飛び降りたら異世界へー2
話のスピードって難しいですね。
トントンと行くのが好きな割に、自分でするのはなかなかうまくいかないです。
姉貴の結婚式はとても盛大だった。
生まれつきの明るい性格が備わってるおかげか、結婚式に出席する友人や同僚も多く、いろんな出し物が行われたり、いわゆる涙涙の両親への挨拶もとても感動に満ちたものになった。
そして俺の姉貴へのメッセージも滞りなく?終わったような・・・。
「えっと・・お姉ちゃんへ。今日までいろいろと大変お世話になりました。お姉ちゃんから教えてもらったことは今でも大切な僕の宝物です。たとえば、弱い相手が強い相手に向かう時は、イノシシになれ、とか」
(爆笑)
「あとは、相手より優位に立つときは自信満々に悩みあるでしょ?って聞くとか、まあいろいろとありました」
(こら、余計なこと言わなくていいから)と姉が小声で言う。
「(省略)そんな姉貴がこれからいつでも遊べなくなるのは寂しいですが、どうぞ末永く幸せになってください。終わります」
会場から拍手があふれた。
どうにか自分の仕事も無事に終わることができた。
そして滞りなく結婚式はフィナーレを迎えた。
俺たちは、その後結婚式会場の前にあるホテルに家族で一泊することにした。
そこは結婚式の系列に当たるホテルで、日本で屈指の高層階ホテル「ビリークワントンホテル」だ。
前から一度泊まってみたかったという母親の願いもあって姉貴たちも含めて泊まることになったのだが、結婚式をしたことで大分安く泊まることができた。
事が起きたのはその夜だった。
俺は結婚式の疲れもあって、すごく深い眠りの中にいたんだ。
すると、携帯のアラームが鳴った。
俺は飛び起きるようにして、携帯を見たら、まだ午前2時だった。
その時なんか変だなと感じた。というのも普段こんな時間に目覚ましなんかかけることがない。
だいたい俺の体内時計は午後の11時になったら自然と眠くなるシステムになっているからだ。
にもかかわらず、アラームが鳴った。しかも携帯のデフォルトの音楽で。
不思議に思いながらも、目を閉じようとすると目の端に動く物体を捉えたのだ。
ガササ、ガサガサ
(な、な、なんだ・・・・・?)
俺の目の中に縦横無尽に走り回る何かが写っている。
身体を動かしたいけどまだ疲れていた俺は、思うように動かなかった。
すると、その'何か'の動きが目の焦点に止まった。
(えぇ、ぬいぐるみ?・・・・・)
見た目は白いぬいぐるみだけど、なんか違うっぽい。
どちらかというと、ムササビっぽい感じ?
まあ、とりあえずそのぬいぐるみと目が合った俺とそいつは3秒の間フリーズした。
ぬいぐるみは部屋を飛び出すとドアの目の前で消えた。
俺は、完全に目が覚醒した。
とりあえず、追いかけなきゃってなぜか思ったんだ。
服は完全にパジャマ姿だったけど、自分の本能というのかな、それが行動力を強めたんだ。
廊下に出てみたら角を曲がるぬいぐるみの姿が見える。
俺は必死になって追いかけた。深夜二時とは思えない行動力で。
階段を上がって、上がって、もうどれくらい上がったか分からないくらい必死になって追いかけて
最後、扉一枚が見えて、やっと追いついたと思ったら、ぬいぐるみはそこでまた消えた。
俺は、意を決して扉を思いっきり開けた。
オリャアアアア!
すいません、もう少し続きます。