飛び降りたら異世界へ
タイトルは「まてんしんきろう」と言います。
摩天楼✕蜃気楼という掛け合わせです。
うまくお話を運べるか不安ですが、1つ見守って頂けたら幸いです。
サブタイトルはまだ考え中です。
真冬のビルの屋上。というか屋上途中。
俺はいま真っ逆さまに落ちていた。
吹き荒ぶ風。俺の全身を包み込む。昔、知り合いのバイクに乗せてもらったことがあったけど、あんな感じとよく似ている。
(俺、もしかして、死ぬのかな、、、、、?)
いやこの場合「IF・・・」なんて言葉はないのかもしれない。高さ〇千メートル、避難できるテラスも掴める棒すらない。間違いなく俺は死ぬだろう。まさに人生の詰みだ。ああ、神様どうか、せめてどうか痛みだけはお許しください。
こうゆう時って生まれてきてからのことが走馬灯のように思い返されるっていうけど、実際はなんにも起きないな。そもそもその瞬間を最初の人はどうやって伝えたんだって話だし。
今日は姉貴の結婚式だったんだ。
そう俺の10個上の姉貴。27歳になるバリバリのキャリアウーマンの姉貴だ。てっきり結婚とは無縁の人生を送ると思ってたのに、彼氏と3年も同棲していたらしい。まったくちゃっかりしてるもんだぜ。
学校で文化祭の準備があった俺は学校が終わり次第、式場に向かうことになった。ほんとは俺の代わりぐらい誰かがやってくれてもいいんだけど、クラスの連中はみんな俺を頼ってきたからさ、まぁしょうがないって感じだよな。
ある程度終わらした後、急いでバスに乗ったんだ。
会場の場所は、バスで10個ほど乗り継いだところにあって、俺はその間、姉貴へのお祝いメッセージを書いたメモを小声で読んで練習してた。
会場に着いたら、急いでロビーを潜った。
途中、すれ違いざまに女の子とぶつかったんだけど、俺が「あ、すいません」って言ったら、女の子がぼそっと「気を付けて」って言ったから、俺も「あ、はい、ほんとにごめんなさい」って。女の子は顔も見せずにスタスタと向こう側へ歩いて行って、俺もちょっと気になったから、尊顔拝借ぐらいしたかったけど、ちょっと急いでたから、姉貴のところに向かうことにしたんだ。
廊下の奥を抜けたところに、応接間があって、そこに姉貴は両親や友人たちと写真を撮っていた。
俺が近づくと姉貴は俺を見つけて手を振っていた。
「おー、我が弟君よ、ごぶさた」
一斉に視線が俺に集中する。相変わらずのデリカシーのなさだなと呆れていたけど、姉貴は露も知らず満面の笑顔で手を振っている。
実際会うのは2年振りくらいか、姉貴はいつも俺が学校行ってる間に家に遊びに来ていたから、会うタイミングがなかったんだ。
「大きくなったなー、2年前はまだまだ子どもだったのに。時は早いよまったく」
「やめろよ、2年でそんな変わらないだろ」
周りはクスクス笑っていて、すげえ恥ずかしかったけど、俺は次の瞬間目を疑ったんだ。
姉は俺の股間を思いっきり鷲掴みにしたんだ。
グォッ、、、!?
俺は胃の中から何か飛び出すんじゃないかってくらい、仰け反った。
姉は涙を流しながらケラケラ笑っていた。
マジでいい加減にしろよなー。
けど、どこか幸せそうに見えたのを覚えている。
落下してることをつい忘れそうになった。
どこか冷静になってる俺がいた。
相変わらず落下のスピードは変わらない。
だけど、凍てつくような寒さはとうとう何も感じなくなった。
目の前には少女がいる。
正確にはちょっと斜め上ぐらいの距離だ。
この少女は、俺がロビーをくぐった時にぶつかった女の子だ。
いやまて、、、
何故俺はここにいて、
この女の子と一緒に落下してるのか。
とにかくもう少し記憶を整理してみる。
本当は落下の最後まで書くつもりだったんですが、パート2にいきます。