前世から整理してみる
先程、リサから本日、夕刻にはお父様が王都から戻るとのこと。自室で、今か今かと待っている次第です。
今、私は5歳の子供時代に戻っているみたいです。一日様子を見て当初と変わらないと思う。恐らく、私の記憶も5歳までは流石におぼろげです。
二度目のやり直し人生を歩んでいるなら処刑は、避けたいところです。家族も守りたいと思う事は、当然な事です。
一番手っ取り早いのは王太子の婚約者にならない事ですが、貴族と言うものは地位の高い方からの命には逆らえません。しかしながらまだ、今の時点では、ブルーラー公爵家は、特別だったはずです。なぜなら、私の祖父が今現在、生存しているからです。
私の祖父、お爺様は、国王陛下の異母兄弟の兄に当たります。本来ならば第一継承者であるはずのお爺様は皇太后の血を継いでいないなどありとあらゆる理由を付け継承権を放棄してしまったと言う変わり者。
このブルーラーの領地に目を付け、公爵家として領地主として君臨したのです。
元々、ブルーラーの領地は、この国に唯一の港があるのですが、外国語、関税等の知識に疎いものばかりなので誰もまともに治める事が出来ず他国のいいように取引されていたようで、お爺様は国で机の上で堅く並べて下らない会議を何時間も聞くぐらいなら、この領地で好き放題、改革する方が楽しそうだ。それに少々不出来でも国王は務まる。お前らのように出来のいい奴がいれば充分であろう。
高笑いしながら、サッサと王都から出て行ってしまったらしいです。
お爺様、ある意味、自分勝手です。
あっという間に、ブルーラーの領地の外交問題も一瞬に解決し多少強引でしたが、国にもしっかり利益をもたらし、国王の跡継ぎ問題も身を引く事で解決し国王は、お爺様には頭が上がらないと言うのが実情です。お爺様は、権力には興味がない為、ひたすら問題を解決する事に快感を感じるらしいのです。
尊敬はしています。していますとも‥。
前世もお爺様の権力によって、弟国王が退き新国王になっても王太子の婚約者にブルーラー公爵家からと言われても『王太子殿下(馬鹿息子)は、他国との繋がりを深めるのが大事なので他国からの王妃も考えてみては?(外で勉強して来い)公爵家から令嬢を王妃に娶っても国益にはならないので再度、お考え直し下さい(王妃になってなんの得がある?)。』と言って、跳ね除けましたよ。心の声がだだ漏れですよ、お爺様。
お婆様が病気で亡くなると同時にお父様に領地と公爵の当主を譲ってしまい、自分の余生はお婆様の思い出の場所を回りながら過ごすと屋敷から出て行ってしまいました。
事が起きたのは私が10歳になる誕生日の日、お爺様は、お祝いを兼ねて領地に戻る所、領地に入る直前を狙って野盗に襲われて亡くなったと報告を受けました。
お父様も私達には、細かい話はしませんでしたが襲われた事に対しては不審な点がありすぎる事をかんじてたそうです。
お爺様が、亡くなり先代の国王陛下も後を追うように亡くなりました。
12歳の誕生日にとうとう、王太子の婚約の候補として白羽の矢が当てられました。お父様も流石にお爺様でもないので国王陛下の命には、歯向かう事は出来ません。
私としては、渋々、ではなく王妃と言う面倒な、ではなく名誉ある役目につける事、誇りに思っていました。
しかし、王太子妃教育という名の下、王都に呼ばれそこで、成人になる16歳から18歳まで過ごさなければなりません。
社交デビューと同時に王宮で過ごす事となりました。
王太妃教育よりも、ブルーラー家で受けていた教育の方が遥かに厳しく難なくこなせる程度でしたが問題は、毎日のように茶会、夜会、晩餐会と社交にドレスの新調に追われる毎日でした。
茶会での事、王室で働いている貴族の家族の令嬢を招いて王妃マリア様が主催した茶会の出来事です。
男爵令嬢イリーナ様が突然、お茶を口にした途端、苦しみ出しました。
幸い、命は別状ありませんでした。イリーナ様が飲まされた毒が鈴蘭の花の成分だったらしく、鈴蘭の花の鉢は、私の部屋にも飾られていました。
当初、イリーナ様は、皇太子殿下のお手付きにされた女性で、事もあろうに私が嫉妬した腹いせに仕組んだのではと問われ、もうそれからは、破滅の道を辿る事になりました。