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久々の安らぎ

王太子、ユーフリード様が来る。


名前を聞いただけでも、恐怖からか怒りからか分からないですが吐き気がします。あの最後に見たあの顔は忘れません。まるで、私の目に焼き付けるかのように立ちはだかっていました。


お父様が、私の異変に気付いたのでしょう。

強く後ろから抱きしめながら言いました。


「アレク、この話は、ここではこれくらいにしよう。ミュゼが、不安がっている。会ったこともない陛下が連れてこいとか、知らない所で言われればあまりいい気分ではない。続きを話したければ、後から執務室に来なさい。あーミュゼそんな顔しないで欲しい。まるでこの父が虐めているみたいだ。」


私は、お父様に向かい合わせになり胸にしがみつく格好になる様に抱き直された。昨日、処刑になって、昨日までは、人の温もりも感じられない冷たい牢獄に入れられていた私は、泣き出したいのを我慢する代わりにお父様の胸から離れない私でした。


その様子を兄様が、不機嫌そうに見ながら

「お父様、いつまでもミュゼを独り占めにしないでください。さぁ、ミュゼおいで。兄様が慰めてあげる。まだ、ミュゼは、こんなに小さいからもっと甘えていいんだよ。」

笑顔いっぱいで、両手を広げて待っているのはいいけど、お父様が話してくれません。

「アレク、何故、ミュゼを取り上げようとしているのかな?ミュゼとは、二週間ぶりなんだぁ。」


兄様、さらに意地悪な目で父をみると、


「ミュゼ、お父様を早くお母様に返しなさい。お母様もお父様とは、二週間ぶりに夫婦水入らずとうじゃないかさぁ、邪魔しちゃいけないよ。」


父様は、渋々手を緩めながら、


「うっ、アリアナの事を出すとは、アレク、卑怯だぞ。」


兄様は、私を抱き上げるとニヤリと笑い、


「お父様、何をおしゃっているのですか?お母様や僕が言うことを聞かないからといって、ミュゼを着せ替え人形にしても僕達は、温かく見守っていますよ。いつも。」


お兄様、腹黒発言にお父様はくやしそうです。母様は、呆れ顔で食事をサッサと済ませて部屋に戻る様子です。敢えてのノーコメント。


兄様に部屋までエスコートされました。

部屋まで入ると本を読んで頂き一緒にお茶を頂いて、勿論、私は中身は17歳ですが外見5歳の子供、ミルクしか飲ませて頂けません。勿論、激甘です。これは、流石に辛いです。


なんて、過ごしている間にさっきまでの恐怖や怒りは、何処へいってしまったのやらすっかり、落ち着きました。


兄様がふっとこちら見ると、少し眉下げながら訪ねてきました。

「今日の、ミュゼ、朝から少し変だったよね。変というか別人というか嫌でも変わってもいない、なんていうか。もともと、早熟なところもある子だと思っていたけど今日は、そう、急に歳を取ったみたいな顔してた。いや、姿のことじゃなく、そう、表情が、だけど。」


思わず兄様の言葉にビックとしました。でも、実は処刑されて、今朝、起きたら5歳に戻っていましたっと、言って通用するのでしょうか?私自身が、今ここにいる事が信じられないし、もし、それを告げてしまってまた、現実に引き戻されるぐらいなら夢なら夢でまだ見ていたいです。やはり、まだ、言えません。

「兄様、私、今日、とてもとても、恐ろしい夢を見ましたの。歳を取ったとかは分かりませんが、あまりの怖さに今朝、泣いてしまったの。」

兄様は目の色はお母様譲りのバイオレット、視線はお父様譲りの鋭く心の隅々まで見ようとする視線で私を見つめてきます。兄様でもそんな綺麗なお顔で見つめられたら恥ずかしいです。

「ミュゼは、こんなに小さいのに直ぐにお腹が痛くても熱があっても隠してしまうからね。今も辛くても我慢している顔だね。怒っているのではないよ。ミュゼは、聡い子だから言っていい時と悪い時を区別してるんだね。だから、今は、何も聞かないよ。ミュゼが胸の内にあるもの吐き出したい時は僕や母様、特にお父様は蛇のように待ち構えてるからね。」

お父様が、蛇!?兄様‥。

「まぁ、みんな、ミュゼが好きで大事だって事。忘れないで」

「兄様‥」

「さぁ、もう、寝る時間だね。ミュゼ、寂しかったら添い寝してあげるからいつでも兄様の部屋においで」


兄様‥。

それは遠慮します。中身は大人ですから。

兄様は、おやすみと告げて部屋から出て行きました。


リサが、私の湯あみから着替えまで、一通り終え部屋から出ると、久しぶりのベットに入りました。

お父様も、きっと私をの事を思って、あんなに戯けたり私に構ってくれるのです。領主のお仕事の時は、もっと冷たい感じでお仕事されてますものね。

前世でも、婚約者で王宮に入った16歳から処刑される17歳までは、王宮にいたので我が家のベットは心地よいです。

でも、今眠りについて明日はあるの?ふっと不安がよぎりました。

いえ、もし明日別の世界に転生していてもこの温かい家に戻れた事だけでも感謝しなければいけません。


私は久々にゆっくりと深い眠りに着きました。


また、明日の朝は、この部屋のベットで目覚めますようにと‥。








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