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4話 黒い塊

しばらく毎日投稿致します。

作者の気合いが入りますので、ブックマークといいねを是非是非お願い致します。

 見渡す限り荒れ地。

 なんだっけ? ワァ……ワァステル平原だったかな。

 その名を教えてくれた小妖精のような天使が消えてから、10分ぐらい経過した。

 せめて、どのくらい待たせるか告げてから行けよ。


 しかし! 異世界転移って。ラノベか!

 あぁあ、それにしても何もできない駄目人間か……確かに。俺が生まれてから積んできた経験など、日本、精々地球でしか活かせない。


 それ以前に、こんな筋肉が乏しくて、腹だけ出っ張った餓鬼のような身体では、ここが日本であったとしても病院送りだぞ。しかし、異世界に飛ばされてまで、挫折するとはなあ。


 まいった。腹減った。

 腹が減っても、食い物ひとつ得ることができない。凹む。


 凹むと言えば。この前、喧嘩別れした時も相当凹んだけど、今から考えれば可愛いもんだったなあ。今は、不幸の波がどんどん押し寄せているように感じられる。


 はぁぁぁ。

 ここで待っていても仕方ない。どうせ、アイが帰って来たって、歩くしかないんだ。町へ向かおう。


 数歩歩いただけで、筋肉も節々も悲鳴を上げた。

 ふん! これだけ悪材料が揃うと、逆にサバサバするってものだ。

 気持ちだけは前向きにしないと。

 絶望しつつも、不思議と死んでしまいたいとは思わなかった。第一、そんなことを考えたら、あの天使に負けたことになるからな。


 その気持ちだけで、立っていられる気がした。

 とにかく、俺はこんなになってしまったが、あの天使はおそらく除名されたんだ。俺みたいな人間を増やさせはしない。その目的は達した。逆らった甲斐があったってものだ。そう考えよう!


 とにかく町だ。

 北だって言っていたよな。

 北? どっちが北だよ。だだっ広い平原で何の目標もないし。

 そうだ! スマホ! 

 ポケットを探ってみたが、無い!

 気が付いた場所に戻って、辺りを探してみたが、結局見つからなかった。


 ああ。イライラするな、俺! 落ち着け!

 スマホが見つかったとしてだ、どうせ圏外だ。人工衛星だって、あるかも知れないが、電波が適合するわけがない……余計凹んだ。


 方角ぐらい分からないか? そうだ! 木の年輪……そんな都合良く、切り株はないな。ひまわりも咲いていない。


 暑っぅ。

 このままだと、干からびて死にそうだ。いやいや、諦めたら本当に駄目人間だ。

 空を見上げる。

 太陽……とは違う恒星なのだろうけど。とりあえず、あれをお日様と呼ぼう。それが今、結構高い位置にある。


 お日様を、背にして進めば、少しずれているかも知れないが、おおよそ北で合っているだろう。ということは、こっちだ!

 よし。なにごとも落ち着いて考えれば、道はあるってもんだ。


 しかし、3歩進んで止まった。

 待て。なんでここが北半球と言える? ここが南半球だったら……この方角は南だ。

 それに北半球だったしても、ここが北回帰線より南だったら季節によっては逆転している可能性もある。いや、ここは地球じゃない。そもそも地球のように公転軸に対して自転軸が傾いているかどうかすら……うぅぅ。


 やめた!

 くどくど考えても答えは出ない。道具も何もないんだ。

 勘だ!

 

 直感を信じよう。町はこっちだ! 同じ方向に歩き出す。しかし、5分も歩くと息が上がった。膝も痛いし、腰も何か重い物でも入っているようだ。


「負けるものか! はぁ、はぁ……」


 さっきの小天使が言っていたように、この状況は俺が天職を持っていないからなのだろう。


 この状況でずっと生きていく……のか?


「おわっ!」

 脚がもつれて地面に倒れ込んだ。

 知っている人が誰も居ない、この世界で消えていく。


 痛む手を付いて、何とか立ち上がる。


 背筋がぞくぞくして、耳鳴りがする。

 視界が歪んだ。

 目元に手を持っていくと、指が濡れた。


 歩こう。

 このままでは、道端で干からびたミミズのようになるだけだ。

 それでも良いか……嗚咽していた。


職能(クラス)放浪者 (ワンダラー)を得ました!:レベル1≫

職能(クラス)放浪者 (ワンダラー)が昇格しました!:レベル2≫

職能(クラス)放浪者 (ワンダラー)が昇格しました!:レベル3≫


 変なファンファーレと共に、無機質な声が聞こえた。

 職能? 放浪者?


「どういう意味だ!」

 声に出してみたが、反応はない。説明まではしてくれないらしい。

 だが、気の所為か、さっきよりも少し息が楽になったような気がした。


     †


 1時間も歩いたろうか、荒れ地から道に出た。

 舗装はされて居らず、ただの固い地面だが、(わだち)がある。正に道だ。この世界にも車輪があって、人が居るってことだ。


 また涙ぐんだ。

 情けない。

 ポケットに入っていたハンカチで顔を拭う。今はどっちを見ても、人影が全く見えないが。この方角が北だと信じよう。


 はあ。

 普通の野っ原よりは数段歩きやすい。道は偉大だ。

 息も絶え絶えだが、まだ行ける。行くぞ!


職能(クラス)放浪者 (ワンダラー)が昇格しました!:レベル7≫


 それから、また15分経った頃、音が聞こえて来た。

 蹄のようなリズミカルな音と、車が(きし)るような音だ。

 何か耳が少し良くなったかも知れない。


 後ろだ! 振り返ると、土煙が上がっていた。

 近付いて来る。

 馬車? 馬車だ!

 やった! これで助かる───


 ブモーーー!!


 ん?

 ぶもう?


 変な音が右の方から聞こえた声というか鳴き声だ。そっちを見ると、馬車とは比べものにならない土煙が上がっていた。


 何だ、あれ?


 ブモーーー!

 また聞こえた! 雄叫びにも似た鳴き声。

 明らかに、あの土煙の方から聞こえてくるけど。地響きがデカくなって来た。

 馬車の御者も気が付いたのか、そっち向いた途端、道端の草むらから黒い影が踊り出た!


 うわっ!

 黒い何かが馬車に横手から衝突───

 まさに交通事故だ! 馬車は大破して、無数の破片と共に御者台に居た人間が、吹っ飛んでいった。


「なんてことだ」

 そっちに歩き掛けて、足が竦んだ。

 馬車の残骸の中から、黒い塊が立ち上がったからだ。

 明らかにでかい動物……牛?


 そいつの頭に巨大な角が生えている。

 ちょ! なんで、こっちに来るんだよ。

 まさか! おっ、俺を狙っている?

 待て、待てよ!


 俺は、逆方向へ無意識に駆け出した。頭が痛いのも、身体がだるいのも飛んでいた。

 武器になりそうな物は? 無い!


職能(クラス)放浪者 (ワンダラー)が昇格しました!:レベル8≫


 また、変なファンファーレが鳴るが、そんなこと気にしている場合じゃない。

 蹄音がドンドン近付いてくる。まずい、不味い、拙い!

 恐怖に駆られて振り返ると、もはや数歩の距離に居た。

お読み頂き感謝致します。

始まったばかりの作品です。

次話を見逃さぬ為にもブックマークを是非お願い致します。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。

Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2022/09/20 特濃版見直し

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