本質は、中毒(チャーム)だよ!」

 

「ご主人! クスリはダメ絶対!」

 

「やってねえわ! チャーム? 何の話だ⁉」

 

「ひょひょひょ……! この煙を吸った者は、持ち主に忠誠を誓う〇奴隷になるってことさね」

 

「伏字でもそういうこと言うんじゃねえぇええええ⁉」

 

「どれどれ……スンスン」

 

「嗅ごうとすんな!!」

 

 佐倉は慌ててタバコを取り上げポケットに仕舞った。

 

 しかしそこで疑問にぶち当たる。

 

「おい。ふかしこいてんじゃねえぞ? てめえはこれ吸って死んだんだろ? チャームされてねえじゃねえか」

 

「あたしが持ち主になってたからねえ。死んで所有権が一時的にお前さんに戻った」

 

「じゃあなんで死んだんだ?」

 

「オーバー〇ーズ!」

 

「聞くんじゃなかったよ‼‼‼」

 

「ふぇふぇふぇ。そんなことを気にしてる場合かい? お前さんたちが気付くべきことは……」

 

「俺たちが気付くべきこと……? そうか! アイツは……!」

 

 その時茂みから巨大な影が飛び出してきて叫んだ。

 

「健太郎っすぅうううう‼‼」

 

 

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