顔だけの人でした
玄関前の扉前の馬車付きの所で待ち構えると一体何のパレード?行列の団体が見えて来た。今回の滞在は公式行事ではなく非公式の身内と同士の訪問と言う話では?お父様も困惑した表情です。
通常、非公式の公務以外の移動は馬車には必要以上に警備を付けず家門の地味な馬車にお忍びで移動させます。離れた前後に残りの警備の方やらお付きの移動と言うのが常識です。
これでは、いかにも王家のご訪問で当家も元々警備は厳重ですがもっと厳重に警備を堅めなければいけません。兄様も呆気に取られた様子で思わず、溢していました。
「アホだな、アイツらは。」
兄様、不敬罪ですよ。小声で言っているつもりですが聞こえてますよ。
誰の指示でこうなってしまったのでしょう?
そして、趣味の悪いではなく絢爛豪華な馬車が目の前に止まりました。近衛の騎士様でしょうか?扉を開けます。
中から、煌びやかな衣装を纏い降りて来ます。白のフロックに金の刺繍とキラキラした少年が降りて来ます。
流石は王族の血を引くだけあって、外見はすらっと歳の割には背の高い美少年です。漆黒の髪に漆黒瞳と麗しいですが成金衣装が残念です。私は、お爺様、お父様、母様と兄様の美形の家庭で
お父様、母様と兄様と順番に挨拶をしてい来ます。
お父様が最後に
「殿下とは、初めて顔を合わせると思いますが、娘のミュゼットと申します。まだ、5歳なので王太子殿下にご迷惑をお掛けしますので滞在の間は自室で過ごすかと思いますので食事など同席は出来ない事をおゆるし下さい。さぁ、ミュゼ挨拶をしなさい。」
今、お父様さり気なく、牽制しましたね。
前世では、処刑を言い渡されましたが、今世では絶対に回避してみせます。と、言う意味を込めて満面の笑みでの挨拶です。
「初めまして、王太子殿下、ブルーラー公爵家のミュゼット•ブルーラーでございます。」
カーテシーをしてから顔を上げ殿下の顔を見上げてこれでもかと言う笑顔で微笑みました。殿下は、すぐに顔を背けてそっぽ向きながら、聞き取りにくい声で
「‥‥‥だ。」
私がありとあらゆる意味を込めて見つめたので睨んだ顔になってしまったのでしょうか?こっちを見ません。
周りの使用人たちも顔を見合わせます。
王太子殿下は、顔を真っ赤にして怒ってますよ。私は何もしてませんよ。
「聞こえないのか!私の名は、ユーフリードだ!」
私も、何が何だか分かりませんが‥。一応、返事はしておきましょう。
「あっ、はい。王太子殿下、申し訳ありません。」
後ろから、兄様がチッと舌打ちをして、
「あーあー、あれは、絶対に落ちたな。」
と、残念な顔しながら呟きました。何のことでしょう?
さて、お出迎えと言う大仕事を終えて今日からは、自室でお食事です。
一人で寂しいですがまぁ、再会した王太子殿下は面倒くさそうな人なので自室で悠々自適に頂きました。
リサが食後のお茶の用意(私はミルクですが)しながら本日のお屋敷内の裏話を教えてくれました。
どうも、今回の訪問に殿下専属の料理人まで連れて来たらしく殿下も知らない料理人が作った物に毒が入っていたらどうする?ここの使用人の料理なんておちおち食べていられないとか言っていたらしいです。
リサは給仕の方を手伝っていたらしく食事の間も自分で作った訳でも無い料理の自慢やら、王都の令嬢達がしつこくお茶会に誘ってくるから断るのに大変だとか、ラウラ国旧王朝の歴史書を全て読み終えた‥‥〈中略〉‥。全部は、聞けませんでした。耳に入っていきません。
リサがミルクを渡しながら残念そうにボヤいています。
「王太子殿下は本当にお姿だけは、麗しいお姿なのに残念です。観賞用ですね。後、あのお金かけましたな衣装さえ無ければ完璧な観賞用なんですけどね。」
リサ、毒を吐きまくりですよ。止まりませんね。余程、残念なんですね。
「ねぇ、リサ、お抱えの料理人の料理しかお口に出来ないなら他国に招かれたら大変ね。」
そういえば、前世で婚約者だった時は外交は陛下に私が付いて回った気がしました。
「あの様子だと面倒な事は、全て投げ出してるような感じですよね。」
それは許し難き事実です。王太子殿下の婚約を回避するのが難しくなりそうです。また、婚約者になれば処刑される確率が上がってしまいます。
殿下の様子を見なければなりません。少々面倒さそうですが敵の事を知らなければやられてしまいます。
と、数日経過しましたが全く姿を拝見する事すら叶いません。なぜ、殿下とすれ違いもしないかとリサに聞くと
「それは、旦那様とアレク様が全力でお嬢様に合わせないように王太子殿下をエスコートしているからです。側から見て面白いぐらいに必死ですよ。」
なる程、恐らく前世も同じように回避してたので殿下の記憶が無いんですね。でも、今世は逃げてばかりもいかないので何か策が必要ですね。
「リサ、お願いがあるの。私、そんな変わった方と話をしたことがないから一度でもいいからはなしてみたい。」
「げっ、お嬢様まさかあの顔に騙されましたか?」
「そうではないの、そこまでお父様と兄様に隠されると見たいなぁと思って。」
「怖いもの見たさで見たいのですね。私も旦那様達と意見は一緒であの傍若無人の方をお嬢様に近づけるのは、反対です。」
「一度でいいの。多分一度、話したらきっと嫌になるわ」
リサは渋々頷きました。
「分かりました。そこまで言うなら陛下のスケジュール盗んで来ます。」




