欲望のファッション
初めまして、天川裕司です。
ここではシリーズでやってます『夢時代』と『思記』の原稿を投稿して居ります。
また、YouTubeドラマ用に仕上げたシナリオ等も別枠で投稿して行きます。
どうぞよろしくお願い致します。
少しでも楽しんで頂き、読んだ方の心の糧になれば幸いです。
サクッと読める幻想小説です(^^♪
お暇な時にでもぜひどうぞ♬
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無課金でやっておりますので、これで精一杯…と言うところもあり、
お見苦しい点はすみません。 なので音声も無しです(BGMのみ)。
基本的に【ライトノベル感覚のイメージストーリー】です。
創造力・空想力・独創力を思いっきり働かせて見て頂けると嬉しいです(^^♪
出来れば心の声で聴いて頂けると幸いです♬
でもこの条件から出来るだけ面白く工夫してみようと思ってますので、
どうぞよろしくお願いします(^^♪
タイトル:欲望のファッション
▼登場人物
・不町ルル:主人公。女性。32歳。浮気症だが、本人は気が移ろいやすい性格とだけ思っている。でも、恋愛における理想だけはずっと追い駆ける。
・葛城誠人:男性。35歳。ルルの会社の同僚。誠実で実直な性格。ルルの夫になる。
・男達:そこら辺に居る遊び人の様なイメージで。「男1〜3」と記載。
・潮江ルコ:女性。30代。ルルの夢・理想と欲望から生まれた生霊。
▼場所設定
・ルルの自宅:都内のマンション。のちに誠人と同居。
・『Distorted transformation』:ルルの行きつけの飲み屋街にあるお洒落なカクテルバー。ルコの行きつけ。
▼アイテム
・combine:ルコがルルに勧める栄養ドリンクの様な特別なドリンク。
イントロ〜
あなたは人に合わせる事が得意でしょうか。
人に合わせると言うのは、
時にその場を丸く収める法になり、
半ば処世術のようにも見て取れるもの。
ですが正直に向き合う恋愛の場にまで
それを持って来ると、時に問題が起こり、
良かれと思ってしていた
その「合わせる事」がいつの間にか
我儘のようにもなってしまい、
場合によっては自分の欲望を満たす
武器にもなるものです。
今回は、理想と欲望の狭間で悩み、
その事で悲惨な末路を辿ってしまった
ある女性にまつわる不思議なお話。
メインストーリー〜
私は好きな人に
自分を合わせるのが大好きだった。
初めは「その人に嫌われたくない」
その気持ち1つでそうしていたのだけれど、
時が経つにつれ、
ときにはまるで
自分を見失うかのような
そんな自分を駆り立ててしまう事もあり、
少しだけそんな自分を嫌った時期もある。
でも本当にその時々で、
好きな人が現れてしまえば、
私はそんなまともな自分を捨ててしまい、
やっぱりその人に尽してしまう。
そして私の男性遍歴は、
結構多いものだった。
(ある日の夕方)
「はぁ〜あ。私、こんなじゃいけないなぁ」
ある日の会社帰り。
私はいつになく落ち込んでしまい、
ふと飲み屋街に足を向け、
飲みに行くことにしてしまった。
一応これでも女だからと、
美容を気にして
お酒を飲んだり夜更かしするのは
やめていたのだけれど、
今日ばかりは仕方がない。
(バー『Distorted transformation』)
そうして
少し前まで通っていた
飲み屋街を歩いてると、
「ん、こんなお店あったかなぁ?」
と初めて見るバーを見つけた。
どうもそこは
お洒落なカクテルバーだったようで、
度の高いお酒を飲むより、
ジュース感覚で飲める
カクテルの方がまだ美容には優しかった…
と友達に聞いたのを思い出し、
そこに入った。
中は結構落ち着いていて、
その時の私を優しく包容してくれた。
居心地が良かったので
私はしばらくそこに居り、
つい日ごろの鬱憤なんかを
ブツブツつぶやきながら
飲んでいた。
すると後ろから、
「お1人ですか?もしよければご一緒しません?」
と声を掛けてくる女性が居た。
