4日目
4日目
お昼休み、教室で、みんなに頼まれたモノマネをどんどん披露していた。教室も廊下も人でいーっぱい! 僕って人気者かも?
ちょうど某アニメ映画のありのままな歌を歌っている時、急にニンゲンが一人入って来て、僕の手を取り、顔を近付けてきたよ。
「あぁ!?誰だてめーコラ!」
「オイてめぇパピたんに触ってんじゃねぇよ!!」
「あ、おいあの人は…!」
「まさか…テーガク明けたのか!?」
わぁ、真っ赤な髪と目!もしかして宇宙人なのかな?
そのニンゲンが、僕のすぐ目の前で微笑んだよ。
「おまえの名前は…?」
「僕はパピティス・プルトゥーアだよ。はじめまして!」
「そうか…俺は、石川天翔。パピティス、おまえを一目見たときから、鼓動が高鳴ってやまないんだ。俺のものになってくれないか」
ゆっくりとほっぺを撫でられてる。
このニンゲンもホストみたいな顔。でもちょっと、アイドルの顔にも似てる。
でも、こんなに見つめられたら怖いなぁ。ニンゲンて、ほんとに目からビーム出ないんだよね?
「やべぇ、石川さんテーガク明けたんだ…」
「これで悪高のツートップがそろっちまったことになんのか。こりゃまた鬼澤さんとこと石川さんとこで戦争になるな…」
「パピたん、鬼澤さんにもツバつけられてたよな。どっちをとるんだろう…」
あ、予鈴が鳴った。
早くしないと授業が始まっちゃうね。
「俺のものになるって、具体的にどんなことをするの?」
「いや、…おまえの嫌がることはしねぇよ。ただ、側にいてほしいんだ」
「じゃあ、僕の暇な時だけ、石川天翔の側にいればいいの?」
「あぁ」
うーん、それだけならいいかなぁ?
僕、調査しなきゃいけないから、あんまり暇じゃないんだけど、まぁ本人がいいっていうんだから。
頷こうとしたそのとき、廊下側の窓ガラスが割れた。
あ、疾風のランドだ!ランドがガラスを割ったんだね。速すぎて勢い余ったのかな?
「おう、石川ぁ…、テメェ誰の許可があってパピの手ぇ握ってんだコラ……」
「よぉ、鬼澤。まさかテメェもかよ……反吐が出るぜ」
二人の睨み合いが始まったと同時に、教室の空気が静まり返ったよ。
そこへ、チャイムが鳴った。
あ、先生がこっちに来てる。
僕は石川天翔の手を離して、席に着いた。
次は英語だ。授業の準備をしていると、二人が寄ってきた。
「ぱ、パピティス?どうした急に」
「え?だって、授業の時間だもん。石川天翔もランドも、早く行かないとダメだよ?」
ね?と首を傾げると、二人の顔が真っ赤になる。
ここの学校のニンゲンは、顔が真っ赤になりやすいね。
去っていく二人にスマイルしながら、バイバイ、と手を振ったら、また真っ赤になって、手を振り返してくれた。
よぉし、午後の授業も、がんばるぞー!
おしまい