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二蹴 出馬

「ドロピザが80、めだかが90。いや、何かおかしくないか?」

「ああ、分かります。何故ドロピザ如きの頭で奇跡的に80まで行くのに、漫画の主人公であり規格外の超天才という設定のめだかが10しかリードしていないのか、という話ですよね」

「ああ、西尾維新さんはアホだが馬鹿じゃないから、そこら辺は知らなくても肌感で知ってる人なんだ! だから超天才の設定にするなら、120とか130とかに盛る! という選択肢も西尾維新さんの頭で当然あったはずなんだ! しかもドロピザは高三時点、めだかは高一時点だぞ? いや、ここら辺を踏まえるとめだかって全く頭良くないよな。てか、ドロピザ程度の馬鹿じゃね? 露出狂だし」

「うーん、まあ西尾維新さんって割と馬鹿だと思いますよ? 何か言葉の誤用が多くて読者にツッコまれたりしますし、一応本職は小説家であるにも拘らず。金城宗幸さんみたいな小説読んだことなさそうな人が漫画的文法になるのは致し方ないと思うんですよ。いやだって、小説を読む習慣がそもそもないんだから、小説的文法に成り得る道理がないですもんね」

「ああ、まあ金城宗幸も馬鹿だし、西尾維新も馬鹿だし、めだかも馬鹿だし、ドロピザも馬鹿なんだよな。馬鹿ばっかだな、きも! 申し訳ないが、我々みたいに当たり前に上質な思考ができる奴らからすると、出来ない奴って何か怠け者に見えるよな! いや、頑張ってない人って大体頑張れない人なんだがな! そもそものバイタリティが薄いから、何を努力しても大して才能が伸びない! っていう人ばっかだと思うし、私達以外の人達、つまり所謂馬鹿な人達って」

「まあ辛辣に聞こえるかもしれないですけど、私達って基本本質をそのまま述べているだけなんですよね。プラスじゃなかったらマイナスって捉える人結構いますが、私達はプラスにもマイナスにも作用しない狭間のゼロのコメントを常にしているだけなんですよね」

「ああ、そこら辺を理解できない馬鹿が非常に多いがな。まあ馬鹿だから理解できないんだろうが。やはり私達みたいな有能が世界を先導すべきだよな。ガチで出馬してみるか?」

「いいですよ。やりましょう」

 こうして、世界一ワガママな二人の国のインサイドが始まる。


「どう焼く?」

「じっくりだ。弱火でな」

 貴央先生がステーキを注文すると、貴央先生とシノブは屈強な男性達に無理矢理奥の部屋へ押し込まれてしまった。

「私が可愛いからか?」

「いや、多分私が神様だからですよ!」

 二人は出馬前に活を入れるためにステーキを食べに来ただけなのに、何かよく分からない異世界のゲートみたいなものにトリガーオンしてしまった。

「いや、さすがに私達も上の文章はちょっと言い過ぎたかもしれん!」

「あれ本音じゃないです! そういうキャラで売らないと私達普通の人なんで!」

 二人はドロピザみたいな手法で好感度を取り戻そうとする。


「何かよく分からない空間に出てしまった。ここはどこだ?」

「いや、よく見たら何か人が。うわあ、よく見たらうじゃうじゃいる。きも!」

 周囲を見たらそこそこきもい男達が入口から入ってきた二人を値踏みしている。いやあ、何かきもいなあ。

「可愛いなあ、あの二人」

「いや、可愛いからハンターになれるってもんでも」

「俺黒髪の子が好み」

 何かきもい奴らがきもい話をしている。いや、ホントにこいつら北斗の拳のモブくらいに清潔感ないからな。やたら血の気多そうだし。

「あ、あれ私の推しじゃないか!」

「え? 幻野くんもここに?」

「いや、最推しじゃない! 小推しなんだが」

 そこにいたのはツンツン頭に何か緑の少年だ。そう、ゴンだ。

「俺、ゴン! 俺と友達になってよ!」

「デフォルトだ! デフォルトのゴンだ!」

「じゃあ、俺のジャジャン拳とどっちが強いか勝負しようよ!」

「いや、会話噛み合ってなくないですか?」

「何言ってるシノブ! 逆にこっちの方がアニメっぽいじゃないか!」

「あ、あっちには私の推しが!」

「お前の推し? お前なんかに推しの概念あったのか?」

「ええ、私だってキャラとか好きになってもいいじゃないですか」

 シノブが示した方にいたのは、禿頭に無鼻の少年だ。そう、クリリンだ。

「悟空―‼」

「シノブだよ」

「悟空―‼」

「シノブっていうんだ、私」

「悟空―‼」

「何かこのクリリン嫌!」

 シノブは大好きなクリリンを拒絶してしまう。いや、クリリン何も悪いことしていないのに。ひたすら相棒の名前を叫んでいただけなのに。

「まあまあ、シノブ。せっかくだからクリリン持ち帰れよ。私はゴン持つから」

 ゴンを抱えてそういう貴央先生に、シノブは「まあせっかくだもんなあ」とちょっと不満げながらクリリンを持つ。


「いや、誰ですかその子⁉」

「あれ? 幻野くんゴン知らないのか?」

「ゴン? ああ、あのゲームに出てくるキャラクターですか? 貴央先生が好きって言ってた」

「一番は君だよ」

「いやまたそんな」

 取り敢えず貴央先生はゴンを床に置き、幻野くんに抱き着く。幻野くんは照れながらも「しょうがない人だなあ」と少し嬉し気だった。


「おい、シノブ。それって」

「うん、クリリン持ってきた」

「返してきなさい」

「えー? やだー!」

「いやそいつは多分何らかの活躍して間接的に世界救う奴だから」

「えー、でもこのクリリン役に立たないよ! ひたすら悟空呼んでるだけだもん」

「ああ、そういうクリリンか。じゃあまあいいか」

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