振り返って見ると、まぁまぁ綺麗な女性。
特別断る理由も無く、
そんな時だったから
少し話し相手も欲しかったので、
私は隣の席を空け彼女を迎えた。
そして談笑から始まり、
自己紹介も軽くし合って、
いつの間にか話題は
私の悩み相談の様な形に。
私はその時、
これまでの自分のあり方、
特に恋愛でのあり方や結婚への夢、
理想的な恋愛、
今すぐこんな自分に変わってみたい…
そんなことを話して居たようだ。
「私ダメなんですよ。これまで付き合ってきた人はそれなりに居たけど、何か付き合う毎に自分を失くしてしまうようで。どう言うんですかねぇ。…その人に自分を合わせてしまって、本来の自分を見失ってたと言うか、なんと言うか…」
彼女は真剣に聴いてくれて居た。
彼女の名前は潮江ルコさんと言い、
都内で恋愛コーチの仕事や、
スピリチュアルヒーラーの
仕事をしていたようで、
人の話を聞き出すのが上手かった。
私がこうして誰にも言えない事を
彼女に密かに打ち明けたのも、
彼女のそんな不思議なオーラが
あったからかもしれない。
ルコ「そうでしたか。いや私も仕事柄、そんなお話を聞かせて頂く事は私自身の仕事の糧にもなって、実は有難いことでもあるんです」
ルコ「ごめんなさい。有難いなんて言っちゃ、今のあなたに申し訳ないわよね」
「……」
ルコ「わかりました。良いでしょう。ここでこうしてお会いできたのも何かのご縁です。私がそのお悩み、少し軽くして差し上げましょうか?」
「…え?」
そう言って彼女は
持っていたショルダーバックの中から
1本の栄養ドリンクの様な物を取り出して
それを私に差し出し、こう言ってきた。
ルコ「ぜひこちらをお勧めします。1度騙されたと思って飲んでみて下さい。今のあなたの状態からして、きっとぴったりなドリンクだと思いますよ」
「…これ、なんですか?」
ルコ「それは『combine』と言う特別なドリンクでして、それを飲めばきっと今のあなたの心も癒されるでしょう」
ルコ「そのドリンクは恋愛に際して心を強める効果もありまして、1度愛すればその人を心に宿し、常にあなたと共にその人を居させてくれる効果があります」
「…は?」
ルコ「フフ、いきなりそう言われてもよく分かりませんよね?だから1度あなたがその身と心を以て試してほしい、とこう言ってるんです」
ルコ「あなたは、心の中で密かに『人に合わせるのが得意』『私は誰とでもうまくやって行ける…』『それは恋愛に限らず人間関係の上手さ』…」
ルコ「…『つまり自分はその点において人間力があり、煎じ詰めて言えばそれで世の中をうまく渡っていける』…そう思ってる節があるのでは?」
「……何言って…」
正直ちょっと驚いた。
そんな彼女の言うことを聞きながら、
密かに私は今昔の自分を思い出しており…
別にこんな事してくれなくたって
人生上手くやって行ける、
世の中上手く渡って行ける、
広く浅く付き合える、
人間はそれなりの能力があって、私はそれ。
そういう恋愛もあって良いんじゃないか?
…なんて思いながらも
つい又日頃の自分の悩み事を思い出し、
心の交錯・葛藤を少し煩いながらも
「やっぱり1人の人をちゃんと愛してみたい」
そんな本来の女心に返って来て居た。
彼女の今の言葉はなんだか、
そんな自分を見透かされてる様な気がして、
少し嫌な気がしながらも
魅力的なモノにそれとなく映り始めていた。
この時、
彼女に対して2つだけ
不思議に思った事がある。
1つは、
「昔どこかで1度会った事のある人?」
そんな気が仄かながら
強烈に漂ってくるその感覚と、
彼女に言われたら、たとえそれが
インチキ・嘘でも信じてしまう…
と言う妙な感覚である。
気づくと私は
今手渡されたそのドリンクを
その場で飲み干していた。
そして彼女は言った。
ルコ「お1つだけご忠告しておきますが、1度愛したその人を、愛し続ける努力はあなた自身がしなければなりません。これは誰もがしてる普通の事」
ルコ「お見受けするところ、あなたは少し気が多い性格でもあるようです。…近々あなたに大切な人が現れるでしょう。その人を大事にしてあげて下さい」
