――― ハカルモノ ―――
かなり短めですがお許し下さい!!
深淵以上の常闇で、それを照らすように銀色の髪が煌めく。
「彼の魂の奪取、及び『事象隷属黙示録』の創生はご覧の通り失敗に終わりました」
私の頭上に映し出された映像は、死神だった者の死が確定した瞬間で止まった。
時を止めた映像に映る銀色の髪の少年、萩月凜。
「さすがに高位の死神と言えど覚醒されては打つ手なしだったようです」
私は自分以外の存在を視認できてはいなかったが、
『必然。彼の者は理の外の存在』
どこまでも無機質な声が、私のみならず空間すべてに存在を示す。
『理の内なる愚者に勝てる道理など無し』
威圧。そんな事を意識などしていないはずの声は、それでも体を締め上げるように重たい。
「確かに。ですが『今』の彼であれば、まだ理側の我々でも攻略は可能です」
『無論。手段は十二分』
「覚醒したとはいえ未だ力の制御は不完全、力を完全に制御する前に次の手を打つべきかと」
『模索。次なる一手…………我が同胞にて、我が子等」
常闇に息づくように赤い波紋が広がる。
「…………まさか『煉獄支柱』ですか?」
私は対峙しているはずの存在の発言に、眉を寄せる。
『妥当。彼の者に対し、過信も慢心も無し』
私はその声に答えず、顔を上げ頭上に映る少年に視線を合わせる。
「数は?」
『確定。『煉獄支柱』の十七柱を許可』
もう一度、赤の波紋が常闇を揺らす。
『同時。彼の者を除く障害……『殲滅斬手』の排除、および汝が血族の排除の進言』
私は顔を降ろし、
「『殲滅』と『血族』は私があたります。それと十七柱とのことでしたが……一柱を除き、十六柱の召喚を行います。それに支柱を二柱、御借りしても?」
対峙者に問いかける。
『是非。手段は自由、汝の赴くままに示せ』
「ありがとうございます」
私は一礼し、
「では」
視線を正面に向けながら、両手を前に突き出す。
「創生に使用する肉体および魂は上位種である『死神』」
私の意志と言葉が重なり、それに従うように私を取り囲むように十六の黒い柩が出現。
「肉体の創生を開始。同時進行により『煉獄支柱』十六柱の魂召喚を行う」
黒の柩に伝わる赤の波紋が、柩の中で眠る『王』を呼び覚ます。
私が召喚と創生に取りかかり、それを見ていたはずの存在が…………はじめて感情を零した。
『断罪。己が利の為に犯した罪は、自ら断つべきモノ』
それはどこまでも冷たくて。
『愚行。世界の創者とて許されることばかりではない。絶対たる支配者さえも、償いの運命から逃れること叶わず』
どこまでも、
『贖罪。故に』
哀しい想い。
『滅べ』