「え?…」
ルコ「これまでの様に他の人に気を移さず、その人だけを愛するんです。それが出来なければ、あなたは自分でその恋愛を壊す事になります」
ルコ「解りますよね。誰もがしていることで、誰もが悩むこと。その中で正しい選択肢を拾って次へ進む事、これが恋愛に成就を迎えさせ、やがては幸せな結婚へ辿ると言うもの」
ルコ「これを守れなければ、あなたにとって大きな不幸が訪れます」
「ふ、不幸…??」
ルコ「良いですね。普通の、本来の恋愛に立ち戻るんです。あなたのこれまでの生活、恋愛を振り返った上で言えば、これが最後のチャンスになると思って下さい」
不思議なことを言う人だ。
それと同時に怖いことを言う人だ。
…そう思いながら
とりあえず話は聞きながらも、
私は日常へ返り、彼女が今言った
幸せな部分だけを見つめようとしていた。
そのとき彼女の言った事を、
密かに軽く聞き流して居たのかもしれない。
(数日後)
誠人「俺、前から君が好きだったんだ。その、結婚を前提に、俺と付き合ってくれないか…?」
あれから少しして、
私は会社の同僚の葛城誠人さんに告白された。
彼はとても優しく親切で、
仕事にも真面目で、
恋愛関係においても実直な人だった。
恋愛において言えば、
まるで私とは正反対のような人。
「は、はい!こんな私でよければ…」
私なんかで良いのかと少し躊躇したが、
それでも自分の幸せをそのとき真剣に思い、
彼の優しさと誠実さから
やがてはやってくる
2人の明るい将来まで夢見て、
思いきって私はこれまでの自分を
全て彼に預けることにした。
嬉しかった。幸せだった。
正直これまでの自分を振り返った上で、
普通の恋愛を
諦めていた自分も確かに居たのだ。
その自分を綺麗に
浄化させてくれる様な彼の存在は、
確かに私にとって
今後はもう2度と現れない様な
最後の人に見えたんだ。
それから私達は沢山デートした。
いろんな場所へ行った。
そこで2人だけの思い出を沢山作った。
幸せだった。
ほんとこれ以上ない程に。
そして私達は或る日、
改めてちゃんと結婚の約束をした。
その時マナーモードにしてた
私の携帯が鳴ったけど、
それをとりあえず無視して。
(トラブル)
そして数ヶ月後。
私達は幸せの内に結婚できた。
でも結婚してしまうと、
やはり人は自ずと変わるものなのか。
生活の仕方が変わり、環境も変わり、
それまで違う文化を生きてきた
男女が1つ屋根の下で過ごすのだから
それが当たり前なのかもしれないけれど、
それまで我慢しなくてよかった事を
我慢するようになり、
その鬱憤が次第に溜まり、
ある日、ふとしたことで
衝突するようにもなってしまう。
私と誠人は、些細な事で衝突した。
誠人「そんな小さな事でガミガミ言わなくたって良いじゃないか」
「ガミガミって何よ!それに小さな事でも何でもないわ!帰ってくるの毎晩遅いし、私が新しい服買ってきてそれ着てもあなた何にも言わないし!」
「家族サービスだってあなた何にもしてくれないし!…私と仕事、どっちが大事なのよ!?」
誠人「何言ってんだよお前!お前と俺の将来が大事だと思ってるから、今ちゃんとこうして働いてんじゃねえかよ!」
誠人「それに家族サービス何にもしてないって、週末にはちゃんと一緒に買い物行ったりもしてるし、この前ピクニックだって行っただろ!」
誠人「俺だってほんとに仕事に疲れてんだよ!お前が思ってる様に遊んでんじゃねえんだぞ!イイ加減にしろよお前は!」
私は泣いてしまった。
「どうしようもなくなると
女は赤子の様にすぐ泣く」
なんて昔誰かに言われた事あって、
それを武器みたいにして、
男に詰め寄ろうとするんだから
女は本当にズルい!
とその同じ人に
言われた事もあったけど、
そんなんじゃない!!
愛する人が私の元から
去ってゆくようで嫌なんだ!
不安で不安でたまらなくなるのよ!
確かに女によって
そう言うのは変わると思うけど、
私はそうなんだ!
どうしようも無いじゃない!!
派手に喧嘩した後、
私はとりあえず家を飛び出してしまった。
彼はそのあとも多分、
何とか気を落ち着けて
私の帰りを待ってくれて居たと思う。
そうゆう人だったから。
「帰らなきゃ…。帰って謝らなきゃ…」
確かに彼の言う通り、
働いてくれてるのは、
私と彼の将来のため。
それに文句言うのはおかしい。
家族サービスだって、
よく考えたら彼なりに
ちゃんとしてくれていた。
感情が高ぶると
そんな事も見失ってしまう。
この時、また彼の元に戻って
心を一緒にして、
一緒に将来に向けて歩もうと思った。
その考えが確かに
私の心の中に浮かんでいた。
でも…
それが解って居ながら、
私はついまた携帯を取り出し…
(デート)
男1「おぉ、今日はきれいな服着てるねぇ♫」
「フフ、あなたこうゆうの好きだったでしょう??」
男2「へへ、今日はエロい格好してるな」
「フフ、あんたこうゆうの好きだったでしょ?」
男3「なんか今日は理知的に見えるねぇ」
「ん、そう?でもあなた、こんなインテリ女性みたいな人好きだったんじゃなかった?」
いろんな男と会ってしまった。
発散したかったんだ。
この一瞬の感情の高ぶりを発散し、
また元の自分に戻りたかった。
でも別の男と会うたびに
誠人が私の元から離れて行くような、
そんな当たり前の感覚も知っていた。
また前に返ったようだ。逆戻り。
そこでいろいろ鬱憤を晴らし、
やっぱりまた誠人の元へ帰って、
気を落ち着けて
新しい生活を歩もうなんて改めて考える。
普通に世間で皆んながしてるような事。
いやみんな絶対してる事。
どっかで気分を晴らさなきゃ
パンクしちゃうわなんて言いながらね。
そしていつもの
ひと気のない道を通り、
家へ帰ろうとしていた時の事。
ルコ「こんばんは。こんな夜遅くに帰宅ですか?」
「うわあ!?」
いきなり後ろから現れたルコさんに
心底びびり上がった。
ルコ「沢山の男の人に又会ってしまいましたか。あなたには今大事な人が居ると言うのに」
「……ど、どうしてそれを…」
ルコ「あなたはどうも、1人の人をちゃんと愛する事っていうのが出来ないようですね」
ルコ「良いでしょう。それならいつもあなたと一緒に沢山の人が居られるようにしてあげます」
そう言って、
彼女がパチンと指を鳴らした瞬間、
私の意識は飛んでしまった。
(部屋に1人)
「…うぅ…あれ?ここ…」
気づくと、私は自分の部屋に居た。
ガラーンとしてる。
「…誠人…?」
彼は仕事か何かで
まだ帰って来てないようだった。
「……夢か。…アタシ夢見てたんだ…」
今までのは全部夢。
彼と喧嘩して別れた後、
会ったあの男達もみんな夢。
夢の中でのこと。
私は何もしてない。
よかったと思った。
それからゴソゴソ起き出し、
寝室から出て、
顔を洗おうと洗面所に行った。
そこで私は自分の本性と言うか、
強烈な、
今でもずっと忘れる事が出来ない
恐怖に遭った。
(洗面台の鏡を見て)
「なに…これ…。………ギャァアアアアァア!!!」
今まで遊んできた男の顔達が、
みんな私の顔1つに埋め込まれており、
その男達と会ってきたその時々の
ファッションが私の肌に直接
埋め込まれる様にして固定され、
私は1人の人間でありながら、
何十ものファッションを着飾った
そんな女になって居た。
(帰宅)
誠人「ただいま〜♪帰ったよー。…あれ?ルル?どこだ〜?まだ帰ってなかったのか?」
誠人「…まだみたいだなぁ。せっかく2人で食べようと思ってあいつが好きだったケーキ買ってきてやったのに」
(洗面所に隠れうずくまった姿勢で1人)
ルル「うゔ…うゔう…誠人ぉ……」
(2人のマンションを見上げながら)
ルコ「…結局こんな末路を辿っちゃったわね。私があの時ルルに勧めたドリンクの効果は、その名の通り、愛する人と心も体も一緒にする事が出来れば、道を違えると、他のその何かと心と体を一緒にしてしまう」
ルコ「道を違えた場合はそのドリンクの効果も副作用として出てしまい、今回ルルが経験した様なあんな悲惨な目にも遭わせてしまうのよ」
ルコ「副作用の事は言わなかったけど、まぁそんなの常識でもう解ってると思ってたからねぇ。でも彼女の場合はそんな常識すら解らないで、道を違えたまま、悲惨な末路へ自分の足で踏み込んじゃったようね…」
ルコ「あの洗面所から、彼女出られるかしら。あの姿のままで。誠人、きっと驚くでしょうね。でも本当に愛し合ってるんなら、そんな彼女でも包容…出来ないかやっぱり。理由があれじゃねぇ」
ルコ「…本来なら、ルルの様にあんな末路を辿る人、この世の中に結構多いんじゃないかしら」
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=1UX2ousqjHE
少しでも楽しんで頂き、読んだ方の心の糧になれば幸いです。
サクッと読める幻想小説です(^^♪
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